現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > カーボンニュートラルを推進するために、いま水素の可能性に注目が集まっている

ここから本文です

カーボンニュートラルを推進するために、いま水素の可能性に注目が集まっている

掲載 24
カーボンニュートラルを推進するために、いま水素の可能性に注目が集まっている

「敵は二酸化炭素」を実践するために、「水素」をどう活用するか

 道路交通のカーボン・ニュートラル(炭素均衡=以下CN)化は単一の技術では不可能。日欧米の自動車工業会が互いにこの方向性を確認し、BEV(バッテリー電気自動車)以外の選択肢についての必要性を再確認したのは今年4月だった。この中でひとつのポジションを得ているのが水素の利用だ。すでに各方面で自動車に水素(H₂)を使う試みが始まっている。

マツダ、スーパー耐久シリーズ2023に ガソリン代替カーボンニュートラル燃料使用の「マツダロードスター」で参戦

 まず、水素を使って発電するFC(フューエル・セル=燃料電池)を使ったFCEV(燃料電池電気自動車)。この分野はかつてダイムラー・ベンツ、トヨタ、GM、ホンダが開発を競い、トヨタとホンダは市販モデル発売に漕ぎ着けた。

 現在は中国国営OEM(自動車メーカー)の第一汽車、広州汽車のほか商用車大手の北京福田汽車なども開発に参画している。中~大型トラックと大型バスをFCで走らせることを狙っている。

 発電を行うFCスタックは中国製と海外製の両方を試験車に搭載している。この分野で実績のあるカナダのバラード・パワー・システムズは現在、中国企業が筆頭株主である。また、中国政府が開発資金を提供し、FCよりも低コストで使えるH₂燃焼ICE(内燃機関)の両方を開発しているほか、北京福田汽車はトヨタ・グループと技術提携を行っている。

 FCスタックの技術では日本が固体高分子膜方式でリードしているが、白金(プラチナ)を使うためコストが高くなる。トヨタは現在、世界で最も低価格でFCスタックを作ることができる企業といわれるが、中国は量産規模の効果でさらに安価なFCスタックを量産する計画を進めている。

 一方、H₂を燃料として使い直接ICEで燃焼させる方式については、世界初の市販H₂燃焼ICE車を発売したBMWをはじめメルセデスベンツ・グループ、ESP(エンジニアリング・サービス・プロバイダー=開発請負会社)であるオーストリアのAVL、ドイツのFEV、IAVなど欧州勢が開発を進めている。中~大型商用車向け6気筒ICEが主流であり、燃料となるH₂は再エネ(再生可能エネルギー=太陽光、風力、地熱など)発電によって作り出す計画が並行して進められている。

 米国ではGMとホンダがFCEV分野で協力してきたが、現在のバイデン政権は水素よりもBEVの普及を優先している。また、テスラという成功例があるため経済界から「無駄な研究」という考え方が多い。その一方で、大型トラック用ICEの分野では「BEVは普及しない」といわれており、H₂燃焼ICEの開発が進んでいる。

 日米欧の自動車工業会は「CNを目指すにはBEVだけでは不十分」「技術には多様性が必要」との認識で一致している。中国では「年間1000万台のBEVとHEV(ハイブリッド車)を生産し、500万台の古いICE車をスクラップにしても、国内の自動車保有台数が3億5000万台に届く2030年時点ではBEVへの充電のために発電段階でのCO₂発生増により年間1900万トンのCO₂超過になる」と試算されている。

