コンパクトモデルのGLAとGLBの登場で、1つの完成をみたメルセデスのSUVラインナップ。ルーツとも言えるGクラスも人気の「メルセデスSUV」を、改めて総括した。後編では、FR車用プラットフォームを採用する3つのモデルとその派生モデルに注目してみる。
yoshitoyanagidaFRプラットフォームの3モデル、最もコンパクトなGLC
現在のメルセデスSUVは大きく3つに大別される。ハシゴ型の強固なラダーフレームを採用するクロカンタイプのGクラス、FFベースのMFAIIプラットフォームを採用するGLAとGLB、そしてFR車用プラットフォームを採用するGLC、GLE、GLSだ。
後編ではこれらFRプラットフォームベースのSUVに注目してみる。
3モデルの中でもっともコンパクトなGLCクラスのルーツは、2008年に登場したGLKだ。Kはドイツ語で“短い” (kurz)を意味するものだった。当時の4MATIC(4WD)の構造上、右ハンドル仕様をつくることができず、日本でも左ハンドル仕様のみの設定でセールス面では振るわなかった。そして2015年に後継となるGLCが登場する。現行型Cクラス(W/S205)をベースとしたモデルだ。2017年には派生モデルのGLCクーペを追加。2019年にマイナーチェンジをうけ、内外装のデザインが一新された。前期モデルには2輪駆動のモデルも販売されたが、現行ラインアップは4MATICのみとなっている。
GLCにおいて注目のモデルは世界初の燃料電池プラグインハイブリッドモデル「GLC F-CELL」だ。水素充填と充電という2種類のチャージ方法をもち、水素による航続可能距離は約336km、リチウムイオンバッテリーによる航続可能距離は約41kmと、電気自動車として計377kmを走行可能とする。水素補給時間はわずか3分と、ガソリン給油時間とほぼ同程度であることがメリットだ。日本にはトヨタミライというセダンタイプをはじめ、商用車やバスでも燃料電池車の活用が進んでおり、現在全国で135箇所の水素ステーションがある(2020年10月15日現在)。近所にステーションがある人ならば、日常使用には困らないはずだ。メルセデスは電気自動車だけでなく、長年燃料電池車の開発を続けてきており、GLC F-CELLは現在、世界で唯一の燃料電池プラグインハイブリッド車でもある。
© Daimler AG良グレード揃い、3列7人乗りとなったミドルクラスのGLE
GLEクラスのルーツは、1998年に発売したMクラスだ。MクラスはMLという名称で3世代にわたって生産され、2015年の3代目Mクラスのマイナーチェンジのタイミングで、GLEクラスへと名称変更された。2016年には派生モデルのGLEクーペも登場している。そして2019年に2世代目へとフルモデルチェンジした。
新型GLEは、室内空間の拡大を目指しプラットフォームを一新、3列シート7人乗り仕様となった。また走行性能を向上するためパワートレインを全面改良。Sクラス譲りの直列6気筒3リッターガソリンターボエンジンM256型に、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムを組み合わせたGLE450や、3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン OM656型を搭載するGLE400dなど、良グレードが揃っている。
© Daimler AG中でも注目の装備がGLE400dにオプション設定される「E-ACTIVE BODY CONTROL」だ。これは AIRマティックサスペンションの電子制御ダンパー&エアスプリングに加えて、四輪それぞれに48V電動油圧ユニットを装備。フロントガラス上部のステレオカメラで前方の路面の凹凸や、運転状況などを検知してコーナリングによる姿勢の変化を抑制し、フラットな姿勢を保つというものだ。さらにダイナミックカーブ機能では、コーナリング時に意図的に車両を内側に傾けることでロールを抑制し、ドライバーは安心してコーナリングすることができ、乗員はより安定して座っていることができるというものだ。これはクルマ酔いしやすい人にも効果を発揮するはずだ。さらにすごいのが、リカバリーモードで、砂地などを走行していてスタックした際に、まるでローライダーのごとく車両を上下にゆすってタイヤの接地圧を変化させることで脱出を可能にする。実際に試してみたが、ものすごい勢いで上下動し、あっさりとスタック状態から抜けだすことができた。77万円と高価なオプションではあるものの、その価値は十分にあると思う。
yoshitoyanagida28モデルのフルラインナップ、フラッグシップはGLS
GLSクラスのルーツは、2006年に登場したGLクラスだ。メルセデスSUVにおけるフラッグシップモデルであり、元祖3列シート7人乗り仕様でもある。2012年に2世代目へとモデルチェンジし、GLEと同様に2015年のマイナーチェンジのタイミングでGLSと車名変更された。そして2019年に現行型のGLSへとフルモデルチェンジする。ラインアップは先のGLEと同じく3リッター直列6気筒ディーゼルターボエンジン OM656型を搭載したGLS400dをはじめ、フラッグシップらしく4リッターV8ツインターボのM176を搭載したGLS580がある。
実はGLSクラスには、いまのところAMGモデルの設定がない。昨年、ロールス・ロイスカリナンやベントレーベンテイガなどが存在するスーパーラグジュアリィセグメントに向けて「メルセデス マイバッハ GLS 600 4 マティック」が発表された。こちらは5シーター、もしくはショーファー・カーとしての4シーター仕様を選ぶことも可能。パワーユニットは、AMG GT譲りの4リッターV8ツインターボM177型を搭載。エンジン単体で最高出力558ps/最大トルク730Nmを発揮。これに22ps/250NmのISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムを組み合わせたマイルドハイブリッド仕様だ。日本導入も検討中とのことだが、いまのところ正式なアナウンスはない。
それにしても、GLAにはじまりGLB、GLC&クーペ、GLE&クーペ、GLS、Gクラス、電気自動車のEQCというフルラインアップで、AMGモデルを含めてSUVのモデルバリエーションは実に28種類にものぼる。こうしたあらゆるセグメントをカバーする選択肢の豊富さがメルセデスの強みだろう。
昨年まで、国内で販売されている純輸入車として5年連続で首位を、7年連続でプレミアムブランドNo.1を獲得している。そして、2020年度上半期(2020.4~2020.9)の輸入車新規登録台数(JAIA調べ)でも、メルセデスはVWを抑えてトップの座をキープしている。どうやらこのSUV攻勢でその記録は更新されそうだ。
文・藤野太一 写真・柳田由人、メルセデス・ベンツ日本 編集・iconic
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