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タイヤ交換か? ステイアウトか? 勝負の分かれ目でメルセデスが見せた、ハミルトンを“断固としてピットに入れる”姿勢

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タイヤ交換か? ステイアウトか? 勝負の分かれ目でメルセデスが見せた、ハミルトンを“断固としてピットに入れる”姿勢

 F1ロシアGPのレース終盤では、首位を走るランド・ノリス(マクラーレン)とそれを追いかけるルイス・ハミルトン(メルセデス)による僅差の争いが繰り広げられていた。そんな中、突然降って来た雨に対応してインターミディエイトタイヤに交換したハミルトンは、スリックタイヤでコースに留まるノリスを残り3周で逆転。F1キャリア通算100勝という金字塔を打ち立てた。

 しかし、ドライタイヤからインターミディエイトタイヤに交換するにあたっては、ハミルトンにも迷いがあった。それもそのはず、雨が降り始めた当初はコースのほとんどがドライだったからだ。実際、ハミルトンはレースエンジニアのピーター・ボニントンからインターミディエイトタイヤに交換するよう指示が出た後、ピットレーン入口に向かわず追加で1周を走行した。

■明暗分かれたピットインの決断。ハミルトン「雨が降らなければ、ノリスは抜けなかっただろう」

 その後ハミルトンは49周終了時にピットインし、残る4周をインターミディエイトタイヤで走る決断をしたが、結果的にこの判断は正しかった。雨はますます強くなっていき、スリックタイヤではまともに走れないコンディションになったのだ。ノリスはハミルトンの逆転を許した後、インターミディエイトタイヤに交換して2周を走ったが、結果は7位となった。

 レース後のインタビューが行なわれたミックスゾーンでは、隣り合ったハミルトンとノリスが当時の状況について言葉を交わすシーンがあった。ハミルトンは2台が接近していたことからピットインしたくはなかったと言い、ノリスに次のように声をかけた。

「今日は僕たちのチームが素晴らしかったんだ」

「でも僕は最初の指示を無視してしまった。『ダメだ、彼はすぐそこにいるんだ!』ってね」

 これに関してメルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、ドライバーがレースの全体像を把握することは常に難しいと認めた上で、チームは雨脚が強まってきていることを認識していたと明かした。

「ドライバーにとって、コースの半分がドライでもう半分が少し湿っているという状況は、基本的に簡単ではないと思う」

 ウルフはそう語った。

「我々は大きな天候変化があることは分かっていたので、バルテリ(ボッタス)は(ハミルトンを呼び入れる)前の周にピットインした。我々としては断固としてピットに入れる態勢だった」

「我々はランドをコース上で抜けるかは別として、厳しい展開になるであろうレース終盤に備えていた」

「その後雨が降り、状況は不安定になっていった。マクラーレンにとっては、ステイアウトするかピットインするかの判断が非常に難しかったのは理解できる。レースリーダーとしては負ける訳にはいけないからね」

「我々は今日、その恩恵を受けた。見ていたファンにとっては見応えがあったと思う」

 またハミルトンは、雨が降り出すまでの段階でトップを走るノリスに接近していたものの、長い間抜きあぐねていた。ハミルトンはレース後、あのままドライコンディションが続いていればノリスをパスするのは難しかっただろうと語ったが、ウルフも「それはなんとも言えない」としながらも概ねハミルトンに同意した。

「ルイスは序盤、(ノリスのチームメイトの)ダニエル・リカルドに引っかかっていた」

「(ノリスを)パスするのは難しかっただろう。彼のマシンは速かったし、彼らはうまくマネジメントしていた。燃料にちょっとした問題があったようだが、ペースを上げた時の彼は本当に速かった」

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