アウトビルトジャパンの江原社長から「フェラーリ296スペチアーレの発表会一緒に行きませんか?」とお誘いを受けたとき、真っ先に悩んだのは、この酷暑の中、いったい何を着ていくかであった。
なにをマヌケなことを言うのかと呆れられるかもしれないが、なにせ自分の人生には一番縁がないフェラーリの発表会である。きっと会場にはルカモンテゼーモロ予備軍みたいな伊達な雰囲気のジャーナリストが、シャンパングラス片手に談笑する世界なのだろう(と勝手に推測)。
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いつものボタンダウンシャツにジーンズ、それにジャケットくらいじゃあきっと門前払いか笑いものの種にされるのがオチだ……何を着て、どんな靴履いて、どんなメモ用紙(笑)持って行きゃいいのか、悩み始めるときりがないが、一生にこんな機会もまた来ないだろうから、ちょっと気が重いまま会場となった富士スピードウェイホテルに向かうことにした。
富士スピードウェイの玄関にはインバウンドの宿泊が乗ってきたに違いないアルファード エクスクルーシブラウンジやレクサスLMが複数台並んでいたが、それをちょっとだけ睥睨するように渋いプロサングレが玄関付近に置かれていたことだけが「中で今日はフェラーリの何かイベントがあるのかなぁ」と思わせる演出で、「フェラーリ296スペチアーレの発表会会場はこちら」などと書かれた案内板は一切なし、こういうスカした一見さんお断りな部分に妙に緊張してしまう。 猛暑日にもかかわらずエアコンがキンと聞いたホテルの中に入ると、右側のフェラーリレッドに塗られた受付前には数人のモータージャーナリストが立ったまま談笑している。その中には高名なジャーナリストや超著名編集者の姿もあるが、どうやらきっちり時間にならなければ受付は開始しません、ということらしい。
こういう場合、普通はちょっと忖度して「時間前ですが早めにどうぞ~」と始めることもあるはずだし、そのほうがイタリア的な感じもするが、今日は時間ドンピシャでないとダメらしい。果たして予定時間ピッタリの時間に受付は開始され、われわれも順番の列に並ぶことにした。 フェラーリレッドの受付カウンターにはシルバーのレリーフの跳ね馬がつけられ、さらには生の美しい花がクリスタルの花瓶に生けられている。華美ではないが十分に豪華な演出といえるが、順番が来て名刺を渡し、参加者名簿と一致すると「これをお使いください」と無線式のレシーバーを深紅のプレスキットとともに渡された。
フェラーリの象徴「跳ね馬」。プレスキットそのものは普通の紙のもので、一切写真(画像)の類はない代わりに、小さくフェラーリのマークが入っていることと、ここだけ深紅の赤囲みで「エンバーゴ 本件に関するいかなる情報、文章、画像などのすべての公開日時の厳守をよろしくお願いします」と厳しく書かれていた。
あえて照明が落とされた薄暗い会場は、赤いヴェールを被った車両を中心の線対象に、赤い札のグループ1と青い札のグループ2に分けられ、それぞれ5つずつくらいの円卓に4~5人くらいのジャーナリストや編集者が分かれて座るような設定となっている。その時点で開始の時間までにはまだ30分くらいあるのだが、コーヒー、紅茶、ソフトドリンクと、3種類のカナッペがヘルプユアセルフ状態(つまりは、ご自由にどうぞ)で用意され、各テーブルで談笑しながらつまんだり、飲んだりして待つ時間が続く。ちなみにキンと冷えた紅茶の味も、3種(ミニキッシュ、ミニクロワッサンのカナッペ、上品な彩のスイーツ)のお味は大変良く、ちょっとどことなくイタリアンな香りがした、というのは大げさかもしれないが、とにかく美味しいもてなしであった。
定刻12時30分を5分過ぎて開始されたプレスプレビューは、この手の発表のセオリー通り、まずはちょっと大きめの音と格好いい映像が大型スクリーンで流された後、フェラーリジャパン代表取締役社長ドナート ロマニエッロ氏の日本語による(!)オープニングスピーチと、今回のために本国から来日したフェラーリS.p.Aヘッドオブプロダクトマーケティングのエマヌエレ カランド氏による英語でのプレゼンテーションが行われた。なお、今日は一切の囲み取材も質疑応答も行いません、とのこと。なんともツンデレな対応だが、なにせフェラーリなのだから仕方ない、と思うことにする。
ドナート ロマニエッロ氏(左)とエマヌエレ カランド氏(右)。今回恐れ多くも同じテーブルに座らせていただいた、元NAVI編集長・元GQ編集長の鈴木正文氏は一切翻訳音声の無線レシーバーなど使用せず、カランド氏の流暢な英語のスピーチの要点をさらさらとメモする姿が格好良くイキである。
30分弱続いたオープニングスピーチとプレゼンテーションが終了すると、二人の係りの方が音楽に合わせて赤い布をアンヴェールすると、鮮やかな明るいグリーンに塗られた今回の主役である296スペチアーレが姿をあらわした。グリーンの色調はなんとも新鮮だ。
その後はすぐにフォトセッション。カランド氏とロマニエッロ氏が車両の隣に立つと盛大にフラッシュが炊かれシャッター音が鳴り響く。
さらにその後はここからはグループAとグループBに分かれてのウオークアラウンドと呼ばれる、車両に近寄っての撮影タイム。ドアが開けられ、エンジンフードが開くたびに蜜に群がる蜂のようにカメラマンたちは車のそばで撮影に没頭する時間である。結局この日は定刻の13時30分には「それでは終了された方はご自由にお帰りください」とのアナウンスが流れ、自然に自由解散となったが、皆様が気になっているはずのノベルティは(笑)、296スペチアーレのイメージスケッチ一枚であった。(最近のノベルティではこういうスケッチが多い、とのこと)
最後に今回発表されたフェラーリ296スペチアーレについて簡単に触れておくと(笑)、ミッド・リアエンジン プラグンハイブリッドのスぺシアル版で日本での開催10回目となるフェラーリ レイシングデイズ2025に合わせての初披露となった。
一言でいえばチャレンジストラダーレ、430スクーデリア、458スペチアーレ、488ピスタといった流れの中の最新モデルで、ドライブングエクスペリエンスを求めるフェラリスタのためのクルマとのこと。
ミッド・リアエンジンのスペシャルフェラーリは伝統的にレースを強く意識したモデルとなる。カーボンファイバーやチタンといった素材の採用で車重を60kg減らし、モーター部にエクストラブーストテクノロジーを採用した結果「普通の」296GTBを50馬力も上回る880馬力となり、サイドウイングをはじめとするエアロダイナミクスの進化により、総ダウンフォースは250km/h時に435kgと、従来よりも20%も多くなったという。
この60、50、20という数字はプレゼンテーション時の要のようで、大きく誇らしげに投影されていた。フェラーリとしては珍しく華やかなグリーンに塗られたボディには25と、これまた大きく数字が描かれていたが、この25はいったいナニか、と聞いたところ「たぶん2025年じゃないからかなぁ(笑)」とのあいまいな答えを聞いた。
なんともスタイリッシュな展開の発表会だというのに、こういうなんとも人間くさい部分があったことが妙に嬉しかったし、僕は大好きである。
Text:大林晃平Photo:アウトビルトジャパン
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コレクター用だな