近年、力を入れて低金利にしていることなどもあって、新車購入で利用する人がとても増えているという「残価設定ローン」。
そして、この残価設定ローンの利用は、選ぶ車種によっては月々の支払いの負担が思っている以上に少ないケースもあって、そこが魅力になっているという。
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そんな残価設定ローンの利用で、特にお得感がある車種はどれなのか? 基本的な残価設定ローンの説明や注意ポイントを含め、新車販売事情に詳しい小林敦志氏が解説する。
文/小林敦志
写真/TOYOTA、HONDA、NISSAN
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■残価設定ローンは3年後や5年後に買い替えするユーザー向き
ここ最近は新車購入においてローンの利用が目立っている。しかも、その大半が残価設定ローンとなっている。設定した残価率に基づいて3年後や5年後の残価相当額を算出し、それを支払い最終回分として据え置くことで、月々の支払い負担が軽くなるというものである。
過去には“リース型ローン”などとも呼ばれたことからも、リースのメリットを採り入れたローンといっていいだろう。
残価相当分を据え置いた支払い最終回分の精算については、現金のほか、再ローンを組んで乗り続けることができるだけではなく、乗っている車両の返却や同メーカー車への乗り換えでも精算が可能となる。
つまり残価相当額分の現金を、乗っている車両との相殺によって手元に残すことができるのである。メーカーやディーラーとしては、この“浮いた分”を次の新車購入資金に回してもらうなどして、顧客を囲い込みたいという戦略的な部分も多いので金利も低めに設定されている。
ただ、残価設定ローンの利用には、月々の走行距離の上限が決められており、その走行距離をオーバーしたり、支払い最終回分の精算時には内外装の確認にあり、これで傷や汚れなどの減点が一定以上を超えると追加の支払いが発生する。
そのため、走行距離が10万km以上など過走行気味になるなど、クルマの使用がハードで傷が絶えないようなユーザーにはお薦めできない部分もある。
残価設定ローンではない、通常払いローンも用意されているが、いまでは残価設定ローンの利用が圧倒的に多くなっている。
こちらはホンダの残価設定ローンのイメージ図。「最終回のお支払分」のところが車種、クルマによって異なる。またフルローンと金利に差がある事もよくあるため、確認は必須
昔は残価設定ローンに比べ、通常ローン金利はかなり高いものであった。しかし今では、ホンダでは一般的な残価設定ローンと同じ金利である3.5%となっているが、トヨタは残価設定ローンが4.5%なのに対し、6%と少々割高な金利設定となっていたりするなど、メーカーによって対応が異なるので、確認してもらいたい。
■残価設定率の高さ=リセールバリューのよさで、人気の指標ともなる
残価設定ローンの“旨味”を高めるのは、なんといっても当該車両のリセールバリューとなる。
残価設定ローンが日本メーカー系ディーラーで普及を始めた頃は、顧客の囲い込みという意味合いが強く、残価率が50%や60%が当たり前という時期もあったが(リセールバリューを超えるものだった)、今では一般的な残価率は35から40%程度となっている。
アルファードのような“鉄板”ともいえる、高いリセールバリューを誇るモデルは例外となるが、それでもアルファードでさえ最大49%となっている。
現在の残価設定率は30%~40%が多い。残価設定率の申し子的爆売れ状態の「アルファード」も、今は最大49%と一時期に比べれば落ち着いた感もある
カテゴリー別で見れば、総じてリセールバリューがいいのは、ミニバン、SUV、軽自動車といえるだろう。
ミニバンとSUVに関しては国内での高い中古車人気だけでなく、海外輸出を行うバイヤーの間でも高い人気があることでリセールバリューがいいものとなっている。軽自動車は伝統的に、低年式(古い)であっても需要がしっかりあることで、リセールバリューが高めに推移していく傾向が目立っている。
メーカーのWebサイト上での、ローンシミュレーションに掲載されている、支払い最終回の金額が車両本体価格のどれぐらいの割合になるかをここでは“残価率の目安”として、代表的な車種を見ていくと(いずれも60回払い)次のようになっている。
ミニバンではヴォクシー約26%、シエンタ約25%、セレナ約46%、ステップワゴン約33%、オデッセイ約28%、フリード約32%。
SUVでは、ライズ約35%、RAV4約35%、ランドクルーザープラド約40%、キックス約38%、エクストレイル約42%、ヴェゼル約35%、CR-V約35%。
軽自動車では、ルークス約41%、N-BOX約35%、スペーシア約29%となっている。
■最近の残価設定率は「安全志向」。ただ買替の際に思わぬ恩恵を受ける場合も
全般的に見ると、「言っているほど残価率のよくないモデルが目立つ」と感じる人が大半だろう。現状での残価設定ローンにおける残価率は、かなり安全マージンを取ったものとなっており、そして“残価設定ローンは完済してはいけない”が販売現場での合言葉となっているのである。
どういうことか? というと、例えばミニバンではサンプルで示したなかでヴォクシーやシエンタは試算値では30%を割り込んでいる。ミニバンは現役子育て世代が乗っていることが多く、過走行や内外装の傷や汚れが多くなりやすいリスクをはらんでいる。
