約7年ぶりの開催となった1.5マイルオーバル、シカゴランド・スピードウェイで開催されたNASCARカップシリーズ第19戦『eero 400(イーロ400)』は、巧みな戦略を駆使して僚友の終盤における猛追撃を振り切ったチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が、今季初、シカゴランド初、そしてキャリア通算6勝目を飾る結果に。
未だ手首骨折から回復中であるクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)や、ポールウイナーとして挑んだデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を従えたことで、ジョー・ギブス・レーシング(JGR)はチーム史上8回目となる1-2-3フィニッシュを達成。さらにトップ10には7台のカムリXSEが入り、カップシリーズにおける同一メーカーの最多記録も樹立している。
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イリノイ州ジョリエットにあるこの1.5マイルのインターミディエイトトラックは、使用されず放置されていた7年の間に雑草が生い茂り、路面も経年劣化が進んだことでバンプ(起伏)、継ぎ目、亀裂、荒れた部分から滑らかな部分へと変化する路面状況など、コース特有のあらゆる特徴がさらに際立つこととなった。
ハムリンは4月に同地で行われたグッドイヤーのタイヤテストに参加した3名のドライバーのうちのひとりだったが、その情報を共有していたトヨタ陣営はライリー・ハーべスト(23XI Racing/トヨタ・カムリXSE)がFPで首位に立ち、予選ではハムリンが自身4戦連続となるポールポジションを手にした。
「最後の12台が走る際、コース全体に直射日光が当たっていたのは本当に幸運だった」と語ったハムリン。「最後の数台は(路面温度が)90%くらいだったと思うが、それが勝敗を分けた決定的な要因だったと感じている。僕が走った直後には路面温度が確実に上がっていたし、彼らのコーナリングスピードも落ち始めたように見えたからね。もし(僚友)タイ・ギブスの後ろにもう1台走っていたら、間違いなく彼らに抜かれていただろう。コースが完全に日陰に入っていたからね」
迎えた決勝は、開始からわずか2個のコーナーを過ぎたところで連鎖的なクラッシュが発生し、不運にもコナー・ジリッシュ(トラックハウス・レーシング/シボレー・カマロ)が早々のリタイアに追い込まれる。
グリーンフラッグからターン2に向けて加速していくなか、ジョン・ハンター・ネメチェク(レガシィ・モーター・クラブ/トヨタ・カムリXSE)がアウト側のリッキー・ステンハウスJr.(ハイエック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を壁へと押し出すカタチになり、ライアン・プリース(RFK Racing/フォード・マスタング)とジリッシュが巻き添えに。これでジリッシュの88号車はイン側の壁に激しくノーズから突っ込み、カマロZL1は修復不可能なほどの損傷を負い、これで直近7戦中4度目となるリタイアを喫することとなった。
さらに安定したスピードを保持しているように見えたカイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)もまた不運に見舞われ、僚友ウイリアム・バイロンの背後で3番手を走行していたラーソンの5号車は、93周目にスピンを喫して横向きになりインフィールドの芝生エリアまで滑走。舗装トラックへに戻るため牽引車による引き上げ作業を必要とした。
この間にラーソンは2周の遅れを喫し、ここまで続いている未勝利記録を終わらせるチャンスを絶たれると同時に、バイロンとの賞金100万ドルを賭けた勝者総取り形式の“インシーズン・チャレンジ”での直接対決にも敗れることに。そしてレースハイとなる94周をリードし、序盤の両ステージを制覇したそのバイロンもまた、最終ステージのピットストップ作業のサイクルで首位を明け渡し、最終的に今季4度目のトップ5入りとなる4位に終わった。
「勝てていたら最高だっただろうね……。ずっと勝利を渇望し、そのために懸命に取り組んできた。終盤の数スティントでは、勝利の感触を味わいかけていたんだ。最後のグリーンフラッグ下でのピットサイクルで19号車(ブリスコ)に先行されたが、終盤には他のドライバーたちがより新しいタイヤを履いていて、彼についていくためのペースが足りなかったよ」
トヨタ陣営内ではタイラー・レディック(23XI Racing/トヨタ・カムリXSE)もまた不運に見舞われ、パワーステアリングのトラブルが発生した前戦ソノマに続き、中盤の134周目に他車から外れたスプリッター・ステー(フロントスプリッターを支えるロッド)がラジエーターを直撃し、冷却液がコース上に漏れ出したことでコーション(黄旗)の起因となってしまう。この修理で29周を失い、ハムリンに1ポイント差で奪われていた選手権首位の座は、さらに44ポイント遠ざかる結果となってしまう。
ここから最初の両ステージで見られた混乱とは対照的に、最終ステージは173周目のリスタート以降、コーションが出ることなく進行。優勝争いにおいては周回遅れのマシン(ラップトラフィック)の存在が鍵となり、ベルの追撃は最終ホワイトフラッグ・ラップで20号車カムリXSEが先行車のダーティエアの影響でハンドリングが悪化したことで届かず。チームメイトが0.276秒の差をつけチェッカーを受けた。
「あぁ、素晴らしい1日ではあった。僕にとって(スポンサーである)SAIAのロゴを付けたトヨタでの最初のレースだったし、ヴィクトリーレーン(優勝)まであと一歩だったから」と2位に終わったことへの明らかな悔しさを滲ませつつ、今季計417周にわたってトップを走行しながら、未勝利のまま2位に4回入るという結果に留まっているベル。
「トヨタのマシンは速い。まるで『サル』でも運転できるんじゃないかと思えるほどで、だからこそ、別の『サル』に負けるのは悔しい……。僕はただの“2位止まりのドライバー”なんだ。それが僕という人間さ……」
そして全267周の215周目に、最後のストップのためピットロードへと向かい、首位バイロンを出し抜いたブリスコは「バス・プロ・ショップスの赤・白・青のカラーリングを施したマシンで、独立記念日(7月4日)の週末に勝てたなんて、最高にアメリカンな気分だよ」と喜びを表現した。
「信じられないほど素晴らしいマシンだった。(クルーチーフの)ジェームズ(・スモール)がいい仕事をしてくれたし、チームも最高だった。正直、こんな結果になるとは思っていなかったんだ。このカラーリングのマシンでヴィクトリーレーンに戻ってこられたのは、本当に最高だね」
「それに最後は周回遅れのマシンがいたのもラッキーだった。僕はかなり苦しんでいたし、クリストファー(・ベル)が確実に迫ってきていたから。数あるライバルの中でも、彼ならクリーンなレースをしてくれると分かっていたよ。これ以上ないほど素晴らしいレースだったと思う。駆け引きもあったし、マシンを滑らせながらの走行だったからね。映像でもその様子が伝わっていればいいんだけど……シカゴランドに戻ってこられて本当に興奮したし、またここに戻ってこられたらいいね」
併催されたNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ第20戦『Cuervo 300(クエルボ300)』は、雨の影響で開始が遅れたうえに今季シリーズ初のオーバータイム(延長戦)に突入。勝負の分かれ目となった200周目のリスタートでは、ブレンダン・ジョーンズ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタGRスープラ)とチェイス・エリオット(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)が、最初のふたつのコーナーを並走状態で通過し、ターン3以降は主導権を奪ったジョーンズが0.171秒差の劇的な勝利を飾っている。
[オートスポーツweb 2026年07月07日]
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