グローバルで52%、西ヨーロッパで63%がHV
ゴールデンウイーク前の4月、トヨタは魅力的なニューモデルを続々と発表しました。6月に発売される4代目「ハリアー」、秋の発売を予定している「ヤリスクロス」、10月にはエンジンをパワーアップした「スープラ」が登場するというニュースもありました。
スープラは純粋なガソリンエンジン車ですが、ハリアーとヤリスクロスには最新のハイブリッドが用意されています。最近のトヨタ車はハイブリッドグレードが設定されているのが当然といった状況になっています。
じつは、同じタイミングでトヨタヨーロッパが興味深い発表をしていました。
トヨタのハイブリッドカーが累計販売1500万台を突破したというのです。これは1997年に誕生した初代「プリウス」から積み重ねてきたグローバルでの実績です。
プリウスがデビューしたときには、ハイブリッドカーという意味さえ多くのユーザーに理解されず(トヨタの生み出した動力分割機構を理解しているユーザーはいまでも少数派でしょうが…)、モーターとエンジンの両方をもつ自動車で燃費性能に優れる、ぐらいの認識でした。その段階で、まさかこれほど売れるメカニズムになるとはほとんどの人が想像できなかったのではないでしょうか。
そんなハイブリッドシステムですが、現在トヨタ(レクサス含む)のグローバルラインナップでは44車種も設定されているといいます。ちなみに日本のラインナップではトヨタ・ブランドだけで24車種あります。プリウスや「アクア」といった名前はすぐに出てくるでしょうが、はたして全ハイブリッドモデルをそらで言えるでしょうか。
ざっと書き出すと、次のようになります。
「アクア」「カローラスポーツ」「ヤリス」「アルファード」「ヴェルファイア」「ヴォクシー」「ノア」「エスクァイア」「シエンタ」「カムリ」「カローラ」「カローラアクシオ」「クラウン」「センチュリー」「プリウス」「カローラツーリング」「カローラフィールダー」「プリウスα」「C-HR」「ハリアー」「RAV4」「ダイナカーゴ」「プロボックス」「JPNタクシー」です。
さらに国内向けのレクサス・ラインナップでハイブリッドが設定されているのは「LS」「GS」「ES」「IS」「LC」「RC」「CT」「UX」「RX」「NX」の10モデルとなります。つまり、トヨタ&レクサスは日本向けだけでも34車種もハイブリッドカーを用意しているのです。
ちなみに2019年トヨタのグローバル販売において、その52%がハイブリッドカーだったといいます。驚くのはハイブリッドには否定的だった欧州での売れ行きで、西ヨーロッパで売れたトヨタ車のじつに63%がハイブリッドカーだったそうです。これにより、トヨタはEUのCAFE規制(メーカーごとのCO2排出量の平均値)において、唯一95g/kmという規制値をクリアすることができているといいます。
電気自動車や燃料電池車にもそのまま使える技術
それだけではありません。さらにゼロエミッションが求められる未来においてもトヨタのハイブリッドテクノロジーは有効です。なにしろ、基本的にモーターだけで駆動するEV走行が可能なシステム構成になっていますから(※)、バッテリー搭載量を増やせばPHEV(プラグインハイブリッド)に進化させることができます。(※他社製品にはEV走行できないHV車も少なくない)。
非常に乱暴にいってしまうとPHEVからエンジンを降ろすとEVになりますし、EVの駆動系は水素で発電して走行する燃料電池車(FCV)にも展開できます(実際にはそんな簡単ではありませんが)。
このように将来のゼロエミッション化にも対応できるのがトヨタの電動パワートレインです。その背景には1500万台もの市販経験やフィードバックがあると思うと、他社が電動パワートレインの分野においてトヨタをキャッチアップするのは困難であろうとしみじみ思わされます。
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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みんなのコメント
世界初のHVが発売されて20年が過ぎているのに欧州車はHV技術でトヨタに水を開けられたまま。
燃費対策としてディーゼルで対抗。
なんだかんだ言ってもHVに関してはトヨタとホンダの技術は凄い。
素晴らしい👏
他のメーカーは話にならない