■道具箱というコンセプトが生んだ“ミニバンとSUVの融合”
クルマに求められる役割は、時代とともに少しずつ変わってきました。かつては移動手段としての性能が重視されていましたが、近年ではそれに加えて、生活のさまざまな場面を支える「使い勝手」が強く意識されるようになっています。
【画像】超カッコイイ! これがトヨタ斬新「“丸目”スライドドアSUV」の姿です! 画像で見る
買い物や送迎といった日常の足としての役割はもちろん、休日のレジャーや長距離ドライブまで一台でこなせる万能さが、多くのユーザーにとって重要なポイントになっています。
実際、2026年1月の普通乗用車新車販売ランキングを見ても、その傾向は明らかです。上位にはミニバンやSUVが並び、広い室内空間と高めの走破性をあわせ持つモデルが支持を集めています。
都市部での扱いやすさと、郊外やアウトドアシーンでの安心感を両立させたいというニーズが、数字にも表れているのです。
こうした流れを数年前に先取りしていた存在として語られるのが、トヨタのコンセプトカー「Tj CRUISER(ティ・ジェイ・クルーザー)」です。
このモデルは2017年の「第45回 東京モーターショー」で初公開されました。車名の「Tj」はTOOL-BOX(道具箱)とJoy(楽しさ)を組み合わせた造語で、「CRUISER」はトヨタSUVの伝統を示す言葉です。
つまり、実用品としての頼もしさと、クルマを持つ楽しさの両立を目指した一台だったのです。
エクステリアは直線を基調とした力強いデザインが印象的です。平らに近いボンネットや厚みのあるバンパー、大径タイヤを強調するフェンダーアーチが、タフなイメージをつくり出しています。
一方で、フロントグリルの造形や丸みを帯びたヘッドライトには、どこか未来的な雰囲気も漂っており、近年トヨタが展開している「ランドクルーザー250」や「ランドクルーザー70」にも通じるエッセンスを感じさせるデザインとなっています。
商用車のような実用性を感じさせながらも、街中で映える個性を備えている点が特徴です。
ボディサイズは全長4300mm×全幅1775mm×全高1620mm、ホイールベース2750mmです。
トヨタの小型ミニバン「シエンタ」(全長4260mm×全幅1695mm×全高1695-1715mm)や、コンパクトSUV「C-HR」(全長4385-4390mm×全幅1795mm×全高1550-1565mm)と近い寸法に設定されています。
取り回しやすさを確保しながら、しっかりとした室内空間を実現する狙いがうかがえます。
都市部の立体駐車場や狭い路地でも扱いやすいサイズ感は、多くのユーザーにとって現実的な選択肢となり得るでしょう。
室内は2列シート構成ですが、荷物の積載を最優先に設計されています。リアシートを倒すと床面がフラットになり、大型の荷物も無理なく積み込めます。
さらに助手席まで倒せば、3メートル級の長尺物にも対応可能とされていました。サーフボードや自転車といったアウトドア用品はもちろん、仕事で使う資材の運搬にも役立つ設計です。
両側のスライドドアは開口部が広く、狭い駐車場でも乗り降りや積み下ろしがしやすい点も魅力でした。
ボンネットやルーフ、フェンダーには傷や汚れに強い塗装が施され、多少ラフに扱っても気になりにくい仕様となっています。
インテリアも華美な装飾を避け、使いやすさを重視したデザインです。あくまで「道具」としての実用性を軸にしながら、所有する楽しさを損なわない工夫が随所に見られました。
パワートレインについては、2リッタークラスのエンジンをベースとしたハイブリッドシステムを想定し、前輪駆動と4輪駆動の設定が検討されていました。
次世代TNGAプラットフォームを採用することで低重心化を図り、燃費性能と安定した走りの両立を目指していたとされています。
舗装路での快適性に加え、軽いオフロードにも対応できる走破性は、アウトドア志向のユーザーにとって大きな魅力だったはずです。
発表当時、このモデルは斬新なコンセプトと高い実用性によって注目を集めました。しかし、2026年2月時点でも市販化に関する正式な発表はなく、価格や発売時期は明らかになっていません。
それでも、ミニバンとSUVの特長を融合させるという発想は、現在の市場動向と重なる部分が多く、いま見ても新鮮さを失っていません。
ネット上でもさまざまな声が上がっています。「シエンタサイズだと街乗りしやすそう」「仕事にも遊びにも使えそうで理想的」「スライドドア付きSUVは本当に便利そう」と期待する意見がある一方で、「なぜ市販化しないのか不思議」「今こそ売れるタイミングでは」「価格次第では絶対に買いたい」と具体的な購入意欲を示すコメントも見られます。
また、「道具箱という発想が面白い」「無骨なのにかわいい」「今どきのランクルっぽい顔つきがいいね」とデザインを評価する声も少なくありません。
こうした反応からも、このモデルがいまなお多くの人の記憶に残っていることが分かります。(くるまのニュース編集部)
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まったくもって反響は殺到しておらず、再注目もされていない。