マニアックな希少車の宝庫
英国イングランドとアイルランドの間に位置するマン島。世界最古の公道バイクレースで知られるこの島の最北端、ジャービーには、これまで見たことのないような素晴らしい自動車の宝庫がある。
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マン島自動車博物館(Man Motor Museum)には、聞いたこともない、あるいはオンラインや書籍でしかお目にかかれないようなクルマが500台以上も展示されている。約200台の乗用車、商用車、何百台ものオートバイ、さらには宇宙カプセルまであるのだ。
今回は同博物館に展示されている興味深いクルマをほんの一部だけ紹介しよう。
01:創設者
マン島自動車博物館のコレクションは、ダレン・カニンガム氏とその父デニス氏による30年にわたる収集の成果である。博物館は2015年に開館し、ダレン氏は「他では見られないようなクルマをコレクションに加え、それをすべての人に紹介したいと思っています。そのため、非常に幅広い車種を揃える必要があります」と語っている。
ここで掲載する写真からもわかるように、その目標は達成されたと言っても過言ではないだろう。
02:ピールP50
P50は、あるテレビ番組のおふざけにより、かつてないほど注目を集めている。マン島で生産された全長1370mmの1人乗り自動車で、量産車としては史上最小のロードカーである。この博物館にはまるで当然のように、写真のオリジナルモデル、分解モデル、2011年のレプリカの計3台が展示されている。
03:ロータス・カールトン
最高出力300psのハッチバックが一般的な存在になり、600psのセダンも珍しくなくなった現在、1990年に登場したロータス・カールトンが当時どれほど波紋を呼んだか想像するのは難しいだろう。最高出力377psのツインターボ直列6気筒エンジンは最高速度285km/hを誇り、一部のメディアから反感を買った。もっとも、彼らはフェラーリには文句を言わなかったようだが……。
04:シトロエンDS
シトロエンDSおよびIDは、1955年から1975年までの20年間にわたり約150万台が生産されたが、そのうちコンバーチブル(いわゆるデカポタブル)はわずか1365台だった。写真の車両は1962年製のDS19で、シャプロン社が独自に生産したものだが、シトロエンのディーラーネットワークを通じてメーカー保証付きで販売された。
05:サンビーム・タルボット90
英国で戦後初めて開催されたモーターショーは、1948年のアールズコート・モーターショーだった。この車両も、そのモーターショーに出展されたクルマの1つだ。サンビーム・タルボット90は高級ファミリーカーで、このカットモデルはその魅力を披露するために製作されたもの。スタンドで支えられ、ショー用の電源を入れると、エンジン、ドライブトレイン、ホイールがすべて回転するというギミック付きだった。
06:プジョー205 GTi
博物館には奇抜な車両が数多くあるが、その中に、この205 GTi 1.9のようなメジャーな宝石も紛れている。この車両は個人所有で、オーナーは日常の足として購入し、現在はこうして博物館に貸し出している。
07:フォード・エグゼクティブ
フィアット130とほぼ同時代のフォード・ゼファー/ゾディアックMk4は、1966年から1972年まで生産されていた。最上位モデルのエグゼクティブは、パワーステアリング、サンルーフ、ウォルナット材のダッシュボード、シートベルトを装備している。
08:ロールス・ロイス・カマルグ
ロールス・ロイスで唯一、ピニンファリーナがデザインした量産車であるカマルグは、当時世界最高額のクルマであったにもかかわらず、多くの人々から「醜いアヒルの子」と評されていた。1975年から1986年にかけて531台しか生産されず、写真の1981年式の車両は、走行距離わずか1万9000kmだ。
09:カスタム・クラウド
派手なグラスファイバー製ボディの下には、1975年製のシボレー・モンテカルロが隠れている。米国人のジョン・テデスコ氏が考案したカスタム・クラウドは、ロールス・ロイスの4分の1の価格でその豪華さを再現することを目指していた。しかし、ロールス・ロイスの経営陣はこれを快く受け止めず、計画中止を迫ったため、再設計を余儀なくされた。
10:デロリアンDMC-12
DMC-12は、大きな可能性を秘めていたモデルだ。愛される部分も嫌われる部分もほぼ等しく存在し、他車とは違った独特のデザインには妥協点も多かったのだが、もっと完成度が高ければ競争力のあるクルマになっていたかもしれない。生産はたったの2年間で終了した。この車両は、非常に希少な右ハンドルのプロトタイプだ。
