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テスラの戦略 先見の明か テスラがバッテリーメーカーに?

イーロン・マスクCEOが率いるテスラ社は、アメリカで今やGAFA以上に人気の高い企業となり、多くのファンドや一般のファンに支えられていることは良く知られている。そしてコロナ禍下にある2020年7月以降に急騰し、9月の時点でテスラ社の株価は年初の6倍にまで達している。

時価総額は日本の自動車メーカー9社合計より上

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そのため、テスラの時価総額は一時は40兆円を超え、トヨタ(時価総額:約22兆円)はおろか日本の自動車メーカー9社合計の時価総額を超えているから驚きだ。新型コロナウイルスの影響により、グローバルで新車販売が減少する中、テスラだけは健闘しており、上半期の販売台数は市場の予想を上回り、第4四半期連続で黒字化を達成している。かつては赤字続きだった業績は堅調・・・つまり、バブル投資の対象になっている、いや堅実な成長の評価だ、と見方は分かれている。

トヨタやフォルクスワーゲングループの1/30という小規模の自動車メーカーで、この時価総額は驚異というほかない。

とはいえ単に一時的な株高というだけではなく、中国・上海工場の生産、販売が加速しており、2021年にはヨーロッパの拠点となるドイツ工場が完成し稼動を開始するなど、テスラの成長は軌道に乗っていると見るべきだろう。

テスラの第3四半期(2020年7月~9月)の生産台数と販売台数はモデルS、X、3、Yの4車種で、合計生産台数は14万5000台、販売台数は13万9台で、営業収益は345億円となった。この数字は好調と評価されている。それと同時に、テスラのニューモデルは現在まで、いずれも販売が好調で失敗作がないことも特長だ。

さらに、テスラは多くのファンに支えられており、顧客からの購入予約金は常に700億円~800億円レベルで積み上がっている。もちろん他社のように販売網の整備に多くの資金を投入したりすることもなく、販売店に支払うインセンティブ(販売奨励金)もゼロだ。

他の自動車メーカーからの大きな収益

またテスラの安定的な経営を支えているのが、アメリカにおけるゼロエミッション クレジットだ。ZEV規制をクリアできない他の自動車メーカーに、テスラのゼロエミッションで得られたクレジット(CO2排出枠)を販売して稼いでいるのだ。

テスラは多くの自動車メーカーとクレジット取引をしており、2020年の4月~6月の3ヶ月間でのその売り上げは435億円といわれ、年間では1600億円を軽く上回るから凄い。

それだけではなく、ヨーロッパでのCO2規制(企業別平均燃費)下でも「オープン プール」制度(複数の自動車メーカーが提携して企業平均CO2排出量を産出する)が認められ、これは一種のCO2排出権の取引制度が認められているのだ。

ここでもテスラは企業別平均燃費が芳しくないFCAグループとオープンプール協定を結び、このグループ内での平均燃費がカウントされることになる。その結果として平均燃費改善のための対価として、金額は非公開ながらFCAからテスラには年間で推定600億円以上という支払いが行なわれるのだ。FCAグループとしては、EUにCO2の罰金を支払う金額より30%程度は安くなるというメリットがあるが、テスラにとっては濡れ手に粟の収益だ。

テスラは、これまで純粋にクルマを開発し、製造・販売する乗用車事業では赤字が続いていたが、2019年後半以降は黒字に転じ、さらに今後益々アメリカでの排出ガスクレジットと、ヨーロッパにおけるCO2規制に対するオープンプール制度での売り上げの拡大を考えると、収益に関しては優良企業と考えて間違いないだろう。

テスラがバッテリーを自社生産する背景

こうした好調を背景に、テスラは2020年9月22日に投資家向けの説明会「Battery Day」を開催した。一部には全固体電池の発表かとも予想されたが、そうではなく、新型のリチウムイオン バッテリーをテスラが自ら開発・生産することを発表したのだ。

これは既存の電池メーカー各社に衝撃を与えることになった。特にテスラにバッテリーを供給しているパナソニック、韓国のLG化学、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は大きなショックを受けたはずである。

パンソニックと組んでアメリカに巨大なバッテリー生産生産工場「ギガファクトリー」を構えているテスラが、なぜ自社開発のバッテリーを開発・生産する決断を下したのか?

その理由は、現在の電動化が加速している時代背景にある。例えばフォルクスワーゲンは2025年までに電気自動車の生産目標を年間150万台にすると計画している。ルノーは、現時点で年間10万台の電気自動車を販売している。

さらに、PSAグループは2020年からグループ内のブランドで相次いで電気自動車を発売しており、FCAグループと合併する2021年からはより電気自動車の生産台数を加速することになるだろう。

アメリカにおいてもGMがいよいよ本格的に電気自動車モジュラー プラットフォームを採用した車両の生産を開始し、そのための組立工場と、モジュラープラットフォームに搭載される「アルティウム」バッテリー生産のための専用工場(アルティウム セルズ)をLG化学と合弁で建設し、2021年度から稼動を開始する。このバッテリー工場での生産規模はテスラのギガファクトリーと同等レベルという巨大な工場だ。

このように見ると、世界中の有力自動車メーカーが電動化、電気自動車を開発し、かつてない規模での販売を計画している一方で、自動車用のリチウムイオン バッテリーの需要が逼迫しているのだ。

