バレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)の約1年半ぶりの優勝が、残り4周で露となって消えた。MotoGP第18戦マレーシアGPで、終盤までレースをリードし続けたロッシ。しかし残り4周で、転倒により優勝争いから脱落してしまう。「何が起こったのかわからない」とロッシは振り返る。
今季苦戦を強いられてきたヤマハファクトリーが、タイGP以降息を吹き返し始めている。前戦オーストラリアGPではマーべリック・ビニャーレスが今季初優勝。そしてその翌週に行われたマレーシアGPで、ロッシが決勝レース終盤までトップを守り続けたのだ。
中上、MotoGPマレーシアGPで最後列から追い上げポイント獲得も「FP3のリズムを発揮できなかった」
スコールに翻弄されながらも行われた予選では、ロッシは3番手タイムをマーク。しかし1番手タイムを記録したマルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)が6グリッド降格のペナルティを受けたことで、ロッシは2番グリッドから決勝レースを迎えた。
レーススタートから力強くホールショットを奪ったのはロッシだった。ロッシはペースを維持し、そのままトップを守る。12周目には、2番手に浮上してきたマルケスに対し約1.2秒ものアドバンテージを築いていた。
しかし、残り10周ごろになると、ロッシは暑さとタイヤの消耗に苦戦していたという。この日の気温はレーススタート時点で34度。路面温度は53度にまで達していた。
ロッシが転倒したのは残り4周の1コーナーだった。リヤからスリップダウンを喫したロッシは、グリップを握ったまま1コーナーのアウト側に滑っていく。その横をマルケスが通りすぎる。ロッシはすぐにマシンを起こして戦線に復帰。しかし、優勝には程遠く18位でレースを終えた。
「とても残念だよ」とロッシはレースを振り返る。「シーズンのなかでもベストレースだったのにね。いいペースで攻めていたし、勝つチャンスがあった。でも不運にも残り4周か5周で、転倒してしまったんだ」
ロッシは転倒時について「何が起こったのかわからないんだよ」と語る。「クラッシュしたんだから、ミスをしたんだろう」
このとき、ロッシの約コンマ6秒後方を走っていたマルケスは「彼は1コーナーで小さなミスをした。最後、僕たちふたりのバトルがどうなるか見たかったから残念だよ」とコメントしている。
転倒により優勝を逃したロッシだが、それでもマレーシアGPので得た感触は上々だったようだ。
「でも、今週はいい週末だったよ。バイクのセッティングが改善したからね。まださらに作業を進めなければならないと思うけれど、ここ数戦でバイクはよくなってると思うんだ」
2018年シーズンのMotoGPも残すところあと1戦。最終戦バレンシアGPのみだ。苦汁をなめ続けた今季、いい形で終わりたいところだろう。
「バレンシアは僕たちにとって難しいサーキットだから、バレンシアでも力強い戦いができるかどうかだね」
2戦連続の優勝はかなわなかったが、少しずつ、モビスター・ヤマハ・MotoGPが本来の勢いを取り戻しつつある。
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