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【4人に1人が経験】「良かれと思って窓側」がなぜ揉める? 新幹線・飛行機で変わる“快適な席”の条件とは

掲載 更新 12
【4人に1人が経験】「良かれと思って窓側」がなぜ揉める? 新幹線・飛行機で変わる“快適な席”の条件とは

窓側需要の集中とその背景

 乗り物の座席選びは移動中の心地よさを左右する大切な要素だ。エアトリ(東京都港区)が2026年6月10日から12日にかけて、過去3年以内に飛行機または新幹線を利用した全国の20代から60代の男女800人を対象に行った「座席選び(窓側 vs 通路側)に関する実態調査」(ネット調査)によると、飛行機では55.4%、新幹線では60.1%の人が「窓側」を選ぶと答えた。

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 窓側人気の手前には、答えた人の68%を占める「前もって細かく旅行の予定を立てる派」の存在がある。人は先の便利さよりも目の前の満足を重視する傾向があり、景色を楽しむという形のない価値をあらかじめ得ようとする思いが、窓側席を求める声を高めている。交通側が用意するネット上の仕組みで座席からの景色が確認しやすくなったこともあり、使い手が乗車前に席を決める機会が増えるなか、予約の仕組みは買い手とのつながりとして重要度を増している。

 一方で、乗る前の見込みをもとに席を選ぶ動きは、実際の車内で変わる心地よさとの間に隔たりを生み、思いがけない不満ややり取りの手間を招くことがある。調査から見える特徴のひとつが、一緒にいく人との間で起こる席選びの負担だ。家族や恋人と一緒に乗る際、どちらが窓側に座るかでもめたり、気を遣って譲り合ったりした経験がある人は

「25%」

にのぼる。相手を思って席を守ったり譲り合ったりする動きが、結果として小さなすれ違いを生む状況は、ひとりひとりにとって理にかなった選択が全体では不都合を招くことを示している。移動をひとつのサービスとしてつなぐMaaS(Mobility as a Service)の広まりにおいても、個人の判断と全体の便利さの両立は重い課題となっている。

 今の飛行機や新幹線の多くは、窓側の席から通路へ出る際、隣の人の前を通る必要がある。前は窓側が好きだったが通路側を選ぶようになった経験を持つ人は、飛行機で19%、新幹線で17%いる。移動を重ねるなかで、景色の値打ちよりも自分のタイミングで動ける便利さを優先するようになるためだ。

 こうした乗客の変化を受け、旅行会社や会社の出張管理を行うネット上の仕組み(BTM)では、ただ席を守るだけでなく、使い手の特徴や移動の目的に合わせ、人との距離感への見込みを整える顧客体験(CX)の管理が広がっている。窓側へ求める声の高さを前提としながら、乗客の異なる希望を仕組みの中で収めていく取り組みは、移動の質を高め、新たな価値を生み出す可能性を広げている。

時間と空間密度による需要反転

 使い手が座席に感じる値打ちは、ある条件を境に大きく変わる。飛行機で通路側を選ぶ人の割合は、乗る時間が「5時間以下」の場合は27%にとどまるが、「6時間以上」の長い移動になると37%へと10%増える。長い時間座り続けることが決まると、景色の満足感よりも気兼ねなく席を立てる便利さを重んじる傾向が強まるのだ。

 同じような変化は座席の広さや周りの環境によっても起こる。新幹線の「2列の席(D・E席)」で通路側を選ぶ人は22%だが、真ん中の席に他の人が座る恐れがある「3列の席(A・B・C席)」では32%へと増える。他人との距離をどれだけ保てるかという独自の空間(パーソナルスペース)への配慮は、移動中の心地よさに直結する。話をするほど近い距離(50cmから1.5m)や他人に入ってほしくない範囲(50cm Agra以下)に見知らぬ人が入ると、心理的な負担を感じやすい。自分の場所が狭められる恐れが高まるほど、使い手は自由に動ける環境を求めるようになり、時間や広さの変化によって座席の値打ちは変わっていく。

