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【ターボの足まわりを移植】ポルシェ911 カレラGTSへ試乗 480psのライトGT3 後編

掲載 更新 5
【ターボの足まわりを移植】ポルシェ911 カレラGTSへ試乗 480psのライトGT3 後編

メニューは「ライトGT3」的

執筆:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

【画像】992型ポルシェ911 カレラGTSとGT3 ツーリング 競合スポーツモデルと比較 全128枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


今回試乗した992型ポルシェ911 カレラGTSには、ポルシェ・ライトウエイト・パッケージが装備されていた。

四輪操舵システムに加えて、カーボンファイバー製バケットシートに軽量ウインドウ、空力特性を引き上げるボディキットなどが組まれる。さらにリアシートが撤去され、バッテリーも軽いものに置き換わるなど、内容はなかなかレーシーだ。

特にヴァイサッハ・バケットシートは、背もたれが固定式のスポーツシートの中で、一二を争うほどに快適。世界中の競合モデルに搭載されているシートと比べても、突出して良い。

シートの見た目は、確かにハードコアだ。でも、何の不満もなく800kmの距離を運転できるのではないかと思う。

ここまでの内容を振り返ると、カレラGTSのメニューは「ライトGT3」的に思える。ポルシェ・ディーラーとしては、人気の高いGT3を手に入れられないドライバーのための、格好のオススメ・グレードもなりそうだ。

通常の992カレラより直線は速く、コーナーではフラットで、グリップ力も高い。よりエキサイティングでありながら、しなやかな乗り心地は充分に残されている。

路上ではサーキット走行会が前提のGT3より、はるかに穏やかな乗り心地を享受できる。マナーが良く、カレラGTSはより日常的に乗りやすい。

しかもカレラSより生々しさがあり、ドラマチックさで勝る。通常の992型911に、もう少しの刺激を求めていたドライバーを喜ばせる内容だといえる。

姿勢制御はシャープに 操縦性の精度も向上

中回転域での加速力は、明確にカレラSから引き上げられている。同時に回転域を問わない柔軟性を備え、6000rpm以上まで気持ち良く吹け上がってもくれる。

アクセルペダルを踏み込んで、アクティブ・エグゾーストのフラップが全開になると、ポルシェらしいタービンの唸りが、エンジンサウンドに重なって響く。よりクリアで、聴き応えも良い。

突然アクセルペダルを踏むと、若干のターボラグも感取される。しかし、ドライバーの気持ちを鼓舞してくれる歓迎すべき音響だ。

ポルシェがシャシーへ施した変更によって、姿勢制御がシャープになり、カレラSと比べて操縦性の精度が向上。特に垂直方向のボディの動きは、印象的なほどに磨かれている。

高速道路の速度域では、確かな落ち着きを感じられる。波打ったような長めのうねりをしなやかに吸収し、優れた減衰力特性でリバウンドするような様子もまったくない。強めの入力も、GTSは見事に受け流してくれる。

ボディは上下動するものの、恐らく25mmも動いていないだろう。それでいて、アグレッシブ過ぎることもなく、揺れが残ることもない。素晴らしい設定だといえる。

GTSのシャシーが備える弱点を確かめることは、公道で許される範囲では難しい。グリップは非常に高く、ハンドリングは正確でタイト。限界領域へ近づくには、相当に積極的な運転が必要になる。

第一級のパフォーマンスとシャシー性能

一般道にいる限り、チャレンジングな道をハイペースで走っても、スタビリティ・コントロールのお世話になることは殆どない。もちろん、姿勢を乱すような場面もない。

サーキットに出れば、タイヤの温度が高くなるにつれて、より意のままの操縦性を引き出せる。活発なGTSのキャラクターを、ドライバーが関与して楽しむことができる。ただし、低速域でのドライバーとの一体感は、もう少し高められそうではある。

カレラGTSは、公道では素晴らしいドライビング体験を与えてくれる。サーキットに出れば世界最高クラスの走りに迫れる。反面、911の神秘的ともいえる情感豊かで繊細なハンドリングを完全に味わいたいなら、GTSはベストな911ではないかもしれない。

992型へ進化し、ポルシェ911 GT3やターボは従来にないほどハードコアになり、核心に迫ることが難しい領域へステップアップしてしまった。その点で、第一級のパフォーマンスと落ち着き、シャシー能力を備えるGTSの存在意義は間違いなくある。

今までは存在しなかった、新しいGTSが求められていたことは確か。その事実は、少し再考する余地もあるだろう。

だが、そのおかげで最新の911 カレラGTSは、より明確に定義付けできるような個性を持つポルシェへと仕上がっている。992型の中でも、注目に値する完成度だと感じた。

ポルシェ911 カレラGTS クーペPDK(992型/欧州仕様)のスペック

英国価格:10万8920ポンド(1655万円)
全長:4519mm
全幅:1852mm
全高:1298mm
最高速度:310km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.8-9.3km/L
CO2排出量:244-258g/km
車両重量:1545kg
パワートレイン:水平対向6気筒2981ccツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:480ps
最大トルク:57.9kg-m
ギアボックス:8速ツインクラッチ・オートマティック

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みんなのコメント

5件
  • スバル=低所得層の乗り物。
  • ライトGT3と評価してても、ポルシェが何故ターボと同じワイドボディーをGTSに与えなかったのかを知るべき。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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