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試乗 ディーゼルが追加 三菱エクリプス・クロス ガソリンとの差/悪路走破性を評価

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試乗 ディーゼルが追加 三菱エクリプス・クロス ガソリンとの差/悪路走破性を評価

もくじ

ー エクリプス・クロスを一発後押し
ー ディーゼル・モデル 走らせてみると
ー ガソリンとディーゼル 差異を観察
ー オフロードの走破性 試してみると
ー ディーゼル、どんなユーザーに最適?
ー 三菱エクリプス・クロス・ディーゼルのスペック

【画像】ディーゼル/ガソリン仕様を比較 全69枚

エクリプス・クロスを一発後押し

昔は「半歩先くらいがちょうどいい」という言い方をした。

一歩先に行くと周囲からの理解を得られず、先駆けの名誉はあっても商業的に失敗するの意。

ミツビシで言えばワゴン型ミニバンの先駆けとなったシャリオが典型だろう。SUV関連では現行RVRも先に出すぎて理解を得られなかったタイプ。ダウンサイザー狙いの大人っぽい都会的SUVは今の売れセンのひとつだが、波が来る前にパドリングして乗り損ねた感がある。もうひとつ燃費性能とコストを優先し過ぎたパワートレイン設定も足を引っ張ったと考えられる。

エクリプス・クロスはプラットフォーム面でRVRと姉妹車の関係にあるが、同じ轍は踏まないと言うべきか、新開発の1.5ℓダウンサイジングターボ/CVTを搭載してデビュー。エクリプスの名が示すスポーツ&スペシャリティなイメージにも時代にも適合したスペックを備えていた。

そこにもう一発後押しをすべく追加されたのが、今回試乗した2.2ℓディーゼル車だ。

搭載エンジン及びミッションは先に登場しているデリカD:5ディーゼルと共通。尿素SCRを用いた最新スペックの4N14に8速ATを組み合わせている。

パワースペック及びミッションギア比設定も共通であり、最終減速比はエクリプス・クロスのほうが4%速い設定(タイヤサイズは共通)。

ちなみに車重はデリカD:5の270kg減、割合では約14%減となり、重量比と総減速比を見ても同じパワートレインなら動力性能はかなり向上すると予想される。

ディーゼル・モデル 走らせてみると

100km/h巡航回転数は約1500rpm。ふつうに走らせていると約2000rpmでアップシフト。速度低下によるダウンシフトは1500rpm前後なので、大概は1500-2000rpmに収まってしまう。

常用回転域の狭さはデリカD:5と比較しても際立っている。デリカD:5も巡航回転数は1500rpm前後をターゲットに変速制御されるが、緩加速や登坂でのダウンシフトタイミングが早く、加速時も2500rpmくらいまではふつうに使う。ダウンシフト頻度も加速時のアップシフトタイミングもエクリプス・クロスはかなり印象が異なっていた。

全開で加速。トルク特性はレブリミットの4400rpmに向かって緩やかに落ちていくタイプであり、昨今のディーゼルとしては回して美味しいタイプではない。というか、そこまで踏み込む前に、回転数なら3000rpmを超える前に狙った加速が得られる。回転を抑えてグイグイ、というタイプ。

余力感もたっぷりで大トルクがドライブフィールにきっちり反映されている。付け加えるなら、常用回転域の関係もあって静粛性も向上している。

それはいいのだが、そこで考えてしまうのがキャラとの整合性。ターボ車もやたらと高回転を使うタイプではないが、1段ダウンシフトで2000rpm以上の領域を積極的に使い、ターボらしい伸びやかな加速感が楽しめ、キャラに似合いである。

ガソリンとディーゼル 差異を観察

そういったスポーツ&スペシャリティなイメージを求めてエクリプス・クロスを選択するとディーゼル車の変速設定はあまりに回さなすぎると感じられるかもしれない。

もっとも、圧倒的な巡航ギア維持能力と余力感はツーリングカーとしては大きな魅力である。狭い回転域を保つために細かく繋いでいく変速感も小気味いいし、速度変化が少なければ勾配変化にも巡航ギアでこなしていく滑らかさも心地よい。大人の余裕を感じさせる。

