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YOSHIROTTENの「蕎麦屋で会いましょう」vol.5──対談相手は、音楽家・グラフィックデザイナーの立花ハジメ

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YOSHIROTTENの「蕎麦屋で会いましょう」vol.5──対談相手は、音楽家・グラフィックデザイナーの立花ハジメ

アーティストのYOSHIROTTENが今一番気になる相手と大好きな蕎麦屋で対談するという連載。5回目の対談相手は、音楽家・グラフィックデザイナーの立花ハジメだ。

国内外でグラフィック、映像、インスタレーションと幅広い活躍を遂げるアーティスト・YOSHIROTTEN。謎に包まれた彼が唯一オフになれる場所だというのが蕎麦屋だ。そんな蕎麦好きの彼の蕎麦屋リストから今宵はどこに向かうのか。5回目は、音楽家・グラフィックデザイナーの立花ハジメさんを迎えて、赤坂の「室町 砂場」で実食。

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YOSHIROTTEN(以下、Y) よくお蕎麦屋さんに来られるそうですね。

立花ハジメ(以下、T) そうだね。馴染みのご飯屋さんはサンクチュアリの静寂を破るものというか。ここも馴染みのある場所。そういうところで、ぼけーっとしてる時にアイデアが閃いたりする。

Y ハジメさんといったら、原宿のイメージが勝手にありました。

T 事務所を長く構えていたからね。デザイン集団「WORKSHOP MU!!」のもとでアシスタントしてて、彼らが解散したあとも眞鍋(立彦)さんの原宿の事務所に間借りさせてもらってた。当時の原宿はそれこそ、まだ裏原が始まる前。僕にとっては、プラスチックスを始めたタイミングだったし、周りの友人もみんな狭い原宿のアパートに住んで、とにかく制作してた。それで、今の「V.A.」の場所にあった「カフェドロぺ」か「レオン」っていうカフェに毎日集まってたんだ。そのうち、それぞれのシーンでステップアップしていった感じだね。

Y その時、本業はプラスチックスとしての活動だったんですか?

T 本業はデザイナーだったね。メンバーの誰もプロになると思ってなくて、色々なブランドから声がかかるパーティバンドという感じでやってたよ。でもだんだん、欲が出てきて中西(俊夫)と一緒に新しい音楽ってなんだろうと模索し始めた。海外ならいくらでも似たようなロックバンドはいるだろうと。それで、リズムボックスを使ってパンク・ニューウェーブの原型のようなスタイルになった。当時は原宿に海外モデルがたくさんいたからさ、ある日、デモテープをロンドンのレコードショップ「ROUGH TRADE」に売り込んでよって渡したら、本当にそれが気に入られてリリースされることになったんだよね。

Y すごい。その時代なら、日本人初なんじゃないですか。ジャケットデザインはどうされたんですか?

T 急遽作んなきゃってことで、徹ちゃん(小暮徹)にカラー写真を撮影してもらって。念の為にアタリ用に鉛筆で描いたラフと一緒に送ったら、ラフが何故か採用されたなんてこともあったよ。

Y 僕もDJを始めた時代にハジメさんのような音とデザインを両立する人物像を目指していました。他にも、ハジメさんはアプリケーションを開発したイメージもあります。

T そうだね。1995年に「信用ベータ(SiNYO Beta)」を作った。自分のデザインの手癖みたいなものをプログラミングしてもらえませんかってプログラマーに頼んで形にしたもの。

Y それってMacintosh用Adobe Illustratorのプラグインとして入ってたんですよね? 一般の方でもそれさえ使えば、ハジメさんのようなデザインが作れるという。

T そうそう。パスを引いて文字を沿わせることまではIllustratorでできるけど、それを3Dでねじったり、立体的に動かせるのは「信用ベータ」だけ。誰に言われたわけでもなく、実験的に自分の探究心で作ったものばかりだね。

Y そういえば、僕の知り合いから今日言付を頼まれてきてて。98年の個展で発表した作品らしいんですが、真っ白な作品だけど、エンボス印刷でロゴが描いてあって、それが一体なんなのか気になっているようで。

T たまたまLAのフリーマーケットで、大量に捨てられた活版印刷用原版のコレクターに出会ったのがきっかけだった。いくつか買って、長方形のポスターサイズにコラージュしてエンボス加工して。直接印刷所のローラーで手刷りする方法で制作してたよ。試行錯誤しながら、かろうじて1日5枚刷ってたなあ。だから、特にロゴに意味があるってことではなくて、手法に意味がある。「信用ベータ」をリリースした後で、紙や印刷で完結する制作方法に触れた時に、アコースティックな気分になったんだよね。一般的にデジタルの反義語は、アナログってみんなよく言うけど、僕の場合はアコースティックだなって。

Y おもしろいですね。ビットマップフォントのことも今日伺いたくて。

T 仕事においてはポストスクリプトが実用的でいいけど、ビットマップでしか作れない中毒的な感覚も忘れたくないなとふと思ったんだよね。それで2013年にアルバムという形で、USBメモリーにダンスナンバー12曲とアルバム名にもなった2つのフォントを収録した『モナコMonaco』をリリースした。

Y あ、蕎麦がきました。食べる前に最後の質問をさせてください。僕がいま42歳なんですけど、ハジメさんはその時、なにをしてましたか?

T 40代は、失われた10年だったよ。音楽と離れちゃった時期で、今でもなんであの時あんなことしてたんだろうと自分で思う。だから、97年にバンド「立花ハジメとLow Powers」を始めたんだ。やっぱり音楽は楽しいね。さあ、食べよう。

今月のゲストと蕎麦屋立花ハジメ/HAJIME TACHIBANA1951年生まれ、東京都出身。1976年にテクノポップバンド「プラスチックス」を結成し、ギターを担当。1980年にはアイランド・レコードよりアルバムを世界発売。ワールドツアーを数回行った。また、グラフィックデザイナーや映像作家として、幅広く活動し、音のみならずパッケージも含めたコンセプチュアル・アートを制作している。

室町 砂場天ざる・天もり発祥のお店。日本橋本店と赤坂店を展開。真夏でも天ぷらそばを美味しく食べられるように、天ぷらが入った温かい汁とせいろの冷たいそばのつけ麺スタイルを考案。
住所:東京都港区赤坂6-3-5
営業:月~金 11:00~19:30、土 11:00~19:00
定休日:日・祝

YOSHIROTTEN(ヨシロットン)ファインアートと商業美術、デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、複数の領域を往来するアーティスト、アートディレクター。代表を務めるクリエイティブ・スタジオ「YAR」では、商業において視覚芸術が関わるほぼ全ての範囲の仕事を手掛けている。

PHOTOGRAPHS BY KODAI IKEMITSU
WORDS BY YOSHIKO KURATA
EDITED BY KEITA TAKADA (GQ)

文:GQ JAPAN 倉田佳子

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