11:GMシーニクルーザー
博物館創設者のダレン氏は数年前、米国中をドライブするためにこの1954年製のバスを手に入れた。走行距離は800万kmから1000万kmと推定され、エアサスペンションとエアコンが装備されている。シーニクルーザーは当初、2基の4.7L 4気筒ディーゼルエンジンを搭載していたが、後に9.3L V8ディーゼルエンジン1基に換装され、最大トルク138kg-mを発揮した。1954年から1956年にかけて、バス会社のグレイハウンド向けに1001台が生産されたが、初期の複雑なエンジン構造が原因で、あらゆる点で悪夢のようなプロジェクトだったと伝えられている。
12:ギブス・アクアダ
多くの企業が水陸両用車の商業的な成功を試みてきたが、これまでのところ、非常に難しい挑戦であることが証明されている。2004年、ニュージーランドのギブス社がアクアダ(Aquada)というモデルを発表したが、わずか数台しか生産されず、跡形もなく歴史の波に揉まれて沈んだ(幸いにも文字通りの沈没はしなかったようだ)。この車両は同社のショーカーで、2021年に博物館に寄贈された。
13:アンフィカー・モデル770
商業的成功に近づいた唯一の水陸両用車は、1960年から1965年にかけて4000台近くが生産されたアンフィカーのモデル770だ。トライアンフ・ヘラルド1200のエンジンを搭載し、水上で時速7マイル(11km/h)、陸上では時速70マイル(113km/h)を出せることから770と名付けられた。生産は、現在BMWの主要株主として知られるクヴァント家所有の会社によって行われた。
14:デイムラー・マジェスティック・メジャー
控えめな外観とは裏腹に、1961年のデイムラー(※)・マジェスティック・メジャーは、最高出力220psの4561cc V8エンジンを搭載し、最高速度200km/hを誇った。ディスクブレーキを全輪に装備し、制動性能も優秀だったが、1960年から1968年までの間にわずか1180台しか生産されなかった。
(※:ドイツのダイムラー社ではなく、かつて英国に存在したデイムラー社のこと)
15:スズキ・カプチーノ
日本の自動車メーカーは、国内の軽自動車規制に適合するモデルを開発する中で、長年にわたり高い創造性を発揮してきた。中でもAUTOCARのお気に入りの1台が、657cc 3気筒ターボエンジンを搭載したカプチーノだ。写真の車両は、残念ながら亡くなられた博物館の支援者のご家族から寄贈されたものだ。
16: 修理待ち……
すべての展示車が完璧な状態というわけではない。手前は超希少なフィアット2300S、その背後はジャガーEタイプ・シリーズ1クーペだ。いずれも撮影時には修復作業が必要な状態だった。
17:フェラーリ612スカリエッティ
この博物館にはフェラーリが数台あるが、この車両は間違いなく最も目立たない存在だろう。612はフェラーリ愛好家の間でも見過ごされがちなモデルだが、それだけでなく、この個体はなんとマニュアル・トランスミッションを搭載している。612は合計3025台が生産されたが、マニュアル搭載車は199台しかなく、さらにそのうち右ハンドル車はわずか23台である。
18:アストン マーティン・ラゴンダ
ラゴンダは、1976年に世界の報道陣の前に初公開された際、その場で故障したことで有名だ。あまりにも作りが複雑で、特にデジタルダッシュボードやタッチセンサー式のコントロールが頭痛の種だった。アストンはすぐにこれらの機能を廃止したのだが、1981年製のこの車両にはまだ残っており、すべて正常に動作するとされている。
19:ボンド・バグ
著名デザイナーの故トム・カレン氏の代表作の1つがボンド・バグで、1970年から1974年にかけてわずか2270台が生産された。スポーティで楽しい低価格車というコンセプトで開発され、リライアント製の700ccエンジンから最高出力29psを発揮した。
20:フォード・エスコートRSターボ
「ブルーオーバル」のファン垂涎の1台、1985年式のエスコートRSターボだ。前述したプジョー205と同様、この車両も個人所有で、オーナーは1993年から所有しているという。フォードは5000台の生産予定だったが、人気が高く、最終的に8604台が出荷された。なお、この車両は2023年時点では展示されていたが、現在はオーナーの元に返却されてしまった。
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