高精度な生産技術、高い耐久信頼性が求められる車載リチウムイオン バッテリーを生産できるバッテリーメーカーは世界中で限られている。中国のCATL、BYD、韓国のサムスン、LG化学、SKI、そして日本のパナソニックなどだ。

これらの電池メーカーは世界の自動車メーカーの需要に応えるために生産規模を拡大し続けている。調査会社の予測では2025年には255GWhという膨大な容量のバッテリーが必要といわれている。

しかしその一方で、以前から言われているリチウムイオン バッテリーの大量生産に伴う価格の低下にはブレーキがかかっている。なぜなら現状では電池メーカーの売り手市場になっており、電気自動車やPHEVの生産を拡大する自動車メーカーは、どれだけリチウムイオン バッテリーを確保できるかが見通しできない状況にあるのだ。

現状の車載用のリチウムイオン バッテリーの価格は200ドル/kWh~100ドル/kWhの範囲と推測されているが、このレベルから今後さらに価格ダウンするとは考えられず、逆に各自動車メーカーの電動化に伴う需要の拡大で、価格がアップすることさえ想定できる状態だ。

自動車業界で最大規模の電気自動車の生産を計画しているフォルクスワーゲン グループは、ヨーロッパ市場向けにLG化学、サムスン、SKIと提携し、また、中国市場向けにはCATLと提携しているが、それでも将来的には不安を隠さず、スウェーデンのバッテリーベンチャー企業のノースボルト社と合弁し、新たなバッテリーの生産、次世代バッテリーの開発を行なっている。

このように見ると、現在では電気自動車メーカーのトップ企業であるテスラも、巨大グループでの電気自動車の生産が本格化すれば、近い将来には電気自動車生産・販売台数では中小規模になり、バッテリーメーカーとの購入契約上でのメリットは失われることが予想されるのだ。

このような見通しのもとで、テスラはバッテリーの自社開発・自社生産を選択したと考えるのが妥当だろう。

新たな高性能バッテリー

テスラのバッテリー開発と生産に関する発表は次のようになる。現状のギガファクトリーと新工場でのバッテリーの生産能力を、2022年中に年間100GWh、2030年までに3TWhを目指し、車載バッテリーパックの単位容量当たりのコストを56%引き下げる。

そのコスト削減した新しいバッテリーを新型車に搭載し、車両価格を2万5000ドル(約258万円)とした新型EVを23年までに発売する。そしてEVの生産能力を、2030年までに年間2000万台とするという途方もない内容だ。

こうした状況は、テスラにバッテリーを供給しているパナソニック、LG化学はにとっては受け入れられない話だ。

そして、今回発表したテスラが開発中のバッテリーは、「4680」と呼ぶリチウムイオン バッテリーセルで、「4680」とは直径46mm×長さ80mmの意味で、現在使用しているセル「18650」(18mm×65mm)、「2170」(21mm×70mm)よりも大きなこの円筒形セルを使うことで、約14%のコスト低減を見込んでいる。

そして、この「4680」のバッテリーセルの設計、最新の負極(シリコン材)、正極(コバルトなしのニッケル材)の素材の開発と生産方法の革新を行ない、自社工場で生産し、さらにより効率的な車両への搭載方法を掲げている。




このバッテリーセルは、大型化したにもかかわらず発熱量を下げ、効率を向上。この新サイズにするだけで、従来のバッテリーセルの5倍のエネルギー、6倍の出力、航続距離では16%の向上を可能としている。

この新バッテリー セルはテスラのフリーモント本社工場のすぐそばにある実験プラントでパイロット生産され、生産効率を検討しているが、1年後には年間10GWhのバッテリーを量産できるという。バッテリーの生産は装置産業と呼ばれるように、巨大な製造設備が必要だが、テスラが構想する新バッテリー工場は画期的にコンパクトな高効率な工場を目指している。

とはいえ、車載用のバッテリーは、パソコン用バッテリーなどとちがって、高精度、高耐久・信頼性が要求され、そのために歩留まりのよさを高めるためには生産技術の洗練など、バッテリー生産ならではの多くのハードルがあることも確かで、これをどのように突破できるかが課題になる。

次はバッテリーの搭載方法だ。現在の電気自動車はバッテリーセルを複数個まとめたバッテリーモジュールを組み合わせてバッテリーパックにし、このパックをフロア面に搭載するのが一般的で、テスラもこの方法を採用している。

しかしより効率的な搭載方法として、セルそのものをシャシー構造として使用するというのだ。つまりモジュールを廃止し、縦に配置される多数のバッテリーセルの上下に高剛性なシート材を採用してバッテリーパックとするのだ。テスラは、航空機の翼で採用されているインテグラル燃料タンクから着想したという。

これらの新型バッテリーと、高効率な生産、より軽量な搭載方法などにより、トータルでのバッテリーコストは70ドル/kWhのレベルとすることができるとしている。

なお、テスラはすでにモデル3でリヤのサブフレームやアンダーボディをアルミ鋳造の一体ユニットにするなど、他社にはない車両生産にも挑戦しているが、フロント・セクション、リヤフェンダー周りなども一体成型する計画で、アルミ鋳造ユニットを駆使してボディの構成部品を大型一体ユニット化することで生産効率を高めることも目指している。

このように見ると、テスラは次世代の電気自動車の生産でリーダーシップを握り、自社製のバッテリーにより価格メリットを追求することで、電気自動車としての競争力を高める戦略を選択したということができよう。

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