1947年にたま電気自動車が登場
年内に、日産リーフがフルモデルチェンジする。これにより、リーフは3世代目の電気自動車(EV)となる。EVで、3世代に渡り歴史を積み上げるのは、世界でリーフだけであるという。
180SXとの加速バトルで勝利するCM……は面白いけど失敗だった!? 初代日産リーフが残した偉大なる足跡
リーフは、2010年に初代が発売された。それから、15年目に入る。
三菱自動車工業は、リーフより1年前の2009年に軽自動車のi-MiEVを発売し、これが世界初の量産市販EVとなったが、i-MiEVは改良(マイナーチェンジ)を施しはしたものの、フルモデルチェンジによる世代の継続はなく、新たにeKクロスEVとして軽EVの価値を継承した。
リーフが3代目を迎えることも歴史的な出来事だが、日産自動車は、それ以前からもEVとのつながりの深い系譜を持つ。
1947年(昭和22)のたま電気自動車は、日産と合併する前のプリンス自動車工業の前身となる東京電気自動車が売り出したEVである。
第二次世界大戦から2年後の昭和22年当時は、まだガソリンなどが配給制であり、誰もが容易に手に入れられる時代ではなかった。そこで、戦時中は立川飛行機の技術者だった人たちが電気で走るEVを開発したのであった。
バッテリーは、クルマの補器を動かすために今日も用いられている鉛酸式であったが、床下のバッテリーを交換式として、利便性の確保につとめた。また、最高速度は時速35kmほどであったが、一充電航続距離は96kmを実現していた。日本に高速道路ができるのは、1963年の名神高速道路であり、その15年以上前の時代であれば、十分な走行性能を備えていたといえるのではないか。
そして、1966年に日産とプリンスは合併する。
次に、EV開発が本格化するのは、約50年後の1996年だ。旭化成の研究者であった吉野彰博士がリチウムイオンバッテリーの実用化にめどをつけ、1991年にソニーが実用化し、それをクルマに適用したのが日産のプレーリージョイEVである。そして、1997年に限定的に30台のリース販売を行った。最高速度は時速120kmで、一充電走行距離は200km以上である。
トヨタが、ニッケル水素バッテリーでハイブリッド車を発売したのが1997年だ。それに対し、日産は、EVの開発を粘り強く進め、2000年にふたり乗りのシティコミューターとしてハイパーミニを完成させた。
最高速度は時速100kmだが、市街地を中心に走るクルマとしては十分な動力性能だ。そして、リチウムイオンバッテリーを使い、一充電走行距離は115kmである。その実用性だけでなく、アルミ押し出し材によるフレーム構造や、パンクしても走り続けられるランフラットタイヤの装着、非接触式充電など、将来の実用化を視野に新技術が投入され、国内では神奈川県横浜みなとみらい地区でカーシェアリングを実施し、米国ではカリフォルニア大学デービス校で用いられるなど、日常の足としての実用性を検証した。
これまでの取り組みが今後の日産を支えていく
その後、2005年から2011年までは、モーターショーのEVコンセプトカーとして、PIVO(ピボ)1~3が製作されている。ピボ1では、のちにリーフが採用するラミネート型リチウムイオンバッテリーを搭載した。ピボ2では、客室が回転することでどちらの方向へも前進できるようにして後退せずに利用できるようにしたり、タイヤを90度横へ操舵し、真横へ移動できるようにしたり、EVならではの容易さを提案した。そしてピボ3では、自動運転による自動駐車など、バレーパーキングの自動化などを実現し、クルマ利用で面倒な場面をEVで解消する提案を行っている。技術面では、インホイールモーターを採用した。
こうしたEVならではの技術や用途を模索したうえで、2010年に量産市販のリーフが発売となるのである。
そのリーフの要素を活用し、NV200のEVも発売し、商用バンやミニバンでのEV価値を提供している。
ここまでのEV開発を通じ、かつその技術を応用して登場するのが、シリーズハイブリッドのe-POWERだ。
さらに、リーフは2017年に2代目へモデルチェンジし、翌2018年には中国市場向けとして4ドアセダンのシルフィ・ゼロエミッションが発売になる。
フラッグシップとして、2020年にはアリアが誕生。
そして、2022年に日産として初の軽EVであるサクラが、三菱自動車工業との協業で誕生することになる。この開発は、日産と三菱自の合弁会社であるNMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)によって進められた。
ここまでを振り返ると、リチウムイオンバッテリーに着目し、それをNECとともにラミネート型へ発展させるという独自の取り組みを行い、自社で生産し、初代リーフの発売につなげるなど、一貫したEVへの取り組みが支えてきた歴史を知ることができる。今日まで、バッテリーを起因とした事故ゼロを積み上げる、安心のEVという価値は、日産のほかにないのではないだろうか。
また、これから競争が激化するとみられる自動運転においても、日産は初代リーフで取り組みをはじめており、モーター駆動の発展性を早くから探り続けてきた。
そして、スカイラインのプロパイロット2.0で、世界に先駆けハンドルからの手離し走行を実現し、e-POWERのセレナにも適用した。
自動運転は、モーター駆動であるからこそ実用化が目に見えてくる分野であり、1990年代から30年に及ぶEVの取り組みが、日産のこれからを支えていくことになるのではないだろうか。
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みんなのコメント
家にはハイブリッド車もありますが、どこかに出かける時は、ほとんどリーフですね。
何となくですが、乗り心地、運転しやすさが違いますね。エンジンがかかったり、止まったりが気持ち悪く感じてしまう。
ただ、相変わらず長距離移動がネック…
特に日産ファンではありませんが、今までの技術を台湾や中国企業に吸われてしまうのは悲しい