子育て世代に人気のSクラスミニバン「シエンタ」の残価設定率は25%程度と低め。子育てによる使用状況に影響されるためと考えられるが、その分査定額との差額が大きめになるケースもあるようだ
そのため設定する残価率は低めにしておきながら、支払途中でタイミングを見計らって下取り査定額で残債整理をしようとすれば、クルマの状態が問題なければ、設定残価率以上の査定額がつくケースが多いのである。
これはミニバンだけでなく、SUVや軽自動車でも傾向は同じ。
N-BOXもリセールバリューは、軽自動車のなかでもピカイチとされているが、試算するとN-WGNやN-ONEと大差のない残価率の目安となる。N-BOXも最終回まで完済せず、支払い途中で“売り抜ける”と、そのリセールバリューの恩恵を授かるケースが多いのである。
試算してみると、改めてSUVの勢いを感じてしまう。ライズやキックスあたりでも5年後で35%や38%が残価率の目安となっている。ただ日産は全般的に残価率を見ると“盛り気味”のような印象を受けるので、支払い途中で残債処理しても旨味は少ないかもしれない。
ランドクルーザープラドで約40%、エクストレイルで約41%、そしてCR-Vで約35%というのは、日本での売れゆきや存在感でいけば、「なぜこんなに高いの?」と思う人もいるかもしれないが、これらのモデルのリセールバリューを支えているのは、海外への中古車輸出需要といっていいだろう。
国内ではパッとしないホンダ「CR-V」もグローバルで見ればホンダのドル箱車。中古車での海外輸出を前提とした需要が見込めるため、日本の人気に関わらず35%の残価設定が可能。奥が深い世界だ
SUVは総じてリセールバリューが高く、それが残価率にも反映されており、買い得感は高い。
RAV4は国内でも人気が高いが、国内販売台数の少ないCR-Vは海外ではRAV4の「販売上でもライバル」となり、世界市場においてはホンダの“ドル箱”モデルとなっているので、海外バイヤーの間では人気が高い。大穴的狙い目車ともいえるだろう。
■メーカーの戦略や海外での中古車人気など残価設定のカラクリも複雑化している
ミニバンに関しては日産セレナを見ていると、約46%という残価率の目安は“戦略的なプラン”という印象が強いので、残価設定ローンを組むメリットは大きいだろう。
もちろんアルファードは改めて論じるまでもなく、残価設定ローンを利用しての購入は買い得感が高い(完済したほうがいいかもしれない)。アルファードでは、設定される残価相当額以上のリセールバリューとなるのは、ほぼ間違いないと販売現場では説明しており、売却時にいかに残価相当額以上に高い価値をつけるかが腕の見せ所となっている。
軽自動車では、やはり日産の戦略的な動きを感じるので、残価設定ローンに限って言えば、日産の軽自動車が狙い目のようにも見えるが、全般的にリセールバリューが高いので残価率にそれほどこだわる必要はないかもしれない。
日産は戦略として残価設定率を高めに設定している。e-Powerで高めの車両価格設定でも残価率が高ければ月々の支払い額は抑えられるという事だろうか
今回示した3つのカテゴリー以外でも、海外バイヤーの間で人気が高まれば、たちまち中古車相場が上昇し、査定価格もアップする。ただ、ボディカラーや装着オプションにこだわる傾向もあるので、なかなかその傾向は読み取ることはできない。
■さまざまざまな支払方法を比較しながら、どれがご自身にとって妥当かじっくり検討を
ちなみに、「ローンを使わず現金一括払いで長く乗り続けたい」という人は、SUVもしくは軽自動車がお薦め。RAV4、CR-Vクラスは、特に世界的に販売ボリュームゾーンとなっている。
そのなかで日本国内において、「査定額はつかないだろう」と思われた、低年式(古い)で過走行、内外装の状態悪く大幅減点となるモデルでも、数十万円の査定額がついたといった話はよく聞く話。
軽自動車も15年落ちぐらいで走行距離10万kmぐらいの中古車が、大手中古車検索サイトには結構いい販売価格でたくさん掲載されている。
なお、残価設定ローンで気をつけたいのは、残価率がよく支払い最終回に据え置く額が多いほど、月々の支払い負担は軽くなるのだが、支払いを進めても、いつまでも多額の残債を抱え込むこととなることだ。
セールスマンの話を聞くと、「頭金や支払い回数の調整などをしながら、月々の支払いは多少きつめにするのが理想的」という話がある一方で、「フルローンの利用が賢い選択」と説明するセールスマンもいるので、まずはセールスマンと相談し、自分の支払いスタイルを確立してもらいたい。
電動化や安全機能の充実等で、クルマの高額化による車離れ防止策なのかクルマの買い方が多種多様となっている。どの買い方が一番自身に適当なのかよく検討して決めて欲しい
その意味ではホンダのように通常ローンでも、残価設定ローン並みに低金利ならば、通常ローンで支払いを続け、頃合いを見て支払い途中で、下取り査定にて残債整理を行い新車へ乗り換えるという方法も有効かもしれない。
重ね重ねの話とはなるが、まずは購入希望車種のリセールバリューなども含め、商談の際にはセールスマンと、支払いプランについてもよく相談をしてもらいたい。
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みんなのコメント
イメージだから街でアルファード見るたびに、
あ〜無理してアルファード買ってるんだな!?って
思ってる