ファミリーカーとしての限界を追求したトヨタ30系「ヴェルファイア」
トヨタ「ヴェルファイア」(30系)で、スライドドアが開閉できる限界の車高を追求したオーナーの愛車を紹介。エアサスやワーク製ホイールを駆使し、ファミリーカーとしての実用性とレーシーなスタイルを両立させた見事なカスタム術を紐解く。
「ビビビッときた」。家族用のトヨタ30系ヴェルファイアが極低フルカスタムへ化けた瞬間
スライドドアが開く限界車高を極めた30系ヴェルファイアの実用性
低い。とにかく低い。
しかし、“てらやん”さんのトヨタ「ヴェルファイア」(30系)で注目したいのは、単純に車高の低さだけではない。掲げたテーマは、「ファミリーカーとしての実用性を絶対に崩さないこと」だ。そのうえで、どこまで車高を落とせるのかを追求した1台となっている。
「一番はファミリーカーとしての実用性を絶対に崩したくなかったので、その実用性を維持できる限界ギリギリまで攻めたかったんです」と語るように、その“限界”を象徴するのがスライドドアだ。
車高を落としすぎると開閉が難しくなる30系ヴェルファイアだが、“てらやん”さんの車両は、スライドドアが開かなくなる一歩手前に車高を設定している。それでいてヒンジ部分にワッシャーを入れるなどの加工もおこなっていない。
「出入りできないと、嫁に怒られちゃうので(笑)。そこを理解してもらいながらパーツを買うのは大事なポイントです」と笑顔を見せる。家族を乗せるための実用性を守りながら、限界まで低くする。この相反する条件を両立させる見事なカスタマイズの手法に注目したい。
エアサスで低さを追求しながら走れる状態をキープする
その低さを実現するのが、エアフォースのスーパーパフォーマンスを組み合わせたエアサス(エアーサスペンション)だ。
さらに足まわりには、J-LINEのアッパーアームを投入した。リアのスイングアームはワンオフで製作し、シェアスタイルの位置上げブラケット(リア)も組み合わせている。単純に車高を下げるだけではなく、限られたクリアランスのなかで実用性を確保するための足まわりを作り込んだ。
「カスタムカーってお金をかければいくらでも作れますけど、そうではなく、実用性を元にファミリーカーとしての形を崩さずにどこまでいじれるか、という点にこだわりました」
この言葉どおり、低さそのものを目的にするのではなく、「使える状態でどこまで攻められるか」を基準にしているのがポイントと言えるだろう。
10系時代から憧れていたアドミレイションで統一する
エアロはフロント、サイド、リアのすべてをアドミレイションで統一した。30系ヴェルファイアの存在感を引き立てるボディキットに、アヴァンツァーレのリアウイングを組み合わせている。
じつは、“てらやん”さんは以前10系アルファードに約8年間乗っていたという。
「10系に乗っていたときから、アドミレイションがかっこいいなと思っていて。30系に乗り換えたタイミングで、絶対これにしようと決めていました」
20系を飛ばして30系へ乗り換えたが、10系時代から抱いていたアドミレイションへの憧れはそのまま持ち続けている。長年思い描いていたスタイルを、現在の愛車でついに実現したのだ。
リアウイングにはアヴァンツァーレを選択している。アドミレイションのエアロに合わせて塗り分けることで、後ろ姿にも一体感を持たせた。
リアにはアドミレイションのフォグランプもセットする。さらにフロントにはfclのデイライトを取り入れ、夜間だけでなく昼間のフェイスにもアクセントを加えている。
一周回って戻ってきたワークのバックレーベルを履きこなす
そして、このヴェルファイアを強烈に印象付けているのが、白い20インチホイールだ。
装着するのはワークの「バックレーベル・ジーストBST2」となる。サイズは前後20×10、インセット16。タイヤにはナンカンの235/35を組み合わせ、限界車高に合わせた低いフォルムを作り上げている。
じつは、“てらやん”さんは以前からバックレーベル・ジーストを愛用していたそうだ。
「元々バックレーベル・ジーストを履いていて、その後2回ほど別のホイールに変えたんですけど、一周回ってまたバックレーベル・ジーストが欲しくなって戻ってきました」
その間にはグノーシスCVS、ランベックLS10などを履いてきた。それでも最終的に戻ってきた理由は、コンケイブデザインへのこだわりだったという。
「コンケイブがずっと好きで。CVSだとリムを深く取るのがなかなか難しくて。それでまた5本スポークに戻るのも嫌だったので、落ち着いた雰囲気のメッシュデザインを選びました」
BST2はメッシュデザインとコンケイブを両立できることが決め手となった。今回はディープではなくミドルコンケイブを選択している。
さらに注目したいのが、そのカラーだ。かつて流行した「白ホイ(白のホイール)」に、あえて現在挑戦している。ワークのオプションカラーとなる白を選び、ゴールドのピアスボルトを組み合わせた。
白いボディに白いホイールがしっかりマッチし、ゴールドのピアスボルトがアクセントになる。センターキャップもワークの担当者に相談してシルバーを選択するなど、細かな部分まで色合わせをおこなっている。
ミラーは立体感を出しアンテナにはさりげなくフレークをあしらう
ボディサイドで目を引くのが、グラントホープ223によるドアミラーのカスタムペイントだ。
きっかけは、関西に住む同じヴェルファイア乗りの知人だった。その車両に装着されていたミラーを見て気に入り、紹介してもらったという。
オーダーしたのは、派手になりすぎないシンプルなデザインだ。その一方で、3Dのような凹凸感を出してもらうことで、近くで見るとしっかり個性が伝わる仕上がりとした。
さらに、フロントのヘッドライトやグリルのカスタムペイントとルーフアンテナはカスタマイズ仲間でもある「おかちゃん工房」に依頼している。ルーフアンテナは一見すると小さなパーツだが、こちらも立体感ある仕上げを施した。さらにあえてフレークを入れてもらっている。
大きなエアロだけでなく、こうした細かな部分まで手を入れることで、車両全体の完成度を高めているのだ。
トヨタらしさを残しながらレーシーなスタイルへ仕上げる
リアまわりでは、アドミレイションのマフラーも存在感を放つ。低い車高と大径ホイールによってボリュームを増したリアビューに、エアロとマフラーを組み合わせることで、ミニバンらしい堂々としたスタイルをさらに強調している。
足元からボディ、そしてリアまで、それぞれのパーツを単体で目立たせるのではなく、全体のバランスを見ながら仕上げているのが、このヴェルファイアの特徴。全体の方向性について聞くと、“てらやん”さんは「トヨタらしさを残しつつ、レーシーに仕上げる」と語ってくれた。
アドミレイションのエアロ、白いBST2、ゴールドのピアスボルト、そして低く構えたボディ。どれも単純に派手さを狙ったものではなく、30系ヴェルファイアが持つ高級ミニバンらしさを残しながら、スポーティな方向へ振っている。
そして、このスタイルを支えているのが「家族で使える」という絶対条件だ。
子どもたちが乗り降りするスライドドアはちゃんと開く。必要に応じてエアサスで車高を調整できる。そして、家族から理解を得ながらカスタムを続けているのだ。
限界まで低くすることと、ファミリーカーとして使い続けること。一見すると相反するふたつの条件を、ギリギリのところで両立させた見事な1台と感じる。
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