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ロッシの型破りな戦略/ポールポジション越えの最速ラップ/路面の再舗装が助けに【ル・マン木曜Topics】

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ロッシの型破りな戦略/ポールポジション越えの最速ラップ/路面の再舗装が助けに【ル・マン木曜Topics】

 フランス、ル・マンのサルト・サーキットで、6月14~15日に決勝レースが行われる『第93回ル・マン24時間レース』。ポールポジションを含む予選上位グリッドを決めるハイパーポールが行われた木曜日のパドックから、同レースにまつわる最新情報をお届けする。

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金のキャデラックがフロントロウ独占! トヨタは最終ステージでコースオフ/ル・マン24時間ハイパーポール

 ポールポジションを獲得した12号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ハーツ・チーム・JOTA)のアレックス・リンがマークした3分23秒166は、木曜夜のハイパーポールにおける最速ラップではなかった。

 タイム上の最速は、ハイパーポール“H1”で311号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェーレン)のジャック・エイトケンが記録した3分22秒742。2023年にポールポジションを獲得した50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)のアントニオ・フォコが記録した3分22秒982というこれまでの記録を上回った。

 キャデラックは、1967年にブルース・マクラーレンがフォードGT40 Mk IVでトップの座を獲得して以来、ル・マン24時間レースでポールポジションを獲得したアメリカのマニュファクチャラーとなった。一方、リンは2004年のジョニー・ハーバート以来、ル・マンでポールポジションを獲得したイギリス人となった。

 予選最速となったリンは次のように喜びを語っている。「このようなパフォーマンスを発揮し、キャデラックにふさわしい1番手でマシンを届けることができて、本当に光栄だよ。言葉では言い表せないほど特別な気持ちだ。ここはまさに魔法のようなサーキットで、素晴らしい場所で、最高のパフォーマンスを発揮できる場所だと思った。今夜はポールポジションの喜びを楽しんで、ぐっすり眠ってリセットしたいと思う」

 ハーツ・チームJOTAにとって、ハイパーカークラスにおける初のポールポジション獲得となる。キャデラックにとっては、昨シーズンの富士スピードウェイでリンが獲得したポールポジションに続き、2度目のポールポジション獲得となった。キャデラックは、アウディ、ポルシェ、トヨタ、フェラーリに続き、ル・マンでフロントロウを独占した5番目のマニュファクチャラーとなった。

 ポルシェLMDhのファクトリーディレクター、ウルス・クラトル氏は、チーム・ペンスキーが運営する2台のポルシェ963がハイパーポール2“H2”に進出し、3番手と5番手に終わったことを寛大に受け止めた。「もちろん、これは納得できる結果だ」とクラトルは語った。「期待していた結果ではないが、タイムは本当に速いと思う。そしてキャデラックは、素晴らしい仕事をしたから、この結果を受け入れるしかないね。上位に付けたのは本当に嬉しい」

 クラトルは、予選前半でジュリアン・アンドラウアーの乗る5号車ポルシェ963がピットイン時、右リヤタイヤが外れてしまうアクシデントが起きたが、ホイールガンに起因した問題ではないことを明言し、「指のトラブルによるもの」だと表現した。

 そして、水曜日の予選で6号車が失格となった件について、ポルシェは詳細を明らかにしていない。昨年のポールポジション獲得マシンは、ハイパーカー部門の最後尾からのスタートとなる。

 しかし、クラトル氏は、ポルシェが6号車を欠いていたことは認めた。もしハイパーポール2まで進出していれば、ケビン・エストレがステアリングを握っていたはずだという。「ケビンがマシンに乗っていれば、6号車にとって間違いなく素晴らしい予選になっただろう」とクラトル氏は語った。「彼の不在は大きな痛手だった。結果を見れば、彼も上位争いに加わっていたはずだ」

 BMW Mモータースポーツのディレクター、アンドレアス・ルースは、ドリス・ファントールの乗る15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)がハイパーカーで4番手となり、LMGT3クラスではバレンティーノ・ロッシが乗る46号車BMW M4 LMGT3(チームWRT)が3番手を獲得したことを受け、バイエルン出身のBMW Mが参戦する両カテゴリーでのパフォーマンスに満足感を示した。

 ルースはSportscar365に次のように語った。「週末前に、ハイパーポール2“H2”に2台とも参戦し、4番手と6番手を獲得できると聞いていたら、喜んで受け入れていただろう。21台のハイパーカーが参戦する中で、私たちは非常に満足できる位置につけたと思う」

 46号車が“H1”でプラチナ認定のケルビン・ファン・デル・リンデを起用し、“H2”でシルバー認定のロッシを起用するという型破りな戦略を選択した理由について、ルースは次のように答えた。「ハイパーポール2に進出できるかどうか確信が持てなかったので、ペースを確保したかった。ロッシは素晴らしい仕事をしてくれたと思うよ。トップとの差は小さいものではなかったが、彼はマシンを3番手につけるという素晴らしい仕事をしてくれた」

