技術に対する挑戦、美しさに対する挑戦をしている「マツダ3」が2019年に登場した日本車のなかで、とくに評価したい1台だ。
技術に対する挑戦はまずエンジン。「スカイアクティブX」は“究極のガソリン・エンジン”を目指してつくられた。結果、燃費、レスポンス、パワー、トルク、音といったあらゆる面がよく出来ている。ただし、その分コストという点でまだ解決出来ていないものもあるものの、技術に挑戦する意気込みは応援したい。
サスペンションも新しくなった。しっかりとリアが踏ん張ることで高い安定性を保ち、安定性と相反する回頭性も良くしているから、文句はない。剛性の高いプラットフォームは、乗り心地とハンドリングの両面でその良さが感じられる。
誰でもわかるスタイリッシュなエクステリア・デザインも素晴らしい。ボディサイドの流麗な曲面は、単に図面に線をひいてできるものではないと思う。輸入車に対し、劣等感を持たず、乗れるクルマに仕上がっている。
そしてドライビングの基本であるドライビング・ポジションを正しく取れるように最初から設計し、レイアウトしている点も評価したい。マツダは2017年からペダル・レイアウトを変更し、アクセルペダル、ブレーキペダルを一般的なFWD(前輪駆動)車より右側に寄せて正しいポジションで座れるようにした。これでマツダ車のペダル踏み間違い事故は87%も減ったという。
マツダ3は、正しいポジションでドライビングし、新しいプラットフォームと新しいサスペンションによる軽快ながらも安定したハンドリングを操り、最先端技術のエンジンで駆動していくことを楽しめる魅力的な1台だ。
ベスト・オブ・輸入車:ポルシェ911(タイプ992)ポルシェ「911」(タイプ992)は、非常に魅力的なクルマだった。歴代911はしっかりしたプラットフォーム、官能的なエンジンを持ち、ドライバーと一体感を持って走れる魅力的なクルマであるが、タイプ992ではその魅力をあらためて認識出来た。
袖ヶ浦フォレストレースウェイのピットロードを走っているとき、たった30km/hなのに、微修正したハンドルに対するクルマの反応があまりにもダイレクトだったので驚いた。敏感で運転がナーバスになることもなく、ドライバーの意思がハンドルを通して過不足なく伝わる感じである。
そしてフロア部分の剛性の高さは桁違いの領域に入っている。これがハンドリング性能と乗り心地性能を両立させているポイントであると思う。ピットロード出口からアクセル・ペダルを踏んでいくと、乾いたエキゾーストノートが音程を高めていく。そこには機械的な雑音が混じることはなく、すべてがきれいに組み込まれた精度の高い機械時計のような緻密さを感じる。
低回転域からトルクはたっぷりあるが、やたらアクセル・ペダルのゲインを上げていないので扱いやすい。アクセル・ペダルの踏み込み量に比例したトルクが出るからだ。高回転になっても嫌がることなく、自分からまわっていくような軽快な感触はいかにもスポーツカーらしい。
コーナリングは非常によく曲がるのに安定感は抜群という、まるで限界が来ないかのような雰囲気さえ漂わせる。もちろん限界はあるが、タイトターンでも思いどおりに曲がれるし、限界付近まで追い込んでも挙動変化は非常に穏やかだから操るのは難しくない。
空冷時代の“難しい”911が好きな人からみたら「味が薄い」と、言われるかもしれないが、ドライバーの意思をクルマが汲み取ってくれるようなハンドリングは素晴らしい! の、一言である。
2020年、再試乗したい1台:BMW M2 competitionUwe FischerBMW「M2 competition」は、昔の「M3」を思い出させるコンパクトで高性能なスポーツカーである。いくら乗っていても飽きないところがいい。普通のM2も悪くはないが、competitionになるとエンジンは「BMW M GmbH」が手がけた本物のMエンジンに替わるところが大きい。
MエンジンはもとになるM2に搭載されているエンジンに比べ、アクセル・ペダルを踏み込んでいったときのパンチ力が増しているうえ、高回転域ではさらに元気になる。
M4よりコンパクトなボディであるため、日本のワインディングロードではキビキビとよく曲がってくれるから楽しい。
8速ATも選べるが、クラッチペダルを操れるなら6速MTに乗るのもいい。クルマを操る原点に戻って、クルマとドライバーが一体になって走る感じはATよりMTの方があると思う。
もちろん今の時代、MTよりATの方が0-100km/h加速も速いし、燃費も良いのは知っているが、スポーツカーはドライバーが操るおもしろさが第一優先にならなくてはいけないと思う。
M4もM5も、さらには新しいM8にもcompetitionが用意されている。たとえばM5はcompetitionになると、車高が10mm下がり、かつボディは補強され、エンジンも強化される。もとになる普通のM5との違いは、走るとすぐにわかるはずだ。
M2含めて、もしMモデルを買って永く乗るつもりなら、competitionをオススメしたい。
文・菰田潔 写真・安井宏充(Weekend.)
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