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BMW Motorradが“M”の名を冠したバイクをスーパーバイク世界選手権に投入! カワサキの牙城を崩せるか!?

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BMW Motorradが“M”の名を冠したバイクをスーパーバイク世界選手権に投入! カワサキの牙城を崩せるか!?

■S1000RRから大きく進化したM1000RR

 WSBK(スーパーバイク世界選手権)は、5月21日~23日に開幕ラウンドを迎える。

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 開幕ラウンドが開催されるスペインのモーターランド・アラゴンで先日実施されたテストでは、現在6連覇中のジョナサン・レイ(カワサキ・レーシング・チーム)が、昨年のスーパーポールでのタイムを更新する1分48秒528を記録。新型Ninja ZX-10RR(以下:ZX-10RR)の順調な仕上がりを感じさせた。

 2021年シーズンもレイとZX-10RRの組み合わせがチャンピオンシップの大本命であることに間違いはないが、マシンを刷新したBMW Motorrad(以下:BMW)陣営にも大きな注目が集まっている。

 2019年にファクトリー体制での参戦を再開したBMWは、今季より参戦マシンをS1000RRからM1000RRに変更。モデル名のひと文字目に記された“M”は、BMWのグループ会社であるM社が究極の性能を求め、最先端の素材を使い、細部にまでこだわって開発した最高品質のマシンにのみに冠せられる。

 クルマにも興味をお持ちの方にはM3やM5でおなじみかと思うが、“M”の文字が車名に付いたバイクは初めてだ。

 ファクトリー参戦初年度にカワサキから移籍した2013年王者のトム・サイクスに加え、今季はヤマハからマイケル・ファン・デル・マークが移籍。2014年にホンダでWSS(スーパースポーツ世界選手権)のタイトルを獲得したファン・デル・マークは、WSBKでの優勝経験もあり、ホンダとヤマハで合計4回、鈴鹿8耐を制している。

 さらに今季はファクトリー・チームのふたりに加え、サテライト・チームのジョナス・フォルガー(ボノボ・MGM・レーシング)、ユージン・ラバティ(RC・スクアドラ・コルセ)が、M1000RRで市販車レース最高峰のステージを走る。

 S1000RRの直列4気筒に手を加えたエンジンは、チタン製コンロッドの採用などによりレブリミットが15,100rpmと500回転上乗せされ、最高出力も212ps(14,500rpm)と5ps向上。最大トルクは11.5kgm(11,000rpm)とS1000RRとカタログスペック上は同じものの、ロッカーアーム幅を1.5mm狭め、エアボックス・ファンネルを短縮することで過渡特性を最適化し、中速域でのトルクが太くなっているという。

 WSBKではストックで装着されていない空力付加パーツを付けることが認められていないことから、M1000RRはあらかじめカーボンファイバー製のウィングレットをアッパーカウルに装着。16.3kgのダウンフォースを発生する。

 市販状態ではカーボン製のホイールが履かされているが、コスト削減、予算規模が少ないチームの競争力を確保する観点からレギュレーションでカーボンファイバーやチタンなどの素材をホイールに使用することが禁じられているため、マグネシウム・アルミニウム合金の鍛造ホイールを装着することになると思われるが、カーボン製パーツを多用し、軽量に仕上げられた車体はそれだけで強みとなる。

 元の車重が軽ければライトやライセンスプレートホルダーなどを外し、フロントフォークなどをレース専用品に交換すれば最低重量の168kg以下となり、下回った分のバラストを重量配分的に見て最適な場所に積むことが可能だ。

■テストではサイクスが4番手タイムをマーク

 アラゴンでのテストでは、サイクスが全参加ライダー中4番手となる1分49秒857をマーク。連日190ラップ弱の周回数をこなし、手応えを感じている。

「非常に充実したテストだったと思う。トラクションコントロール、エンジンブレーキ、パワーレベルマップなど、電子制御全般について多くのことを試した。シャシーもセットアップやスイングアームの組み合わせなど、いろいろとテストしてみた。準備に長い時間を費やしたチーム全員に感謝したい。これから集まったデータを整理する必要があるけど、パッケージ全体を改善できると感じている。今年最初のレースを楽しみにしているよ」

 およそ1kmに及ぶアラゴンのストレートでファン・デル・マークがレイのZX-10RRより速い314km/hを計測し、ライバルとのギャップを縮めたが、まだまだ課題はある。他のメーカーがブレンボ製のブレーキキャリパーを装着する中、M1000RRは日本のニッシン製を採用。テストでは最新モデルとなるモノブロックの6ポットキャリパーを試していた様子だ。

 9番手タイムに終わったフォルガーが「ファクトリー・チームと同じブレーキを使いましたが、ブレーキングから理想的なラインを維持することができませんでした」とテスト後に話したように、足まわりのセッティングを含めたブレーキングでのマシンのコントロール性にやや物足りない点が存在するようだ。

 また、サイクスは「トラクションに関しては、まだ改善の余地があり、いくつかのオプションを検討している」とコメントしている。

 通算34勝、50回のポールポジションと輝かしい実績を残しているそのサイクスだが、BMWに移籍してからの2年間は、表彰台が計4回、ポールポジションが計2回とかつてのようなリザルトは残せていない。

 ファン・デル・マークもヤマハ内での存在感が少しずつ薄れてきた状況での加入だけに、まずは早い段階でポディウムに立ち、自らの健在ぶりを周囲にアピールしたいところだ。

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