どこか飛び抜けた長所があるわけではないが、決定的な短所も存在しない。全ての要素で「合格点」が取れるのがベーシックカーの魅力だ。ここでは、そんなベーシックカーの魅力を体現するダイハツ ミライースにスポットを当ててみよう。
※本稿は2026年2月のものです
【画像ギャラリー】正直これで十分じゃない!? 日常使いならむしろ最適解かも……ダイハツ ミライースの室内空間と装備内容を徹底チェック(24枚)
文:本誌・飯干俊作/写真:奥隅圭之 ほか
初出:『ベストカー』2026年3月26日号
ミライースでベーシックカーの真髄を探る
車両価格132万円、税抜きなら120万円の新型車。首都圏のマンションから居酒屋の生ビールまで、なんでもかんでも「たっか!」ばかりの世の中で信じられない値付け。ミライースG“SA III”のことだ。
ベーシックカーの企画を進めるにあたり、その見本のようなクルマに乗って今のレベルを体感しようとしたのだが、乗って大正解。
売れ筋である軽ハイト&スーパーハイトワゴンよりも純度の高い「ザ・ベーシックカー」をストレートに感じることができた。
先に言っておくが、荒れた路面での突き上げなど、乗り心地は少々厳しい部分もあった。また、ステアリングのセンター付近の動きが曖昧で、小舵角でヘンな慣性を感じることもあった。
しかし、そこを引き算しても収支は大幅プラス。そんな地力の高さをミライースは持っていた。返却する時には「もう少し乗っていたいな」と思ったくらいだ。
軽自動車だから扱いやすいのは当然として、660cc自然吸気でも力不足を感じないのはもちろん、街なかの交通の流れを(無理せず)リードできる性能もある。
85~90km/hくらいがスイートスポットのようで、高速道路をそのくらいで走っていると、静かでまったくストレスを感じない。車重わずか670kgの軽さゆえに、若干心許なさを感じる場面もあるが、その速度域なら不安を感じることもない。
49ps/5.8kgmというスペックでも力不足を感じないのは、当然この軽量ボディが効いているから。それなのに軽さに文句を言うのはおかしな話で、要は不安にならないスピードで走ればいいだけなのだ。この走りなら、400~500km級の長距離移動もこなせるだろう。
意外にも後席が広くて実用的だぞ!!
ダイハツの最新ADAS「スマートアシストIII」が付いているほか、前席シートヒーターも標準装備。カーナビはオプションだが、ナビはスマホでOKという人も多いだろう。
特筆すべきはリアシートが思ったより広かったこと。登録車より広いハイトワゴン系に負けるのはしかたないとしても、不満のないスペースを確保できている。短距離なら大人4人の移動も問題ないはずだ。
日本のベーシックカーの底力を感じた試乗だった。ファミリーカーとしても使えるし、若い人たちの遊びのアイテムとしてもいい選択だと思える。気軽な道具として使えて、それでいてしっかりとした走りの性能も備えている。
正直あまり気にしたことのないクルマだったが、ミライースはダイハツ、ひいては日本車メーカーの実力と良心が現れたクルマだと思った。お見事です。
●ダイハツ ミライース G “SA III”(FF) 主要諸元
・全長×全幅×全高:3395×1475×1500mm
・ホイールベース:2455mm
・最小回転半径:4.4m
・車両重量:670kg
・エンジン:直3、658cc DOHC
・最高出力/最大トルク:49ps/5.8kgm
・WLTCモード燃費:25.0km/L
・トランスミッション:CVT
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:155/65R14
・価格:132万円
今、日本で買えるベーシックBEV
日常のアシであるベーシックカーこそBEV向きのカテゴリーであるという意見は多い。ベストカーもそう思う。
ベーシックBEVというカテゴリーを作るとしたら、今、日本で買えるクルマは以下の5車種となるだろう。
日本勢が日産 サクラ(259万9300円~)、三菱 eKクロスEV(256万8500円~)、ホンダ N-ONE e:(269万9400円~)。
輸入車ならヒョンデ インスター(264万円~)、BYD ドルフィン(299万2000円~)。
CEV補助金はドルフィンが35万円で、ほかの4車は56万強~57万円強(2026年2月現在)。軽のガソリン車より支払いが安くなるケースも多いのだ。
気になるフル充電での航続距離は、インスター477km、ドルフィン415km、N-ONE e:295km、サクラ&eKクロスEVが180kmだ。
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