マツダ車ファンが特別な感情を抱く
2023年9月、マツダから実に11年ぶりとなるロータリーエンジン搭載車が誕生した。今回改めてドライブした『MX-30ロータリーEV』がそれだ。
【画像】ロータリーエンジン搭載のコンパクトSUV!『マツダMX-30』とPHEVの電動車『マツダCX-60』 全26枚
MX-30シリーズにはそれ以前から、MHEV(マイルドハイブリッド)やBEV(バッテリーEV)がラインナップされていたが、後者は2025年3月末をもって生産を終了。その実質的な後継モデルとなっていたのが、ここで紹介するロータリーEVだった。
フロントフェンダーにフィットされる、ロータリーエンジンのローターをモチーフとしたバッジに、マツダ車のファンが特別な感情を抱くのは当然だが、今回このモデルに搭載された830ccの排気量を持つ、1ローターの『8C』型エンジンは、それ自身で駆動力を生む役割を担ってはいない。
それは17.8kWhと、かつてのBEV仕様のおよそ半分の容量となった、フロア下のリチウムイオンバッテリーを充電するための電力を発電する機能を持つのみだ。
そもそもコンパクトな設計のロータリーエンジンには、同時に縦方向にも横方向にも搭載することが可能だという特徴がある。いわゆるレンジエクステンダーとしては最適なエンジン形式とも言えよう。
トータル走行可能距離は約770km
このロータリーEVは、充電電力使用時で107kmの走行を可能にするほか、15.4km/Lのハイブリッド燃費を誇るロータリーエンジン用の燃料タンクも50L分が確保されているから、トータルでの走行可能距離は770kmほどに達する計算になる。この数字はユーザーにとっては大いに魅力的だろう。
MX-30というコンパクトSUVは、とてもスタイリッシュで機能的なモデルだ。フリースタイルドアと呼ばれるセンターオープン式のドアを採用していることなどはその象徴的な例で、後席にもリアドアの短さから想像していた以上に自然な姿勢でアクセスすることができる。
フロア面が若干高めに感じるのはバッテリー搭載位置を考えれば致し方ないところだが、さらに後方のラゲッジスペースを含めて、コンパクトSUVとしての実用性は十分に確保されていることが確認できた。水平基調のインストゥルメントパネルなど、キャビンのデザインも洗練されている。
それでは実際の走りはどうか。
センターコンソール上には『ノーマル』、『EV』、『チャージ』という3つの走行モードを選択できるスイッチが備わるが、短時間の試乗だった今回は、主にデフォルトのノーマル・モードを使用してのドライブだった。
このモードは電池残量が半分になるまではBEVとして走行、そのラインを切ると適時ロータリーエンジンが駆動し、それによって発電された電力が効率的にバッテリーに充電される制御が入る。
加速フィールは実にナチュラル
170psの最高出力と260Nmの最大トルクを発揮する駆動用モーターの性能は、1780kgとされる車重を負担するには必要にして十分なものだろう。印象的だったのはアクセルペダルの動きに対して、その加速フィールが実にナチュラルなものに味付けされていたこと。
走行中のキャビンはBEVらしく静粛で、さらに乗り心地にも落ち着きがあると感じられる。しかし、バッテリー残量が低下した時のみではなく、全開加速時などでも始動するロータリーエンジンの振動とノイズが、やや大きなボリュームでキャビンに伝わってくるのは残念だった。
これは前でも触れたとおり1ローター方式という8C型エンジンの構造的な理由によるものなのだが、オーディオを用いたノイズキャンセリングなど、さらなる高級感を生み出すために、それを解消するための策を一考してほしかったというのが正直な感想だ。
果たしてこのMX-30ロータリーEVは、カスタマーからどのような評価を受けるだろうか。充電に対するストレスが大きく低減されることだけを考えても、PHEVはBEVよりも現在の段階では購入を検討しやすい商品であることは確か。
コンパクトSUVとしての基本的な魅力とともに、その存在感は同クラスの中では特別なものであることは間違いない。
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