クラシックカーイベントの合間に訪問した企業博物館
トヨタ・コレクション・ケルンを訪れたのは2023年の8月。2週連続で開催されるふたつのクラシック・イベント「クラシック・デイズ」と「クラシック・グランプリ」を取材することに決めていて、その前後とインターバルで、ドイツでまだ訪れていなかった自動車博物館を訪ねるべくリストアップしていく段階で見つけたのがトヨタ・コレクション・ケルンだ。
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もともとはドイツで最初のトヨタディーラーをオープンさせたペター・ピヒャート(Peter Pichert)さんのプライベートコレクションだった。その彼が2016年に逝去した後は、ドイツトヨタが彼の遺志を受け継いで全車両を買い取り、現在の場所でトヨタ・コレクション・ケルンとして運営を続けている。
トヨタ・コレクション・ケルンはドイツトヨタ本社と同一エリア内にあるが、同じブロック内にはトヨタのモータースポーツを統括するトヨタ・ガズー・レーシング(TGR)のヨーロッパ前進基地とも言うべきTGR-E(ヨーロッパ)の本社工場もある。このTGR-EにはF1や世界耐久選手権(WEC)、世界ラリー選手権(WRC)などの歴代競技車両を収蔵しているトヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ・モータースポーツ博物館も整備されているから、「ふたつの博物館を一緒に(1回で)取材できれば最高だ」と、わがままな理由から計画を立て、当時は一般には未公開だったからトヨタ広報を通してTGR-Eに取材をお願いした次第。
ちなみにいまは両館ともに毎月第1土曜日が開館日となっていて、TGR-Eモータースポーツ博物館は要予約の有料だが、トヨタ・コレクション・ケルンは予約不要で入館も無料だ。
トヨタ車のみの展示ながら初対面の車種も多く興味津々
とは言うものの、そもそも海外の自動車博物館を取材するようになったのは、国内ではあまり見かけない、あるいはほぼ見かけないクルマ……当然だが外国製のいわゆる”ガイシャ”をカメラに収めてみたい、との思いからだった。
だから訪れるまでは、日本車限定のトヨタ・コレクション・ケルンには当初、多くは期待していなかった。しかし、実際にトヨタ・コレクション・ケルンを訪れて、その収蔵展示車両を眺めていくうちに、国産の輸出車両に関心が高まっていったのは事実。
たとえばランドクルーザーのトゥループキャリアなどは国産車とはいっても国内では正規販売されていないから、興味が湧いてくるのが人情だ。 1989 Toyota Land Cruiser 3-Door Troop Carrier Type HJ75 70系ランドクルーザーのロングホイールベース仕様の上屋に多人数乗車を可能にするバンボディを架装したモデルがトゥループキャリア。フロントはベンチシートの3人乗車。リヤには向かい合わせシートで多人数乗車を可能に。
1974 Toyota Land Cruiser Hard Top 4-Door SUV Type BJ42 人気が高いランドクルーザーのなかでも、1960~84年まで24年間も販売されて超ロングセラーとなった40系。収蔵展示車両はミドルホイールベースで4ドア(2ドア+観音開きのリヤドア2枚)ハードトップのBJ42だ。
輸出車両にはクレシーダもあった。マークIIの3兄弟とはひと味違った趣もあり、こちらも見逃せない1台であった。またセンチュリーの左ハンドル仕様には大いに驚かされた。「確かセンチュリーって国内専用モデルじゃなかったっけ?」との知識はあったのだが、これも調べてみると在外公館用に約100台の左ハンドル仕様が製作されたとか。その佇まいは国内仕様とほぼ変わりないが、存在感はいかがなものだったか。 1980 Toyota Cressida 2-Door Hard-Top Coupe Type RX30 トヨタのアッパーミディアム3兄弟、マークII/チェイサー/クレスタの海外仕様がクレシーダ。1976年から16年間/4代にわたって生産された。収蔵展示車両は初代にのみラインアップされた2ドアハードトップ。
1997 Toyota Century 4-Door Limousine Type GZG50 本来は国内専用モデルのセンチュリーだが、在外公館におけるVIPの送迎用に約100台の左ハンドル仕様が製作されたという。メルセデス・ベンツやBMWといったライバルに伍して獅子奮迅の活躍だったそう。
ともかくトヨタ・コレクション・ケルンの収蔵車両の質と量、そして展示会場のスケールの広さには驚かされた。しかもほぼすべての車両が動態保存されていて、多くの個体はドアの開閉も許されていてシートに腰を下ろす観客も多く、すべてにおいてスケール違いの博物館だった。 1967 Toyota 2000GT 3-Door Hatch-Back Coupe Type MF10L トヨタが1967年に発売したフラッグシップモデルが2000GT。国内向けのMF10に加えて、左ハンドルの日本国外向けMF10Lも前期型と後期型を合わせて100台あまりが生産された。収蔵展示車両はフォグランプが大きい前期型だ。