 日本ではトヨタがH₂燃焼ICE車をレースに投入し注目されているが、世界でもH₂への注目度は高まってきた。

こんな記事も読まれています

S耐に出てるトヨタの水素カローラは走りながらCO2を回収してるだと!? 超画期的な技術の中身とは
S耐に出てるトヨタの水素カローラは走りながらCO2を回収してるだと!? 超画期的な技術の中身とは
WEB CARTOP
なぜ水素燃焼エンジンに注目が集まるのか EVに代わる選択肢、ステランティスも参入
なぜ水素燃焼エンジンに注目が集まるのか EVに代わる選択肢、ステランティスも参入
AUTOCAR JAPAN
テスラ「低価格EV」投入 400万円は確かに安いが、ガソリン車の方が財布にまだ優しい現実
テスラ「低価格EV」投入 400万円は確かに安いが、ガソリン車の方が財布にまだ優しい現実
Merkmal
トヨタMIRAIが一部改良で安全装備と先進機能をバージョンアップ
トヨタMIRAIが一部改良で安全装備と先進機能をバージョンアップ
カー・アンド・ドライバー
【ボクらの時代録】2011年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。日産リーフ ( ZEO型)のヒトに優しいゼロエミッション
【ボクらの時代録】2011年の日本カー・オブ・ザ・イヤー。日産リーフ ( ZEO型)のヒトに優しいゼロエミッション
カー・アンド・ドライバー
なぜ300km/h出せるスーパースポーツでも180km/h? 日本車の速度リミッターはいまの時代になれば納得の取り組みだった
なぜ300km/h出せるスーパースポーツでも180km/h? 日本車の速度リミッターはいまの時代になれば納得の取り組みだった
WEB CARTOP
高速道路のEV急速充電器を増設へ 英政府、約130億円投資 課題は
高速道路のEV急速充電器を増設へ 英政府、約130億円投資 課題は
AUTOCAR JAPAN
スズキのEV戦略 カギを握るインド生産「SUV」「軽EV」、国内は後発も低価格帯投入の可能性あるのか
スズキのEV戦略 カギを握るインド生産「SUV」「軽EV」、国内は後発も低価格帯投入の可能性あるのか
Merkmal
「マリンもマルチパスウエイで」ヤマハ発動機、カーボンニュートラル達成へ「水素エンジン」投入へ
「マリンもマルチパスウエイで」ヤマハ発動機、カーボンニュートラル達成へ「水素エンジン」投入へ
レスポンス
エンジン車は「救命胴衣」 東欧ダチア(DACIA)が電動化に時間をかける理由 EVには消極的?
エンジン車は「救命胴衣」 東欧ダチア(DACIA)が電動化に時間をかける理由 EVには消極的?
AUTOCAR JAPAN
ランクルやデリカD:5! お財布にも環境にも優しい! 走りも抜群に良いクリーンディーゼル車4選
ランクルやデリカD:5! お財布にも環境にも優しい! 走りも抜群に良いクリーンディーゼル車4選
ベストカーWeb
メルセデス・ベンツGLCのプラグインハイブリッドモデル「GLC350e 4MATIC Sports Edition Star」が日本上陸
メルセデス・ベンツGLCのプラグインハイブリッドモデル「GLC350e 4MATIC Sports Edition Star」が日本上陸
カー・アンド・ドライバー
ホンダが米国で開催される「CES2024」で新たなグローバルEVシリーズを世界初公開すると予告
ホンダが米国で開催される「CES2024」で新たなグローバルEVシリーズを世界初公開すると予告
カー・アンド・ドライバー
中国のBYDはバスの世界でも脅威のフットワーク! JAPANの頭文字「J」を付けたEVバスで日本獲りを狙う
中国のBYDはバスの世界でも脅威のフットワーク! JAPANの頭文字「J」を付けたEVバスで日本獲りを狙う
WEB CARTOP
F1、FIA、エクストリームHが水素ワーキンググループ結成へ「モータースポーツには短時間で新技術を広める伝統がある」
F1、FIA、エクストリームHが水素ワーキンググループ結成へ「モータースポーツには短時間で新技術を広める伝統がある」
motorsport.com 日本版
バッテリーEVのレクサスRZにFWDモデルの「RZ300e」を新設定
バッテリーEVのレクサスRZにFWDモデルの「RZ300e」を新設定
カー・アンド・ドライバー
サーブの血を引く電動セダン 量産化へ一歩前進 Nevs、カナダ企業へプロジェクト売却
サーブの血を引く電動セダン 量産化へ一歩前進 Nevs、カナダ企業へプロジェクト売却
AUTOCAR JAPAN
【トヨタの近未来EV戦略】トヨタが電気自動車攻勢を開始 2026年までに少なくとも6台の電気自動車を投入
【トヨタの近未来EV戦略】トヨタが電気自動車攻勢を開始 2026年までに少なくとも6台の電気自動車を投入
AutoBild Japan

みんなのコメント

24件
  • 日本はEVにしろメーカーに丸投げ。
    トヨタ対中国じゃきついよね。
  • 水素は一般車より長距離などの運送業界に向いてると思う。
    そしてタンカーや船舶などの貨物船など。
    水素ステーションも物流拠点は定まっているだろうし
    そこに作れば良い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村