現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > 【電動化911『GTS』初試乗】高めたかったのは最後の数パーセント!ポルシェのエンジニアが出した最適解とは

ここから本文です

【電動化911『GTS』初試乗】高めたかったのは最後の数パーセント!ポルシェのエンジニアが出した最適解とは

掲載 更新 8
【電動化911『GTS』初試乗】高めたかったのは最後の数パーセント!ポルシェのエンジニアが出した最適解とは

電動化がGTS成立のキーとなる?

ついにポルシェ911にも電動化システムが組み込まれることになる! そんなニュースを聞いたのは昨年の春ごろ、992型911の改良進化型が発表された時だった。今回ようやく、ハイブリッドモデルである『ポルシェ911カレラGTS』(以下911GTS)を試すチャンスが巡ってきた。

【画像】911史上初となるハイブリッドモデル、ポルシェ911カレラGTS! 全31枚

では911GTSの説明から。同社が超軽量なハイブリッドシステムと主張する『T-ハイブリッド』は、8速PDKの内部に仕込まれた最高出力54psの駆動用モーターと、1.9kWhのリチウムイオンバッテリー等で構成されている。

水平対向6気筒エンジンはベーシックな3Lではなく3.6L版となり、エンジン単体の最高出力は485ps、システム最高出力は541psに達している。

現行911に搭載されている過給エンジンは全てツインターボとなっていたが、911GTSのパワーユニットには1基400V駆動の電動ターボが採用されている。しかもこの電動ターボチャージャーは、排気の力を利用して発電する機能も備えているという。

マイルドハイブリッドとしては強めの駆動用モーターや最新の電動ターボが、排気量が多め目のフラット6を全方位的にアシストする形になる。

さらに標準で後輪操舵も付いているという点も鑑みれば、新型の911GTSが加速だけでなくハンドリング性能にも秀でたモデルであること、それと同時にグレード名が的外れではないこともわかる。歴代の911GTSは、『カレラS以上、ターボ以下』というポジションを与えられた高性能モデルだったからである。

電動化の主張は少なめ、加速は図太く!

試乗車のボディカラーは、ウェブサイトでよく見かける『スレートグレーネオ』だった。さっそくクルマの周囲を見て回ったのだが、以前写真で見たはずの『T-hybrid』の文字が見当たらなかった。

リアに911のエンブレム、ドアの下縁にGTSのデカールがあるだけなのだ。デカール以外のGTSの識別ポイントは、フロントバンパー左右にあるインテーク内のブレードが縦方向になっていることである。

今度は運転席で電動化の特徴を探してみたのだが、こちらも控え目な感じだった。EV走行モードがあるわけではないので、メーターディスプレイ内にEV航続距離やバッテリー残量のような表示はない。

センターディスプレイの画面を切り替えるとようやく電動化システムのページが見つかった。それによれば、駆動用バッテリーはダッシュボードのすぐ裏あたりに積まれているようだ。リアを重くしたくない911らしいこだわりである。

ちなみに車検証の軸重は、フロント590kg対リア1040kg。先日試乗した911カレラは580kg対990kgだったので、その差は60kgということになる。

ともあれ乗ってみよう。992.2型から採用されたスタートボタンでエンジンを始動させると、かなり勇ましい排気音が鳴り響いた。タウンスピードでは、普通のカレラより少しだけ重厚な感じがするくらいだった。

ところが高速道路の合流で加速をしてみると、その図太いパワー感に驚かされた。ターボというより、自然吸気の大排気量エンジンの如し。パワーカーブが一直線に上がっていく感じだ。

真価はキレイに埋まった駆動の隙間にあり

新型911GTSの速さの源を指摘することは難しい。3.6Lにスープアップされたフラット6のパワーと電光石火シフトの8速PDKがベースとしてあるが、それでも機構的にはBEVのような直線的な加速感は望めないはず。

つまり驚速レスポンスによってターボラグをなきものとする電動ターボとモーターの動力が複雑に絡み合うようにして、加速の谷間をキレイに埋めているに違いない。

手掛かりとなるのは丸いレヴカウンター表示の内側にある表示だけだ。スロットルを踏み込んでモーターのアシストが入ると青いバーが右に伸び、スロットルオフで回生が入ると緑のバーが左に伸びることで、モーターの仕事ぶりがわかるようになっている。

走りながらメーターの動きを見てみると、スロットルを踏んだ瞬間に鋭くアシストが入るのだが、収束するのも早い。回生側も同じで最初の立ち上がりは強いのだが、ブレーキペダルを中ぐらいの力で長めに踏み込んでいる時以外だと、スッと回生が終わってしまう。モーターの目的は駆動の隙間をキレイに埋めるだけで、決してエンジンよりも目立って違和感を生むような真似はしないのだ。

ポルシェのエンジニアはモーターの駆動力で911を速くするというより、電動化技術によって機構的な完成度の、最後の数パーセントを高めたかったのだろう。そう考えれば黒子に徹したハイブリッドにも納得がいく。

シンプルで軽い911Tとは対極ともいえる機能的な勝利。新型911GTSの完成度は、今後のスポーツカーの指標となり得るものだと思う。

ポルシェ911カレラGTSのスペック

全長×全幅×全高:4553×1852×1296mm
ホイールベース:2450mm
トレッド:F1602/R1555
車両重量:1595kg
エンジン:水平対向6気筒eターボ
ボア×ストローク:97.0×81.0mm
総排気量:3591cc
圧縮比:10.5
最高出力:357kW(485ps)/6500rpm
最大トルク:570Nm/2000-5500rpm
モーター最高出力:40kW
モーター最大トルク:150Nm
バッテリー容量:1.9kWh
バッテリー電圧:400V
トランスミッション:8速DCT(PDK)
燃料タンク容量:63L
駆動方式:後輪駆動
サスペンション:Fマクファーソンストラット Rマルチリンク
タイヤサイズ:F245/35ZR20 R315/30ZR21
最高速度:312km/h
0-100km加速:3.0秒
車両価格:2254万円
取材車車両価格:1958万7000円

