現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 走破性能はまさかのGT-R超え! 「日産ノート e-POWER 4WD」の氷上性能がハンパなかった

ここから本文です

走破性能はまさかのGT-R超え! 「日産ノート e-POWER 4WD」の氷上性能がハンパなかった

掲載 37
走破性能はまさかのGT-R超え! 「日産ノート e-POWER 4WD」の氷上性能がハンパなかった

女神湖の氷雪コースで日産の最新ラインアップをテスト

 長野県の女神湖上に作られた特設コースにおいて、「日産ノート」シリーズの「e-POWER 4WD」を中心に試乗してきた。そもそもノートはエンジンで発電した電力をもとに、100%モーター駆動で走るクルマ。トルク制御は1/10000秒単位で行われているというから、氷上のような滑りやすい路面であったとしても耐えられるということなのだろう。

【試乗】単なるノートの「上級グレード」ではない! 日産ノートオーラが「小さな高級車」と断言できる理由とは

 日産いわく、旧型モデルでも4WDモデルは存在していたが、リヤのモーター出力はかなり小さく、発進や登板路、氷結や深雪には対応できていたものの、追い越しやカーブといった状況ではその良さが出し切れなかったという。旧型に対して14倍の出力となる50kW、トルク100N・mを達成したリヤモーターを持つ新型ノートは全車速帯で対応でき、ライントレース性能が飛躍的に向上したというから期待は高まる。

電動モーターのポテンシャルを活かす精密なトルク制御

 e-POWER 4WDの見どころはリヤモーターの出力アップだけではない。駆動力設定に対してのセッティングもポイントだ。加減速や旋回によって4輪各々が受け持つことが可能なキャパシティはつねに変化している。タイヤの摩擦円がつねに大きくなったり小さくなったりすることを繰り返しているが、それに対して適切な駆動力を与えようということ。

 そんなの当然のことでしょ、と思うかもしれないが、その考えをドライ路面と低μ路とで使い分けを行い、安定した走りを展開しようとしているのだから恐れ入る。ドライではスタート時から前後の荷重移動に合わせてリヤへ積極的に駆動力を与えている。

 具体的には0.33Gまでリヤの駆動力を増やし、その後はフロントに移行。ワインディングではタイヤの限界まで考慮した前後駆動力設定を考えているとのこと。タイヤのグリップ限界をつねに見据え、そこをフルに引き出そうというわけだ。それをキメ細やかなトルク制御が可能なモーターで行っているのが見どころのひとつだろう。

減速時には回生ブレーキが有利に働く

 だが一般的に、低μ路になるとタイヤの摩擦円は極端に小さくなり、グリップ限界を飛び越しやすい。そこでe-POWERは低μ路判定をモーターによって行い、リヤの出力をダウンする制御を瞬間的に行っている。従来のモデルであればスタビリティコントロールの「VDC(ビークルダイナミクスコントロール)」がスリップを検知し、出力をダウンさせるなどの処置をしていたが、それではタイヤが滑ってから制御されているわけで、挙動の乱れが出てしまう。その前にモーターによって低μ路判定が可能なところが特長のひとつといっていい。

 一方で減速側に対してもe-POWER 4WDはメリットを持っている。それはアクセルオフ時にリヤでも回生ブレーキを作動させることが可能になる点だ。氷結路において時速40km/hからのアクセルオフ減速では、旧型に対して40%もの制動距離短縮を実現。新型の2WDに対しても20%ほど減速が早いようだ。ちなみにアクセルオフ時に出せる4WDの最大Gは0.20。2WDモデルは0.18という設定がそもそもあるのだが、氷結路では制動距離にここまで違いが出るのかと驚くばかりである。

ノートe-POWER 4WDが見せた驚くほどのコントロール性

 さて、そんな「ノート」の4WDはどんな走りを展開するのか? まずはベースモデルの4WDモデルから試乗する。スタート地点からやや乱暴にアクセルを開けてみたが、横方向に対してのブレがなく、修正操舵を必要とせずにスルスルと発進してみせた。氷上とはいえ路面がボコボコとしており、決して平坦ではない女神湖。路面の各部には雪が乗っており、じつはその部分でグリップし、一般的なクルマでは修正操舵がどこかで必要になってくるもの。だが、本当に綺麗に発進してくれるのだ。