 こうした求める声の変化は、機内や車内の運用、車両の開発にも影響を与えている。長い時間の移動や席が詰まった配置では通路側を求める声が高まるため、事業者には座席配置の多様化や通路へ出やすい仕組みの広まりが求められる。

 今の仕組みはひとつひとつの席を選ぶ機能としては整っているが、座った後に起こる乗客同士の移動や譲り合いについては利用者の配慮やマナーに頼る部分が大きい。運べる効率を高めるために座席を詰めて配置すると、ひとりあたりの空間的なゆとりは小さくなる。みんなの乗り物には年齢や体の違いにかかわらず誰もが利用できるユニバーサルデザインが求められる一方で、大勢を効率よく運ぶことと個人の心地よい距離感の確保を両立させるのは優しくない。ネット上で前もって座席を選びやすくなったものの、当日の体調や気持ちのゆとりまでは完全に表せないのが今の姿だ。

 さらに、状況による心地よさの変化は、事業者にとって新たな価値を生み出す機会でもある。移動の時間や混み具合の見通しの情報を合わせることで、乗客が通路側を求める状況を前もって把握し、最も良い経路とともに座席の選択肢を勧める案内サービスの開発が進んでいる。自分の空間を守りたいという使い手の思いに応える取り組みは、周りのデジタルサービスと連携しながら移動体験の向上につなげられている。

未来の移動空間と利用者の判断

 これからの移動空間のあり方をめぐっては、乗り物そのものの改良と、情報技術を活かした調整というふたつの流れが広がっていくだろう。心地よさを高めるためにすべての席を通路につなげるような座席配置の変更は、乗客数の大幅な減少と運賃上昇を招くため、一部の高付加価値なサービスに限られる可能性が高い。社会の交通基盤には、便利さを高めようとすれば別の負担が生じるという、複数の要素を両立させる難しさが常にともなっている。

 一方で、AIを活かした状況に応じた座席の勧めや、混み具合に応じて価格を変えるダイナミック・プライシングは、より多くのサービスへ広がる可能性を秘めている。混むときは料金を高く、空いているときは抑えることで利用の集中を和らげる効果が見込める。ただし、この仕組みの導入にも課題はある。人は、他人と比べて自分だけが不利な料金を払っていると感じると不公平だと受け止める性質(不平等回避)を持つため、料金が変わる理由を分かりやすく伝えなければ、事業者は信頼を失う恐れがある。

 こうした移り変わりの時期において、事業者が用意する選択肢はさらに多様になり、使い手が判断する場面は増えていく。ネット上の仕組みが過去の利用傾向や状況を学んで座席選びを支える一方で、最後の価値判断はひとりひとりに委ねられるだろう。

 交通機関の形を変えるには多くの時間と費用が必要であり、短い期間で大きな変化を実現するのは難しい。そのため、次の移動でどの席を選ぶべきかという問いに決まった答えはない。使い手は、移動時間や座席配置、同行者との関係など自分が置かれた状況を踏まえ、自らの便利さと相手への配慮のバランスを考えながら適した座席を選ぶ必要がある。多様な移動手段をつなぎ、個人の便利さと社会全体の調和を目指すMaaSが広がるなか、事業者の選択肢拡大と使い手の選択が組み合わさることで、移動空間の価値は今後も変わり続けていくだろう。(作田秋介(フリーライター))

文:Merkmal 作田秋介(フリーライター)

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みんなのコメント

12件
  • sky********
    Enterキーばちこーんのリーマン「 (PCの)画面が見えないので日除けを降ろしてもらえませんか?」
    窓側のお姉さん「ここはSwork車ではないですよ?」

    普段なら平日の新幹線でそんな言い方しなくても、と思っただろうけど、
    この日ばかりはお姉さんよく言った!って思った。
  • lan********
    俺のベストは3人掛けの通路側だな。
    窓側を誰かが取れば真ん中が空くので広々。
    二人組(特に親子連れ)が取ったらリスクだけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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