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覚悟と注意が不可欠 マセラティ 3200GT 英国版中古車ガイド 当時のベスト・トライデント

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覚悟と注意が不可欠 マセラティ 3200GT 英国版中古車ガイド 当時のベスト・トライデント

多くの名声を残してきたイタリアの名門

1万ポンド(約161万円)で、イタリアの名門が生み出したクーペを買える。一見お買い得に思えるかもしれない。ただし、そんなにうまい話は転がっていないものだ。

【画像】覚悟と注意が不可欠 マセラティ 3200GT シャマルに最新グラントゥーリズモ MC20も 全125枚

20年ほど前のマセラティを好調に走らせるには、ちょっとした新車を買えるほどの維持費が必要になる。年間の走行距離がさほど長くなくても。それでも、他のモデルにはない魅力を放っていることも事実だと思う。

自動車史を振り返れば、マセラティほど多くの名声を残してきたブランドは多くない。トライデントの紋章が刻まれたキーをクルマ好きの友人に見せたら、きっと驚いてくれるだろう。銀行口座の心配もしてくれるかもしれないが。

そんなお手頃価格になったモデルが、ティーポ338、3200GTだ。発売は1998年で、カロッツエリアのイタルデザインによる妖艶なスタイリングに、ラグジュアリーなレザー・インテリアが組み合わされている。ブーメラン形状のテールライトが特長だった。

長いボンネットを開くと、スロットルにドライブバイワイヤ技術を採用した、DOHCの3.2L V型8気筒ツインターボエンジンが姿を表す。バンク角は90度で、最高出力は375psが主張されていた。

0-100km/h加速は5.1秒でこなし、最高速度は270km/h。イタリアン・グランドツアラーとして、まったく不足ない動力性能といえる。

新車当時は4速ATの方が高評価

トランスミッションは、6速マニュアルと4速オートマティックが選べた。ゲトラグ社製の6速MTは、潤滑にパワーステアリング用フルードを用いたことが特徴。クラッチが重く、パワーデリバリーが激しく、当時の試乗では4速ATの方が評価は高かった。

英国仕様の場合、殆どの3200GTにはスポーツパッケージ・サスペンションが選ばれている。これには、電子制御のアクティブ・ビルシュタイン・ダンパーが含まれる。

安定性を高めるため、ブレーキング時はフロントの減衰力が強まり、リアが弱まる。カーブでのボディロールも、可能な限り抑えていた。スポーツ・モードを備え、ボタン1つでタイトな乗り心地を楽しむことが可能だった。

乗り心地は硬めで、ジャガーXKRがしなやかにこなす路面の不整も、ボディへ振動として伝えた。とはいえ、スポーティなクーペとして許容できる範囲。100km/h以上でロードノイズが大きくなるという癖もあるけれど。

ステアリングは切り始めで若干曖昧ながら、ロックトゥロック2.7回転と適度にクイック。パワーステアリングも備わるが、感触は悪くない。

乾燥路面でのグリップレベルは高いものの、濡れた路面では注意が必要。トラクション・コントロールは、うかつにオフにしない方がいい。

リミテッドスリップ・デフが装備され、ターボブーストが高まると一気にリアタイヤへ大きなトルクが伝わる。技術があれば、テールスライドに興じるのも悪くない。

直近の20年間で最高のマセラティだった

3200GTの生産期間は短く、4年後の2002年に4200GTへバトンタッチした。全体のスタイリングに大きな変化はなかったが、テールライトが一般的な扇型へ変更されている。

AUTOCARでは3200GTを高く評価していた。当時は、直近の20年間で最高のマセラティだとすら称えていた。しかし、これから購入をお考えになる場合は、それなりの覚悟と注意が必要になる。整備は安く済まないし、燃費は5km/L程度に留まる。

マセラティ・ファンなら、モデル後期に限定生産されたアセットコルサ仕様が望ましい。15mm車高が落ちるサスペンションと、専用のホイールが組まれていた。ステアリングレシオもクイックになり、赤いブレーキ・キャリパーが違いを控えめに主張する。

新車時代のAUTOCARの評価は

これほど上質なインテリアを備えるクルマは、他に例がない。柔らかなコノリー・レザーが惜しみなく用いられ、トレードマークのアナログ時計も上品に見える。車内空間も、ジャガーXK8より広い。

0-97km/h加速時間は6.2秒と驚くほどではないものの、実際はそれ以上に速く感じられる。アクセルペダルを軽く傾けるだけで、勢いよくスピードを高めていく。(2000年12月13日)

オーナーの意見を聞いてみる

ケビン・デイク氏

「2002年に4.2L V8エンジンを搭載したスパイダーを購入し、15年間所有していました。田舎に住んでいたこともあり常に汚れていて、手入れは充分とはいえませんでしたが、よく走るクルマでしたよ」

