フォグ/ポジションランプだけで走行、派手な色のランプに交換……違法じゃないの?
最近、夜の道路を走っていると「フォグランプだけ点灯」や「フォグランプ+ポジションランプだけ点灯」という状態で走行しているクルマを見かける機会が増えてきました。
でも、ヘッドライトを点灯していなかったり、ポジションランプが青やピンクなどさまざまな色をしていたりと、ルールとして「大丈夫なの?」というクルマが少なくありません。
ここ最近でこういったクルマが増えている事情や、法的な解釈を確認していきましょう。
これからランプをカスタマイズしようと考えている方は、マネをするとどんな結果を招くのかの参考にしてください。
【 画像ギャラリー 3枚】【元警察官】が解説!「フォグ/ポジションだけ」点けての夜間走行は違法!「ランプの色変更」は車検対応品でも要注意!……の写真を見る!
フォグランプ/ポジションランプの役割
クルマのライト(ランプ)といえば「前を照らすもの」だと思われがちですが、これはヘッドライト(前照灯)の役割です。
フォグランプとポジションランプには別の役割があります。
フォグランプは「前部霧灯」といい、主に雨や霧といった視界不十分のシチュエーションでヘッドライトを補助するほか、対向車や歩行者などに「ここにクルマがいます」とアピールするものです。
多くの車種ではフロントだけに装備されていますが、最近では後部のリアフォグランプを装備している車種も増えてきました。
ポジションランプとは「車幅灯」と呼ばれるものです。いわゆる「スモール」とはこのランプを指します。
ポジションランプは、その名のとおりクルマの車幅を示すことで周囲にクルマの存在を知らせる役割をもっています。
フォグ/ポジションだけを点灯していても「無灯火」になる
道路交通法第五十二条一項によると「車両等は、夜間、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と定められています。
さらに道路交通法施行令第十九条によると「トンネルの中、濃霧がかかっている場所その他の場所」も同様に灯火をつけなければなりません。
これらの規定があるため、夜間やトンネル内など周囲が暗い状況では、基本的にヘッドライトを点灯させていないと「無灯火」で違反になります。
周囲が暗いシチュエーションだと、当然、ヘッドライトを点けていなければドライバーは前方をしっかり確認できないので危険です。
フォグランプでも前方を照らすことはできると思っている方がいるかもしれませんが、フォグランプはその役割からヘッドライトよりも低く配光されています。
ドライバー自身が「よく見えている」と感じていても運転に必要な明るさとしては不十分なので、フォグ/ポジションだけ点灯して前照灯を消したままの走行はやめましょう。
ネットでは「違反にならない」という意見も……ホントのところはどうなの?
一部、インターネット上では「フォグ/ポジションだけの走行は違反にならない」という記述があります。
これは、道路交通法第五十二条二項の規定が関係していると考えられます。
「車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。」
【引用】道路交通法|e-Gov
この規定は、夜間やトンネルなどの暗い状況において、ほかのクルマとすれ違ったり、ほかのクルマに追従するとき、ライトがまぶしすぎてほかのクルマの走行を妨げてしまうおそれがある場合は、ライトを消したり、照度を落としたりしなければならないというものです。
条文の「灯火を消し」という部分に注目すれば、たしかに「ヘッドライトを消す」という措置を指していると考えられるでしょう。そうすれば、ヘッドライトを消してフォグ/ポジションだけで走行しても法的には問題がないともいえます。
しかし、この規定はあくまでも「ほかのクルマの走行を妨げてしまうおそれがある場合」に限るものです。さらに、なぜわざわざこのような規定があるのかといえば、そもそもクルマは「通常はハイビーム、ほかのクルマとすれ違うときはロービーム」というルールを根拠づけるためであり、ヘッドライトを消して走ることを許すためではありません。
勝手に拡大解釈した不確かな情報を信用すると危険です。
フォグ・ポジションの色を好き勝手に変えると違反になる
クルマに装備されるランプ類の色は、運輸省令、告示で定められています。
<灯火の種類> <告示で指定された色>
前照灯(ヘッドライト) 白色・淡い黄色 ※H18以降に製造されたクルマは白色のみ
車幅灯(ポジションランプ) 白色・淡い黄色・橙色 ※H18以降に製造されたクルマは白色のみ
前部霧灯(フォグランプ) 白色・淡い黄色
後部霧灯(リアフォグランプ) 赤色
方向指示器(ウインカー) 橙色
制動灯(ブレーキランプ) 赤色
尾灯(テールランプ) 赤色
番号灯(ナンバー灯) 白色
これらの決まりは「保安基準」といって、保安基準を満たしていないクルマは整備不良として扱われます。もちろん、車検にも通りません。
クルマのランプ類はソケットに差し替えるだけのカンタンな構造のものが多いため、自分好みの色に変更するカスタムも容易です。しかも、ネットで探せばさまざまな色のものが販売されているので、保安基準を満たさない色のランプでも入手できます。
たとえば、ポジションランプをピンク色のものに交換するのは、平成18年以降に製造されたクルマの場合、ポジションランプは白色のみと定められているので、完全にアウトです。
メーカーの「車検対応品」でも要注意
自動車部品のメーカーが販売している商品には、保安基準を満たしていることを担保するために「車検対応品」と表記しているものが多数あります。しかし、メーカーは実際に車検に通るか通らないかを保証してくれているわけではありません。
たとえば、メーカーが「白色」とうたっているランプでも、色温度が高くなりすぎると「青色」と判断されることがあります。フォグランプのように淡い黄色が認められているランプのなかにはライムイエローなどの商品がありますが、色味が緑に近づくと淡黄色とは認めてもらえないかもしれません。
しかも、車検場の検査員の判断によるところも大きいので、たとえ車検対応品だとしてもNGにされてしまう可能性もあります。
整備不良/車検NGにならないためには、完全NGの商品を選ばないのはもちろん、さらに「ギリギリOK?」といった商品も選ばないことが大切です。自分好みのドレスアップもクルマを楽しむ要素のひとつですが、保安基準を満たさない限りは「公道を走ることが許されないクルマ」なのだと認識してください。
レポート&撮影●鷹橋公宣 イラスト●モーサイ編集部
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