現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > F1 Topic:国境のない新型コロナウイルス危機とどう向き合うか/レース再開への課題(2)

ここから本文です

F1 Topic:国境のない新型コロナウイルス危機とどう向き合うか/レース再開への課題(2)

掲載 更新
F1 Topic:国境のない新型コロナウイルス危機とどう向き合うか/レース再開への課題(2)

 毎日、ニュースでは日本全国47都道府県別の感染者数を伝えている。感染者を多く出している地域もあれば、いまだまったく感染者を出していない県も複数ある(4月4日時点)。

 しかし、その数字に一喜一憂していても意味はない。なぜなら、私たち日本人また日本に住んでいる海外籍の多くの人々は、都道府県という枠の中だけで生活しているわけではないからだ。

F1 Topic:シーズン開幕の目処は立たず。それでも「1年延期」を宣言できない運営事情/レース再開への課題(1)

 そのことは、世界にも当てはまる。ニュースの画面では大陸の上に線を引き、感染者数の多さを国別に色分けして説明しているが、たとえば欧州連合(EU)は27カ国が加盟する政治経済同盟であり、ある加盟国の感染者が少なかったとしても、ほかの加盟国で深刻な事態となっていれば、手放しで喜ぶわけにはいかない。

 そして、このことは世界各国の人々によってチームを形成し、世界中の企業からサポートを受け、世界中を転戦するF1の世界も同じである。

 4月4日時点で、F1はシーズン前に予定されていた日程のうち、第8戦アゼルバイジャンGPまでが中止または延期が決定している。7月中旬の12戦目に予定されているイギリスGPの主催者であるシルバーストンは「開催可否の決定を、4月末までに行う」という。

 イギリスでは、3月31日時点で約2万5000人が新型コロナウイルスで陽性と診断されているが、3月23日にイギリス政府が国民に外出禁止令を出したことで、感染者の急増をなるべく低く抑えようとしている。そして、そのピークは2週間後(4月中旬)と予想している。

 仮にイギリス政府の思惑どおりに4月中旬に感染者数がピークを迎え、シルバーストンが開催可否の決定を行う4月末までに状況が好転したとしても、それだけでイギリスGPが即、開催とはならないだろう。なぜなら、イギリスを除くヨーロッパ各国の状況も考慮しなければならないからだ。

 たとえば、10チームのうち7チームはイギリスにファクトリーがあるが、残る3チームのうちフェラーリとアルファタウリが居を構えるイタリアは、4月4日時点で世界で最も多くの新型コロナウイルスによる死者を出している国である。4月に入って感染者が増えるスピードは鈍ってはいるものの、約12万人の感染者がいることに変わりなく、第二、第三の感染爆発が起きても不思議はない。

 アルファロメオのファクトリーがあるスイスはイタリアと国境を接しているものの、4月4日時点で感染者数は6分の1の約2万人にとどまっている。しかしイタリアの人口が約6000万人であるのに対して、スイスは約850万人しかいないことを考えれば、スイスも安心はできない。人口が1000万人未満の国で最初に感染者が1万人を突破したのは、じつはスイスである。人口に占める感染者の割合では、スイスはイタリアを上回るほど状況は深刻だ。

 オーストラリアGPでは、マクラーレンのスタッフに陽性反応が出たこと、そしてマクラーレンが即座にオーストラリアGPの欠場を発表したことが、ほかのチームの参戦可否に大きな影響を与えた。もしこのままイタリアとスイスの状況が好転しなければ、フェラーリ、アルファタウリ、アルファロメオの3チームが4月末時点でイギリスGPへ参戦できる見通しを立てることは難しく、仮にイギリスGPが開催されたとしても3チームが不参加となる可能性が高いだろう。

 つまり、イギリスGPの問題は、もはやイギリスだけの問題ではなくなっているという現実があることを私たちは忘れてはならない。そして、これはほかのすべてのグランプリにも当てはまる。

 たとえば世界で最初に感染が爆発した中国は、すでにピークは収まりつつあり、延期していたグランプリを秋に復活させる方向で動き出したようだが、その時期に世界の新型コロナウイルス感染症の状況がどうなっているのか、誰にもわからない。

 F1がこの新型コロナウイルスの問題を考えるとき、これまでのような国別では対応しきれなくなっていることを念頭に置かなければならない。そして、それがこの問題を非常に厄介なものにしている。

こんな記事も読まれています

新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
新型スイフトスポーツも新型ワゴンRも24年夏に登場予定か!? スズキは計5台の新型を投入で戦力アップなるか
ベストカーWeb
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
「SLS AMG」の偉大さをメカニズムから検証。速さだけでないメルセデスの安全思想も注ぎ込まれた最高傑作の1台でした
Auto Messe Web
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
愛犬家は要チェック!?ルノー「カングー」最長1年間貸与!モニターキャンペーン実施
グーネット
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
軽からミニバンまで!車中泊にぴったりの厚さ8cmマット、新デザイン登場 ベアーズロック
グーネット
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
BMW 燃料電池車「iX5 ハイドロジェン」 日本での実証実験を2024年も継続
グーネット
【24’ 4/22最新】レギュラーガソリン平均価格、再び175.0円に値上がり
【24’ 4/22最新】レギュラーガソリン平均価格、再び175.0円に値上がり
グーネット
代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
代役スピネッリ、SBK初陣でギャンブル大成功「これがレース!信じられないような勝利で嬉しい」/第3戦オランダ
AUTOSPORT web
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
「盗まれた」県が怒りの声明 県道の工事現場から“かなり重い資材”が複数 被害総額300万円超
乗りものニュース
さよなら「ゾエ」! ルノーのEV先駆者を振り返る 後継は「5」 楽しい走りで電費は優秀
さよなら「ゾエ」! ルノーのEV先駆者を振り返る 後継は「5」 楽しい走りで電費は優秀
AUTOCAR JAPAN
「911ターボ」登場から50年! 「911ダカール」と「タイカンGTS」と並んでポルシェの過去・現在・未来を表現したブースがおしゃれ
「911ターボ」登場から50年! 「911ダカール」と「タイカンGTS」と並んでポルシェの過去・現在・未来を表現したブースがおしゃれ
Auto Messe Web
王者ミケリスが貫禄のポール・トゥ・ウイン。新たな僚友ジロラミも初勝利/TCRワールドツアー開幕戦
王者ミケリスが貫禄のポール・トゥ・ウイン。新たな僚友ジロラミも初勝利/TCRワールドツアー開幕戦
AUTOSPORT web
羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
羽付き9X8のデビュー戦9位は「最大限の結果」とプジョー技術ボス。1周目の事故で損傷の94号車も完走
AUTOSPORT web
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
もはやガソリン車より便利に…? 高速道の「EV充電器」怒涛の増設! 魔の空白区間?―“出ていいよ”
乗りものニュース
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
全長5.7m級の「斬新トラック」実車公開! ド迫力“カクカク”デザイン×「全面ステンレス」ボディ採用! 「サイバートラック」を披露
くるまのニュース
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
1225馬力の新「ハイパーカー」欧州初上陸! 中国アイオン(AION)新型EV導入へ
AUTOCAR JAPAN
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
ランボルギーニ、新型車を間もなく発表へ…電動『ウルス』の可能性も
レスポンス
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
タイヤ装着前に信号が変わるミスが発生、クルーは転倒。ガスリーはピットストップの改善を誓う/F1第5戦
AUTOSPORT web
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
BYDが輸入車の聖地に新店舗オープン! EVバスも運行予定の目黒通りはBYD率が高まること必至です
Auto Messe Web

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村