914台の限定 3.0L V6ツインターボは10ps増し
マセラティMC20 GT2ストラダーレを作るきっかけとなったのは、GT2ヨーロピアン・シリーズと呼ばれるレースだとか。少しややこしいが、これは主にアマチュア向けのカテゴリーで、GT3とGT4の中間に位置している。
【画像】しなやかに公道を嗜む マセラティMC20 GT2ストラダーレ 競合のスーパーカーたち 全151枚
ホモロゲーションを受けているモデルは、ポルシェ911やKTMクロスボウ、メルセデスAMG GTなど。プロが戦う国際的なGTレースとは異なるが、マセラティも同戦向けのマシンを仕上げており、2023年から何度も勝利を重ねている。
そこで、このブランドのサーキット復帰を記念した仕様が、公道向けに生み出された。MC20 GT2ストラダーレは、914台の限定。英国価格は、通常のMC20より4万6000ポンド(約897万円)高い、27万3510ポンド(約5333万円)とのこと。
「このクルマは、沢山息を吸う必要があります」。デザイナーのフランチェスコ・モロシ氏は、向上した冷却性能について説明する。
フロントグリルなどが拡大され、メインラジエターへの気流は5%増やされている。インタークーラーは20%性能を高めたという。それ以外の改良も加えると、通常のMC20の2倍の冷却能力を有する。
ステランティス・グループが保有する、イタリア北部のバロッコ・テストコースで10周以上周回を重ねた場合、ブレーキフルードの温度は40度も低く保てるとか。「パフォーマンスの低下を回避できます」。モロシが続ける。
他方、3.0L V6ツインターボエンジンの最高出力は、10ps増しの640ps/7500rpm。これは、マッピングのアップデートで達成している。
ダウンフォースは最大500kg 60kgダイエット
リアウイングは、3段階の調整式。リアディフューザーやフロントスプリッター、アンダーボディなども専用アイテムとなり、280km/h時のダウンフォースは、フロント側で130kg。リア側では、ウイングの角度によって190kgから370kgを得られる。
最大で500kgに達するが、空気抵抗を示すCd値は0.38で不変なことに驚く。最高速度も、323km/hでほぼ変わらない。
サスペンションのスプリングレートは10%引き締まり、それ以外のハードは再チューニングを受けている。機械式のリミテッドスリップ・デフが標準だが、試乗車にはオプションの電子制御デフが組まれていた。
もちろん、軽量化にも抜かりはない。2脚のシートは、サベルト社のカーボンファイバー製へ置換され、20kgのマイナス。前が245/35 R20、後ろが305/30 R20というサイズのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2Rタイヤは、合計5kg軽いとのこと。
さらにカーペットを省き5kg、センターコンソールも専用品で、2kgを削っている。合計で60kgダイエットしつつ、インテリアには上質なアルカンターラが多用されている。これは、太陽光の反射を抑えることが目的だが、雰囲気もイイ。
バタフライドアを開き乗り込むと、新しいバケットシートのポジションは低く、レーシングカー・ライクに姿勢は起き気味。サーキットを走る場合は、腰回りのサポートがもう少し欲しいかも。
爽快なレスポンス 聴き応えのあるサウンド
ステアリングホイールのリム部分に、シフトインジケーターのLEDが並ぶ。シフトパドルは、ステアリングコラムへ固定されている。その奥から、ウインカーとワイパー用のレバーも伸びている。
ちなみにフェラーリでは、コラム側へパドルを固定しつつ、ウインカーとワイパーのスイッチはステアリングホイール上に並ぶ。それより操作しやすいと思う。
ドライブモードのセレクターは、センターコンソール上。運転中でも目に付きやすいように、通常のMC20より上方へ移動した。
それ以外の車内は、従来どおり。後方の視界は限定的だが、前方の視界は素晴らしい。バックミラーは、鏡ではなくモニター式だ。エンジンルームの後方には、小さな荷室が残されている。活発に走らせると、かなり内部は熱くなるが。
