■好調維持のホンダ「フィット」 人気のタイプは?
ホンダのコンパクトカー「フィット」は2001年2月に初代モデルが発売。2020年2月には、2013年9月以来となるフルモデルチェンジを果たし、現行の4代目フィットとなりました。
新型フィットには、ガソリン車とハイブリッド車(e:HEV)、2WD/4WDをそれぞれ選ぶことが可能なうえに、ライフスタイルに合わせた5つのタイプを設定していますが、発売から半年経った現在ではどの仕様が人気なのでしょうか。
日本自動車販売協会連合会によると、フルモデルチェンジ前の2020年1月には1735台に留まっていた販売台数が、フルモデルチェンジ後の翌月2月には全体7位の8221台を記録。翌3月には1万4845台を販売し、月間の販売目標台数である1万台を上回る好調な滑り出しを見せました。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発せられて以降も販売台数は伸び、2020年上半期(1月から6月)の販売台数は1位トヨタ「ライズ」の5万8492台、2位「カローラ」の5万7235台に次ぐ、5万29台を記録するなど好調な販売台数を維持。直近の7月販売台数では9213台と、コロナ禍の最中でも販売台数を伸ばしています。
新型フィットの異なる5つのタイプは、シンプルな「BASIC(ベーシック)」を基本として、生活に馴染むデザインと快適性を備えた「HOME(ホーム)」、アクティブに過ごしたいユーザーのための「NESS(ネス)」、週末の外出などエンジョイライフに応える「CROSSTER(クロスター)」、そして、上質さを備えたスタイリッシュな「LUXE(リュクス)」です。
ホンダによると、フルモデルチェンジから約1か月後の2020年3月16日時点での受注数は、ガソリン車に対してe:HEV車が72%、タイプ別では「HOME」が47%、「BASIC」が19%を占めていたとしています。
そこから約6か月が経過した8月時点ではその人気に変動はあるのでしょうか。ホンダの販売店スタッフは以下のように話しています。
「現在、人気のタイプはHOME、次にCROSSTARといった状況です。
HOMEは装備内容と価格のバランスが評価していただいています。フィットであってフィットでないといったデザインで、今までのモデル像とは異なる点が人気の要因かと思います。
とくにCROSSTERは、唯一の3ナンバー車で、ほかのタイプと異なるSUVテイストの外装加飾や車高が上がっていることから、最近のアウトドアユーザーのニーズにマッチしていて好評です。
フィットのなかでもっとも高級感あるLUXEは、フィットよりも大きなモデルからのダウンユーザーや、扱いやすいコンパクトカーでも上質さを求める高齢層に人気となり、それぞれ異なるユーザー層となっている印象です」
■三者三様、「趣味のクルマ」の客層は?
新型フィットで展開される各タイプの価格を比較すると、基本形となる「BASIC」のガソリン車(FF)は155万7600円に対し、上質さを備えた最上級グレード「LUXE」のガソリン車(FF)では197万7800円と42万200円の差です。
ハイブリッド車では、「e:HEV BASIC」(FF)が199万7600円に対して、「e:HEV LUXE」(FF)は232万7600円と33万円の差が存在する状況となっています。
新型フィットを検討するユーザーについて、ホンダの販売店スタッフは、次にように説明します。
「やはり、クルマは高価な買い物のため、価格は重要視されます。しかし、価格だけですべてが決まるわけではありません。
もっとも価格が低いのはBASICですが、当店で1番売れているのはHOMEで、その次にCROSSTERと続いています。
BASICは装備を最低限にした基本形ですが、そこにLEDライトなどをオプションで追加していくとHOMEとほぼ同額になることや、シート素材も違うことからHOMEのほうがお得感があります。
CROSSTERはほかのタイプと比べて3ナンバーサイズということや、SUVらしいエクステリアとなっているため、若年層から年配層まで幅広いアクティブなお客さまに好評です。
最初は分かりづらいように思えますが、タイプごとに特徴が異なることから、今までより選びやすくなったという声を多く聞きます」
販売店スタッフは、NESSについて、「シートが撥水加工になっているため、スポーツなどで汗をかいても問題なく乗車できます。ツートーンカラーが好評で比較的若い人が多い印象です」と話します。
また、販売店のスタッフは、タイプによって三者三様の需要があると話しますが、CROSSTARはクロスオーバーSUVのテイストを盛り込んでおり、ほかのSUVと比較されることはないのでしょうか。販売店スタッフは以下のように話します。
「確かにCROSSTARはSUVを意識したつくりとなっていますが、弊社のヴェゼルといったSUVとは一線を画すモデルです。もちろん、似ているパッケージのため比較するお客さまは一定数おります。
しかし、ほとんどのお客さま側は違いを理解されており、CROSSTARはあくまでもフィットのなかで少しアクティブさが欲しい人に好まれています。
一方のヴェゼルを検討される人は最初からSUVを求めているため、直接的に競合することは少ないように思います」
※ ※ ※
異なる5つのタイプを設定したことで、ユーザーの選択肢が広がった新型フィット。ライバル勢とは異なる販売戦略によって、多様化するコンパクトカー市場で生き抜いていけるのでしょうか。
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