 私がドライブした試乗車は唯一ブリヂストンのブリザックVRX2を装着。ほかのノートは新作のVRX3であった。つまり、横方向に対してはVRX3に対して不利なタイヤなのだが、それでも乱れが少ないのはすごい。一方、減速側はアクセルオフだけでも4輪で安定して止まれる感覚がある。フットブレーキに触ると即座にABSが働き進路を乱されるのだが、e-pedalに頼って走るとライントレース性能はかなり高い。

 そのあとにクロスオーバーやオーラにも乗ったが、基本的な特性は変わらず。クロスオーバーは背が高く振り子のように動くところがあり、それを引き締めた足でカバーする造りだが、4WDを手に入れたことで安定した走りを可能としていた。オーラは3ナンバーサイズのボディに合わせてタイヤ幅を185から205へと引き上げたことでさらなる安定感があり、じつにコントロール性に優れた走りを展開していた。これはなかなか面白い。

GT-Rのトルク制御すら霞んで見える

 4WDを体感したあとにFFモデルの基準車や「ノートオーラNISMO」に乗ると、今回のような路面ではさすがに物足りなく感じる。発進時には簡単に進路を乱し、減速時には不安定感がつきまとうのだ。舗装路では輝いていたクルマも、女神湖に来ると霞んで見えてしまう。NISMOにも4WDをと願うが、重量増を補うだけの動力性能を与えられなければダメだというのが日産の考えのようだ。

「スカイライン」(FR)や「GT-R」(4WD)にも同じコースで乗ったが、やはり扱うには難しさがあった。具体的に言えば、求めた通りにトルクが発生せず応答遅れが顕著であること、さらには滑ってから収めるという制御の遅れもまた気になった。

いま氷上ベスト日産車はノートオーラe-POWER 4WD!

 実際にはタイムを計測することはなかったが、今回もっとも速かったのは間違いなく「ノートオーラ」の4WDモデル。スカイラインの「400R」だろうが「GT-R」だろうが、やはり霞んで見えてしまったのだ。

 ならばどこまで楽しめるのか? 最後はノートオーラ4WDの「VDC」をオフにして定常円旋回やスラロームで思い切って走らせてみた。すると、定常円では本格ラリーカーのようにドーナッツターンをキメることも可能! ドリフト円旋回もずっと続けられるほどのコントロール性があったのだ。右足の要求を即座にリヤへ与えられる感覚があるこのシステムは、最大で70%ほどリヤに駆動力を配分できるという。おそらく舗装路じゃこうはいかないのだろうだが、今後のモーター駆動は安全なだけでなく、とっても面白そうだということも理解できた今回の試乗だった。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
レスポンス
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
LE VOLANT CARSMEET WEB
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
motorsport.com 日本版
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
くるまのニュース
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
バイクのニュース
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
AUTOSPORT web
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
AUTOSPORT web
F1ラスベガスGP FP1:序盤から上位につけたメルセデスがワン・ツー。ノリス、ルクレール、フェルスタッペンが続く
F1ラスベガスGP FP1:序盤から上位につけたメルセデスがワン・ツー。ノリス、ルクレール、フェルスタッペンが続く
AUTOSPORT web
ラッセル、サインツ抑えポールポジション! ガスリー驚異の3番手、角田裕毅もQ3進出7番手|F1ラスベガス予選
ラッセル、サインツ抑えポールポジション! ガスリー驚異の3番手、角田裕毅もQ3進出7番手|F1ラスベガス予選
motorsport.com 日本版
新潟~青森直結 壮大な「日本海東北道」全通まであと少し!? 約320kmの「すごい高速」最後の未開通部どこまで工事進んだ?
新潟~青森直結 壮大な「日本海東北道」全通まであと少し!? 約320kmの「すごい高速」最後の未開通部どこまで工事進んだ?
くるまのニュース
F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
motorsport.com 日本版
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
AUTOSPORT web
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
乗りものニュース
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
くるまのニュース
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
AUTOSPORT web
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
AUTOCAR JAPAN
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
Auto Messe Web
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
AUTOSPORT web

みんなのコメント

37件
  • GTーRが氷上で一番で有る必用はないと思う
  • この間青森の市街地でリーフとノートの比較をしてる動画を見たけどだんぜんノートの4駆のほうが性能がよかった
    ありえない条件より実際の豪雪地帯の市街地のほうがどれだけ実用的かがわかるね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0335.0万円

中古車を検索
ノートの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

144.8268.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1.0335.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村