マツダは2016年8月25日、フラッグシップモデルのアテンザを商品改良し同日より発売した。 2012年に「CX-5」を発売して以降、マツダは一貫して人間の特性・感覚を徹底的に研究。デザインテーマ「魂動(こどう)-Soul of Motion」による生命感あふれるデザインと「SKYACTIV技術」を採用することで、人間にとって気持ちの良い走りを追求してきている。
今回のアテンザの商品改良でも、「人間中心の開発哲学」に基づいた最新技術があらゆる面に採用された。
まずエクステリアで目指したのが、上質感にこだわった魂動デザインの進化。アテンザのスタイルを魅力的に彩るエクステリアデザイン「機械の持つ精緻な美しさの追求」をテーマに、力強い陰影のコントラストと表面の緻密さを高次元に両立するため、リアルな金属質感を実現した新色「マシーングレープレミアムメタリック」が採用された。
他にも「ソウルレッドプレミアムメタリック」など、全10色のエクステリアカラーをラインナップする。 インテリアではL Packageに、丹念な造り込みと高品質な素材とで磨き上げた新デザインが導入された。天井とピラーをブラックにし、ホワイトとブラックの2種類のインテリアカラーを設定することで落ち着きある車内空間を表現。シート素材にも上質でしっとりした滑らかな触感のナッパレザーを採用する。
またインパネデコレーションパネルやドアトリムスイッチ、シフトパネルは専用カラーでコーディネートされ、パワーシートスイッチ、グローブボックスのノブも専用加飾で高品質感を演出。専用アクセント(中央メッキリング&6時ベゼル本革巻)をあしらったステアリングホイールも採用する。
新しいアテンザの進化としては、テクノロジー面の革新も見逃せない。マツダはエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシーなどのSKYACTIV技術群を統合的に制御することで、「人馬一体」の走行性能を高める新世代車両運動制御技術「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS」の展開を推し進めているが、新アテンザではその第一弾である「G-Vectoring Control」が全車に採用された。
これはドライバーのハンドル操作に応じてエンジンの駆動トルクを緻密に変化させることで、横方向と前後方向の加速度を統合的にコントロールし、タイヤの接地荷重を最適化して人間の身体感覚に合った自然で滑らかな車両挙動を実現する技術だ。
日常域から緊急回避シーンまで一貫した制御効果を付加し、あらゆるドライバーへ運転の安心感を提供するのが目的だ。とくに降雪、降雨時などの滑りやすい路面でより高い効果を発揮し操縦安定性を向上するとともに、乗員にかかる加速度の変化をより滑らかにつなぐことで、体の揺れが減り、乗り心地も改善する。
クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」も進化を遂げている。過給圧の制御を最適化し、より細かな燃料噴射を可能にしたことで、エンジンのトルク応答をより緻密にコントロールする「DE精密過給制御」を採用。アクセル操作に対するクルマの反応がやや遅れていた軽負荷領域においても、ドライバーの意思に沿った一体感のある走りを実現できるようになった。
ディーゼルエンジンの騒音についても新たな対策が施された。ノック音の原因であるエンジン燃焼による圧力波と部品の共振による圧力波に着目し、特に音量が大きい周波数別に静粛性を向上させる「ナチュラル・サウンド・スムーザー」と「ナチュラル・サウンド・周波数コントロール」を採用。
またフラッグシップにふさわしいNVH対策の一環として、隙間からの騒音の侵入を徹底的に抑制するとともに、フロントドアガラスの板厚アップやトップシーリングの吸音材面積の拡大により、遮音・吸音性能を向上している。L Packageではフロントドアガラスに、ロードノイズと風騒音を大幅に低減する遮音ガラスも採用する。
人間中心設計の進化はメーター類の視認性向上にも及んでいる。「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ」の表示は、画面上側を走行環境情報、下側を車両情報に棲み分けることで、視認時の迷いを低減するとともに、フルカラー・高輝度・高精細・高コントラスト化を実現し読み取りやすさを向上。マルチインフォメーションディスプレイにフルカラーTFT液晶を採用し、質感と読み取りやすさを高めたメーターも採用された。
この他にも人間工学に基づき、ドライバーへの正確なフィードバックを提供する新型ステアリングホイールの採用、ドアロック連動ドアミラーの新規設定、L Packageへのアクティブ・ドライビング・ディスプレイ連動式の運転席シートメモリーやステアリングヒーターの設定が行なわれている。
先進安全技術「i-ACTIVSENSE」もさらに強化された。前方の車両や歩行者を検知し、衝突の危険があると認識すると自動的にブレーキをかけて衝突の回避や被害軽減を図る「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート(アドバンストSCBS)」は、近赤外線レーザーセンサーだった検知デバイスをフォワード・センシング・カメラに変更することで、検知対象を車両のみから歩行者にまで拡大。車両検知の作動速度域も従来の約4~30km/hから約4~80km/hとなり、歩行者検知は約10~80km/hで作動する。
フォワード・センシング・カメラは速度制限・進入禁止・一時停止の交通標識等を読み取ってアクティブ・ドライビング・ディスプレイに表示する機能も持ち、制限速度超過をディスプレイ内のグラフィック点滅やブザー警告でドライバーに通知する新開発の「交通標識認識システム(TSR)」も採用された。
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