 フェラーリは当初、50号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)の予選で、ミゲル・モリーナを“H1”に出場させる予定はなかったが、ニクラス・ニールセンの体調不良により計画変更を余儀なくされた。そしてフォコは、“H2”で予選7番手を獲得した。

 また、LMGT3クラスでWEC初ポールシッターとなった27号車アストンマーティン・バンテージAMR LMGT3(ハート・オブ・レーシング・チーム)のマティア・ドルディは、最終セクターの路面の再舗装が、ハイパーポールで助けになったと語り、このレースで自身初のWECポールを獲得した。

 ドルディはSportscar365に対し、「非常にクリーンなラップだった。1周目からすでにパフォーマンスは非常に良かったはずだ。ただ、正直に言うと最終セクターで少しミスをがあった。さらに、最終セクターではすでにタイヤが少し落ちていたようだから、最終的にあんなに速いタイムが出るとは思っていなかったよ」と語った。

 アストンマーティンは、昨年のLMGT3カテゴリー創設以来、マクラーレンとランボルギーニに続き、複数回のポールポジションを獲得した3番目のマニュファクチャラーとなった。また、LMGTEプロ、LMGTEアマ、LMGT3の3つの異なるクラスで複数回のポールポジションを獲得した初のブランドとなった。

 LMP2では、TDSレーシングの29号車オレカ07・ギブソン(TDSレーシング)がポールポジションを獲得。マティアス・ベッシェにとってはWEC初のポールポジション獲得となった。

 一方、TDSレーシングは、2019年にレーシング・チーム・ネーデルランドとしてシルバーストーンでWECのポールポジションを獲得して以来、約6年ぶりのポールポジション獲得を達成した。同年、TDSレーシングはロイック・デュバルのドライブで、ル・マンでLMP2のポールポジションを獲得している。

 ウェイン・テイラー・レーシング(キャデラックWRT)は、フリープラクティス3で「潜在的な問題を検出」した後、101号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラックWTR)のエンジンを交換した。ウェイン・テイラー自身がラジオ・ル・マンに、チームはすでに前日にレースエンジンをインストールしていたと語り、木曜日にインストールされたユニットはバックアップだったことを示唆した。

 フェラーリのグローバル・エンデュランス部門の責任者であるアントネッロ・コレッタ氏は、今週ル・マンでメディアに対し、フェラーリはファクトリー・ハイパーカー・ドライバー6名全員の残留を目指す考えを明かした。すでに、ニールセン、アレッサンドロ・ピエール・グイディ、ジェームス・カラドの3人は複数年契約の期間中であり、フォコとミゲル・モリーナとは昨年10月に契約更新を発表している。

 コレッタ氏は「複数年契約を結んでいるドライバーもいれば、今年契約を更新するドライバーもいる状況だ。ル・マン終了後、契約更新のタイミングが来たら、協議のテーブルに着き、全員にとって最善の解決策を一緒に模索したい。現時点では誰も変更するつもりはないので、今後のシーズンも同じクルーで続けられることを願っているよ」と述べた。

 一方、フォード・パフォーマンスでは人事異動があり、マネージャーのケビン・グルートが退社し、元フォード・パフォーマンスのGT3およびGT4モータースポーツ・プログラム・スーパーバイザーであるアレックス・アルマンディンガーが後任として、グローバル・スポーツカー・レーシング・マネージャーに就任した。この人事異動は先月行われたと見られている。

『アメリカン・サンダー:NASCAR to Le Mans』が本日Prime Videoでプレミア公開された。このビデオには2023年ル・マンに挑んだNASCAR Next Gen Garage 56の模様を収録。ドライバーのジミー・ジョンソン、マイク・ロッケンフェラー、ジェンソン・バトンは、ヘンドリック・モータースポーツが製作した24号車シボレー・カマロZL1をル・マンで走らせた。このマシンは、NASCAR会長兼CEOのジム・フランス氏のル・マン参戦というビジョンを具現化したものだ。このマシンは今週末、ビレッジ・トリビューンズに展示されている。

 FIAの女性モータースポーツ委員会は、木曜日の朝、ル・マンでイベントを開催した。フェラーリの耐久レース部門グローバル責任者コレッタ氏の娘で、委員会のプロジェクトコーディネーターを務めるスザンナ・コレッタ氏がイベントの企画に協力し、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長とFIA耐久レース委員会のリシャール・ミル会長が出席した。

 金曜日は、チームとドライバーが土曜日のレーススタートに向けた休息日となるため、サーキットでの走行予定はない。ただし、ACOの記者会見は現地時間11時(日本時間18時)に予定されている。さらに、今後のハイパーカー参戦を予定しているマクラーレン、ジェネシス、フォードは、それぞれのプログラムに関する発表を午後に予定している。

[オートスポーツweb 2025年06月13日]

文:AUTOSPORT web
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