先述の通り、3.0L V6ツインターボエンジンにハード的な変更は受けていない。ターボブーストの立ち上がりは比較的早く、3000rpmから最大トルクは発生する。だが、それ以下の回転域ではラグもある。
高回転域でのアクセルレスポンスは爽快。トルクが太いから、間違って1段上のギアを選んでも、速度上昇に鈍さは感じにくい。
サウンドも素晴らしい。往年のマセラティのように心を震わせる、とまではいえないものの、現代のスーパーカーでは聴き応えがある方だろう。チタン製マフラーが、2025年後半にはオプション設定されるとか。
しなやかに公道を嗜むことも可能
8速デュアルクラッチATも、通常のMC20と同じユニットとのことだが、コルサ・モードを選ぶと瞬間的に変速が処理される。滑らかな仕事ではないが、ギアが噛み合うと背中がドシッとバケットシートへ押し付けられ、一層クイックに感じる。
ブレーキディスクは、カーボンセラミック。ペダルの踏力に関わらず、しっかり足の裏へ感触が伝わる。フェラーリやポルシェへ並ぶ、ニュアンスの明瞭さではないとしても。
ドライブモードをコルサにすると、ダンパーが引き締まり、ドライバーへの電子的なアシストが控えめになる。最も刺激的なモードでは、トラクションとスタビリティのコントロールは完全なオフに。デフは速さ重視になり、ABSの効きも最小限へ絞られる。
だが従来どおり、乗り心地の良いスーパーカーとして公道を嗜むことも可能。素直で扱いやすく、サスペンションをソフト側に振っても姿勢制御はフラットで、魅力が霞むことはない。充足度が濃い。
マセラティは車重を公表しておらず、乾燥重量で1365kg。恐らく、車重は1500kgを少し上回る程度かと想像するが、重い部類には入らない。
車内のノイズは確かにうるさい。タイヤが跳ね上げた小石の当たる音が、パチパチと聞こえる。サスペンションは静かに屈伸し、ステアリングは比較的穏やか。ターボブーストの立ち上がりが明確で、雰囲気としては数年前のフェラーリ488 ピスタへ近い。
走りへフォーカス 従来以上に深まった魅力
サーキットでも、そんな印象は変わらない。最新のポルシェ911 GT3や、ランボルギーニ・ウラカン・テクニカなどより、アグレッシブさは抑えめ。より扱いやすく、コーナーの縁石をしなやかに処理してくれる。
サスペンションを最も引き締めても、左右のロールと前後のピッチはある程度生じるが、ドライバーはマセラティと息を合わせやすい。滑らかに操ることで、速さにつながる。
速度が高めの定常円旋回では、僅かなアンダーステア。ブレーキングでノーズを食い込ませるようにコーナーへ侵入するか、パワーを掛けてテールを流して脱出すれば、タイトにクリアできる。
試乗日は、季節外れの暑さだった。冷却性能が強化されていなければ、MC20 GT2ストラダーレのパフォーマンスを、完全に開放することは難しかったかもしれない。
ハイブリッドではないし、アグレッシブなLSDも組まれていない。それ故に、サーキットでは望外に面白い。通常のMC20以上に走りへフォーカスしたことで、魅力は確実に深まっている。数量は限定で、お値段もお高いけれど。
◯:落ち着きがあり惹き込まれる操縦性 公道でもしなやかな乗り心地 アルカンターラを多用したインテリア
△:低回転域でのターボラグ 腰回りのサポート性が低いシート 高めのお値段
マセラティMC20 GT2ストラダーレ(欧州仕様)のスペック
英国価格:27万3510ポンド(約5333万円)
全長:4669mm
全幅:1965mm
全高:1224mm
最高速度:323km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃費:8.6km/L
CO2排出量:261g/km
乾燥重量:1365kg
パワートレイン:V型6気筒3000cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:640ps/7500rpm
最大トルク:73.2kg-m/3000-5500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
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