フットワークは重量増の補正を加えているが、基本的な特性はターボ車を踏襲した設定。なのだが、乗り心地も操縦感覚も重質な味わいが加わっている。

ちなみにターボ車との車重差は約130kg。大半がパワートレインと差となれば前後軸重量配分も大きく変わる。要するにかなりノーズヘビーになったわけだ。

前後軸均等を信奉するドライバーには悪化以外の何物でもなく、操舵反応のよさや軽快感はターボ車より低下しているのも事実。ただ、挙動の収束感や据わりのよさ、直進時の落ち着きはハンドリングの信頼感を高めるし、どっしりとした乗り心地は走りの車格感を向上する。これもツーリングカーに適した特性であり「大人味」である。

と、ターボ車との差異にスポットを当てて書き出すと些か針小棒大にも映るが、乗ればすぐにキャラがシフトしたくらいに感じる程度の違いはある。

オフロードの走破性 試してみると

ディーゼル車限定の走行性能ではないが、この試乗では本格オフロードでのエクリプス・クロスの実力も試せた。ちなみにS-AWCの走行モードはオート/スノー/グラベル(ダート)の3モードで、デリカD:5やアウトランダーには設定される悪路踏破に特化したロックモードは設定されていない。

最低地上高も175mmであり、スペックだけ見れば「オフロードは嗜む程度で」とも思えてしまうが、多少の深入りも無問題である。

パッと見には表面が乾いているが、雨上がりのダート路。しかも所々に剥き出しの岩やぬかるみ。コースにはすり鉢やモーグルのハードクロカン向けステージも設定される。

案の定、ノーマルタイヤは濡れた岩肌ではまともなグリップは出ない。それでも適宜介入する電子制御LSDが利いて無事に踏破。モーグルも同様であり、それほど神経質なスロットルワークを用いなくてもクリアできた。

ホイールスピンを押さえようと細かなペダルコントロールを行えばさらにスムーズにこなしてくれる。

強いて難点を挙げるなら降坂制御がないこと。滑りやすい急降坂では便利な機能である。マニュアルシフトで1速選択、後はブレーキのペダルコントロールで降りる。

泥濘降坂ではABSが頻繁に介入するが、チョイ緩めてABS解放後緩やかな踏み増し、といったコントロールで難なく降坂完了。方向の乱れが少ないので差ほどの緊張もない。

降坂制御があればもっと安心だろうが、無くても不安を感じることはなかった。アウトドア趣味にのめったユーザーでもこのくらいの悪路踏破性があれば余裕だろう。

ディーゼル、どんなユーザーに最適?

エキセントリックなスタイルだが大人の4名乗車にも十分な室内。後席からの見晴らしも同クラスのSUVでは良好である。

後席にはスライド&リクライニング機能を備えているので乗車人数と積載荷物量のアレンジもしやすい。

4.4m強の全長なら込み入った市街地の取り回しで苦労することもない。スペシャリティ志向のコンパクトSUVでは実用的な設計だ。

そこに大トルクのディーゼルが加われば、街乗りも遠出も、さらには悪路もこなすオールラウンド性能も1ランクアップ。大型のレジャーグッズやスポーツギアの積載を前提にしなければタウン&レジャーに最適。ポストファミリーが余暇と余生を楽しむにもいい。この点では冒頭で述べたRVRの後継車にも位置付けられる。

気になるのは価格だ。ターボ車の同グレードとの価格差は約30万円。差額は納得できるが、スペシャリティ志向のSUVはいずれも高めの価格設定。エクリプス・クロスも例外ではなく、約306万円からの設定。最上級グレードのGプラスパッケージでは約340万円。ちなみにアウトランダー4WD(2.4ℓ)のGプラスパッケージは約335万円である。

つまり、経済性と実用性を優先したダウンサイザーにはコスパはイマイチなのだ。

エクリプス・クロス・ディーゼルが最適なのはダウンサイジングを前提に、実用性や走行性能の余裕あるいは汎用性をレベルダウンしたくないというユーザー。アウトランダーなどのファミリー&レジャー向けの実用的SUVからのダウンサイジングを考えているならぴたりと嵌る。

夫婦で多様なプライベートライフを楽しみたいと思えばディーゼルはエクリプス・クロスの魅力を倍増するアイテムと言えよう。

三菱エクリプス・クロス・ディーゼルのスペック

価格:340万円
全長×全幅×全高:4405×1805×1685mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費(JC08):15.2km/ℓ
燃費(WLTP):14.2km/ℓ
CO2排出量:182g/km
車両重量:1680kg
パワートレイン:直列4気筒2267ccターボ
使用燃料:軽油
最高出力:145ps/3500rpm
最大トルク:38.7kg-m/2000rpm
ギアボックス:8速オートマティック

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