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1並の空力性能で「物理法則の限界に挑む」、BMWが高性能テスト車両公開…上海モーターショー2025
F1並の空力性能で「物理法則の限界に挑む」、BMWが高性能テスト車両公開…上海モーターショー2025
レスポンス
【KOVE】モトクロッサー「MX250」が8月に日本発売!(動画あり)
【KOVE】モトクロッサー「MX250」が8月に日本発売!(動画あり)
バイクブロス
【台湾】トヨタ斬新「シエンタ クロスオーバー」に再注目! “3列7人乗り”仕様あり&「車高アップ×黒顔」のタフスタイル! お洒落な“ブラウン内装”が目を惹く「シエンタSUV」とは?
【台湾】トヨタ斬新「シエンタ クロスオーバー」に再注目! “3列7人乗り”仕様あり&「車高アップ×黒顔」のタフスタイル! お洒落な“ブラウン内装”が目を惹く「シエンタSUV」とは?
くるまのニュース
気温がグングン上昇中! こんなときはタイヤの空気圧もスゴイことになるって知ってた?
気温がグングン上昇中! こんなときはタイヤの空気圧もスゴイことになるって知ってた?
ベストカーWeb
自動運転AIのウェイブ、日本市場に参入 運転支援技術など横浜に開発拠点
自動運転AIのウェイブ、日本市場に参入 運転支援技術など横浜に開発拠点
日刊自動車新聞
激変の羽田空港「元離れ小島の空港ビル」使ってみた! どの路線で使われる? 「昔のほうが楽だった」覆す仕掛けは?
激変の羽田空港「元離れ小島の空港ビル」使ってみた! どの路線で使われる? 「昔のほうが楽だった」覆す仕掛けは?
乗りものニュース
ホンダの中国新ブランド、第2弾『GT』市販モデルを世界初公開へ…上海モーターショー2025
ホンダの中国新ブランド、第2弾『GT』市販モデルを世界初公開へ…上海モーターショー2025
レスポンス
広汽ホンダ、新型EV『P7』発売…航続650km、約386万円から
広汽ホンダ、新型EV『P7』発売…航続650km、約386万円から
レスポンス
日野自・三菱ふそう統合へ、“足掛け3年”でようやく最終調整[新聞ウォッチ]
日野自・三菱ふそう統合へ、“足掛け3年”でようやく最終調整[新聞ウォッチ]
レスポンス
「無いんですか? 『50万円以下』の罰金かもですよ」 家に置いてあるは通じない! 免許証は携帯必須! では車内に必須なモノとは
「無いんですか? 『50万円以下』の罰金かもですよ」 家に置いてあるは通じない! 免許証は携帯必須! では車内に必須なモノとは
くるまのニュース
Astemo、SDV時代のモビリティ技術を出展へ…上海モーターショー2025
Astemo、SDV時代のモビリティ技術を出展へ…上海モーターショー2025
レスポンス
【スバルの本気】新型フォレスターついに日本発売!! デザイン・質感・走り…全部イイ!!
【スバルの本気】新型フォレスターついに日本発売!! デザイン・質感・走り…全部イイ!!
ベストカーWeb
マセラティ「グレカーレ」にエントリーモデル追加!同時にボディカラーも刷新、新色が”春のコレクション”として登場!
マセラティ「グレカーレ」にエントリーモデル追加!同時にボディカラーも刷新、新色が”春のコレクション”として登場!
LEVOLANT
マツダ、セカンドキャリア支援へ 工場の間接正社員などに割増退職金や再就職支援 500人募集
マツダ、セカンドキャリア支援へ 工場の間接正社員などに割増退職金や再就職支援 500人募集
日刊自動車新聞
EV車台にハイブリッド搭載可能な新技術、ルノーと吉利の合弁「ホース」が発表へ…上海モーターショー2025
EV車台にハイブリッド搭載可能な新技術、ルノーと吉利の合弁「ホース」が発表へ…上海モーターショー2025
レスポンス
どうすればいいか知ってる? 愛車を海外旅行に持って行く方法を徹底解説
どうすればいいか知ってる? 愛車を海外旅行に持って行く方法を徹底解説
バイクのニュース
「多摩エリアと栃木県を結ぶ特急」いよいよ運行へ 埼玉県内の駅にも停車 2日間限定
「多摩エリアと栃木県を結ぶ特急」いよいよ運行へ 埼玉県内の駅にも停車 2日間限定
乗りものニュース
日産、新型「エルグランド」を発表! 高級ミニバンの元祖が16年ぶりにフルモデルチェンジ、2026年度に発売【新車ニュース】
日産、新型「エルグランド」を発表! 高級ミニバンの元祖が16年ぶりにフルモデルチェンジ、2026年度に発売【新車ニュース】
くるくら

みんなのコメント

8件
  • NAS********
    一部の希望的観測ではカレラにはNA4.0Lが載るのではと言われたが
    儚く消え去ったなー
  • aer********
    機構が複雑になればなるほど将来の部品供給に不安が出てきそう。特に、2,30年経った時に、クラシックカーのように末長く愛され続ける車になれるか。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1865 . 0万円 4118 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

250 . 0万円 8500 . 0万円

中古車を検索
ポルシェ 911の買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1865 . 0万円 4118 . 0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

250 . 0万円 8500 . 0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村