「必要に応じて整備に出して、走行距離はできるだけ伸ばさないようにしていました。それでも、部品代や整備費用は高かったですね」

「エンジン・サウンドやパワー、操縦性を気に入っていました。現在は友人が所有していますが、関係が悪くなるほどの故障はありません。調子良く走っているようです」

知っておくべきこと

クランクシャフトやクラッチ、スロットル・ポジションセンサーなどの重要な部品は、既に生産が終了している。入手困難な場合もある。

過去の整備記録は非常に重要。すべて揃っていなくても、領収書も含めて、可能な限りこれまでの履歴が確かめられる車両を選びたい。

イタルデザインの手によってホイールベースが220mm縮められた、オープンボディのスパイダーが2001年に追加されている。電動油圧式ソフトトップを備えた2シーターだ。

このスパイダーには、395psを発揮するフェラーリ由来の4.2L V8エンジンが搭載されている。後継モデルの、4200GTと同様に。

購入時に気をつけたいポイント

エンジン

重大な不具合につながる可能性があるため、エンジンの調子は慎重に確認したい。最近までの整備記録と、少なくない金額の領収書がしっかり残っていることが望ましい。

特にカムカバー回りは、エンジンオイル漏れを確かめたい。アイドリング中に油圧計が5barで落ち着かない場合は、整備が必要と考えていい。

タイミングベルト交換は、5万kmか4年毎が指定されている。スパイダーには4.2Lエンジンが載っており、タイミングチェーンで11万km毎の交換となる。

6速MTの場合は、バルブシムやクランクシャフト・エンドフロートからのノイズへ注意したい。クランクシャフト・センサーが不調になると、始動性が悪くなる。アイドリングが不安定な場合などは、スロットル・ポテンショメータの交換が必要かもしれない。

トランスミッション

6速MTは堅牢だが、クラッチは減りやすい。バイワイヤ方式のスロットルなため、半クラッチを多用するような市街地で特に負担が増える。部品の入手は難しいようだ。

4速ATも基本的に堅牢だが、稀にフランジ部分のナットが緩む場合がある。適正に変速できるか、試乗での確認はお忘れなく。高額な修理につながる。

サスペンション

サスペンションのブッシュ類は3200GTの専用部品。タイヤの偏摩耗が酷い場合や直進性が優れないなら、ブッシュ交換とアライメント調整を検討したい。

サスペンション・ジョイントも摩耗が早い。ウイッシュボーンのスチール製ブッシュは弱点の1つで部品代も高い。リア側のアジャストアーム・ボールジョイントは劣化しやすく、操縦性に影響を与える。ダンパーは液漏れすることがある。

大きなくぼみなどを誤って通過すると、フロントサスペンション・マウントのナット類へダメージを与える。修理にはエンジンを降ろす必要があり、高額になる。フロントのアンチロールバー・リンクも駄目になりがち。

ブレーキ

ABSポンプは寿命が長くない。ブレーキパイプが錆びていないか、フルードが滲んでいないか、細部まで確かめたい。

ブレーキパッドとディスクは、純正品か社外品かで寿命や価格が異なる。軽量化目的でブレーキディスクにはバックプレートが付いておらず、腐食しやすい。ハンドブレーキの固着もしやすい。

電気系統

電気系統の調子は、バッテリーに依存している。電圧を保つため、ガレージにあるときは充電器につないでおきたい。エンジンの警告灯は灯りやすいが、各コネクターの接触不良が原因であることも多い。

英国ではいくら払うべき?

1万ポンド(約161万円)~1万4999ポンド(約240万円)

個人売買による、走行距離が長めの3200GTを英国では購入できる。状態の良い例も含まれるが、過去の整備履歴などは入念に確かめたい。可能ならジャッキアップして、下回りも確認したいところだ。

1万5000ポンド(約241万円)以上

走行距離が10万kmを切る、2000年以降の3200GTを英国では狙える価格帯。執筆時には、アセットコルサも数台発見した。

英国で掘り出し物を発見

マセラティ3200GT 登録:2000年 走行距離:12万5500km 価格:1万495ポンド(約169万円)

オプションだった、カーボンファイバー製のシフトノブとセンターコンソール・トリムを備えた3200GT。タイミングベルトとウォーターポンプ、クラッチは交換済み。ガンメタルのボディも再塗装されている。整備記録もしっかり残っているという。

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みんなのコメント

3件
  • ブリカスで維持が困難なんじゃ
    日本じゃ無理かと
    数台は生き残っているかも知れないが
  • これのマニュアル
    当時代車で乗ったけど最初の日は
    エンストしまくった(笑)
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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