1978 Toyota Corolla Limousine 2-Door Sedan Type KE30 1974年にフルモデルチェンジを受け、カローラは3代目の30系に移行。1.3リッターのK型エンジンと1.4/1.6リッターのT型エンジンをラインアップ。収蔵展示車両はK型を搭載した1300の2ドアセダン。スッキリしたグリルが特徴だ
1980 Toyota Starlet 3-Door Hatch-Back Type KP60 トヨタのエントリーモデルだったパブリカの上級モデルとして1973年に誕生したパブリカ・スターレットが1978年にフルモデルチェンジを受け、新シリーズのスターレットに。収蔵展示車両は3ドアハッチバックの1980年式KP60。
1983 Toyota Model F 4-Door 1-Box Wagon Type YR20 トヨタのワンボックスカーで、ライトエースとハイエースの中間モデルとして1976年に登場したタウンエース。その2代目が「モデルF」の名称で欧州に輸出され人気を博した。収蔵展示車両は1983年式のワゴン。
1984 Toyota Corolla Coupe GT 16V 2-Door Coupe Type AE86 世界的なヒット商品となったカローラは1966年に誕生し、1983年のモデルチェンジでセダン系はFWDに移行したが、クーペは後輪駆動をキープ。DOHCエンジンを搭載したAE86はいまも高い人気を誇っている。
1986 Toyota MR2 2-Door Coupe Type AW11 トヨタが1984年に発表した国産市販車初のミッドシップ車がMR2。FWD化されたE80系カローラのセダン系パワーユニットをミッドシップに移植したパッケージを採用し、低コストを実現していた。
1991 Toyota Celica Turbo 4WD „Carlos Sainz Limited Edition” 3-Door Hatch-Back Coupe Type ST185 トヨタのWRCにおける主戦マシンとされるセリカGT-FOUR。5000台が生産されたグループAのホモロゲーションモデルのうち、海外仕様は1990年の王者にちなんで「カルロス・サインツ・リミテッドエディション」と呼ばれた。
1993 Lexus LS 400 4-Door Sedan Type UCF10 国内ではトヨタ・セルシオの名で販売されていたトヨタのフラッグシップセダンの初代モデル。輸出モデルはすでに展開を始めていたレクサスブランドの最上級モデルとして、「レクサスLS」を名乗っていた。
1993 Toyota Supra 3-Door Hatch-Back Coupe Type JZA80 国内の全日本GT選手権やSUPER GT、そして海外はル・マン24時間にも参戦し注目を集めていたスープラの4代目がA80系。「THE SPORTS OF TOYOTA」をキャッチコピーにスポーツカーであることをアピールしていた。
2016 Toyota TS050 Hybrid WEC Type TS050 トヨタが2016年のWECに向けに開発したプロトタイプがTS050 Hybrid。デビューシーズンのル・マン24時間ではファイナルラップまでトップを快走したがトラブルでストップ。涙を飲んだが、2年後の初優勝で雪辱を果たした。
ドイツ・トヨタ・コレクション Toyota Collection
Toyota-Allee 2, 50858 Köln, Deutschland. Website://www.toyota-collection.de/de/home.php 毎月第一土曜の10:00-16:00に開館 入館無料
ケルンには今回紹介する「トヨタコレクション」や、TGR-Eモータースポーツ博物館に加えて、フォードのケルン工場内にある「フォード・クラシック・カーズ」や、ミハエル・シューマッハのプライベートコレクションがあることで知られる高級車や旧車の専門販売店「モーターワールド・ケルン」もあるから、数日間は滞在することをお勧めする。日本からの直行便が就航しているフランクフルトから、最寄りのボン空港へはクルマで約2時間。ここをベースに長逗留して自動車博物館三昧となれば、最高のバケーションだろう。 ※本記事は雑誌「CARトップ2025年9月号」の記事を再構成して掲載しています
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みんなのコメント
ただセンチュリーは天皇陛下用ベンチシート仕様や総理大臣の防弾仕様とか特殊仕様が存在していて採算度外視なのはトヨタだから対応可能かと。
もともと少量で割高なうえ、その中でさらに少ないんだから実質のコストはどれだけ?採算性とか無縁だから問題にはされず、数字は誰も気にしてなかったw