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【合計1600馬力の豪腕対決】シボレー・カマロZL1xサットン・マスタング 後編

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【合計1600馬力の豪腕対決】シボレー・カマロZL1xサットン・マスタング 後編

見た目に違わずド派手な走り

執筆:Matt Prior(マット・プライヤー)

【画像】CS 850GTとモディファイド・カマロ ZL1 マッハ1とベースのカマロも 全62枚

翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治)


クライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタングのシートは幅がが広く、掛け心地も良い。ドライビングポジションも、人間工学的に考えられている。

ドラマチックなエンジンが前方に載っているが、レザーとアルカンターラ、コントラスト・カラーのステッチなど、軽くアップデートされたインテリアは落ち着いた空間だ。859psを楽しめる。

サーキットへ持ち込むと、CS 850GTは最高にゴキゲン。標準のマスタングと異なるだけでなく、アストン マーティン・ヴァンテージ F1エディションに近いと感じる部分すらある。

フロントタイヤもリアタイヤも路面をしっかり掴み、フロントノーズの動きは感心するほどにシャープ。適切なパワーを加えれば、テールが外に流れ出す。満面の笑顔になるのに、全力は必要ない。

ステアリングホイールは重さが増しているものの、フィーリングは濃い。ホイールベースも長いから、過度な緊張感は求められない。リアタイヤから白煙を上げたまま、ドリフト状態を維持できる。見た目に違わずド派手に。

ゲイリー・ハンダ氏が仕上げたシボレー・カマロ ZL1へ乗り換える。一般道での試乗はできなかったが、サーキットでも収めきれないほどの暴れん坊だ。

ドライビングポジションに優れ、マスタング並みに車内は快適。インテリアデザインは特に変更が加えられていないようだが、より造形的には興味が惹かれる。カマロ ZL1には、MTではなく10速ATが搭載されている。

オールドスクールな荒々しさ

走り始めると、手の入ったシャシーではなく、こちらもドライブトレインからの特別なインパクトに支配された。

CS 850GTではスーパーチャージャーのノイズが充満する一方で、カマロ ZL1は一層ブースト圧が高いにも関わらず、エグゾーストノートが圧倒する。シャシーはより硬くタイトで、ノイズも大きい。オールドスクールな荒々しさだ。

縁石や舗装の継ぎ目を越えると、ボディの動きは明らかにより鋭く小さい。ステアリングホイールの操舵感は軽いものの、機敏さでは上。ステアリングを回した向きへ、即座に突き進む。

グランドツアラーやマッスルカーに想像するような柔らかさはない。より高いスポーツ度がある。

ZL1には、2種類のサスペンションが用意されている。標準のマグネティック・ダンパーか、フォードGTのマニュファクチャラーでもあるマルチマティック社が用意する、DSSVと呼ばれる可変バルブを備えたダンパーだ。

ゲイリーのカマロ ZL1には、DSSVダンパーより穏やかなマグネティック・ダンパーが組まれているが、その姿勢制御はとても緻密。ZL1の足まわりは極めてソリッドで、応答性もシャープだ。

直線加速も同様。馬力はCS 850GTより小さい781psで、ATだから、ゲイリーのカマロの方が勢いは穏やかだと想像するかもしれない。だがそれは勘違い。センセーショナルといいたいほど激しく、息を呑むほどに速い。

かなりハードコアで、同じくらいスリリングでもある。間違いなく筋肉質だが、加速時の味わいは異なる。

アメリカへの憧れを強めた2台

専門ガレージによるコンプリートカーと、個人的に仕上げたチューニングカー。どちらも大幅に増強されたマッスルカーではある。だが今回の比較試乗で、優劣を付けるつもりはない。

カマロ ZL1の方は、ゲイリー自身が動くことで比較的コストを抑えることができている。中間マージンを省略でき、仕上げるのに要した費用は約7万5000ポンド(1162万円)だという。CS 850GTの11万5000ポンド(1782万円)と比べると、差は大きい。

ゲイリーのようにクルマへ労力を割ける人は限られていると思うが、その仕上がりは筆者にとって魅力的に映る。カマロへ多くの時間と愛情と、お金を注ぎ込み、見違えらせたことは間違いないだろう。

クライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタングは、ゲイリーのカマロと比べると個性は薄いかもしれない。それでも、859psへモディファイされる前でも、フォード・マスタングは英国では珍しく特別だ。

加えてサットンの仕事は完璧で、クルマの能力は極めて高い。角の丸められた仕上がりを持ち、パッケージングとしてもバランスが取れている。完成したプロダクトと呼べる。

温かい夏の夕暮れに、広々としたガレージの外にクルマを停め、大きなボンネットの中を覗き込む様子を想像してしまう。西日が筆者の顔を照らし、フェンダーの上に並べた工具が光を反射する。

カリフォルニアなら例え冬が来ても、寒すぎることはない。平屋の前のスペースには余裕がある。アメリカへの憧れが強くなったことは、間違いない。

チューニング・マスタングとカマロ 2台のスペック

ゲイリー・ハンダ・モディファイド・シボレー・カマロ ZL1(英国仕様)のスペック

英国価格:約7万5000ポンド(1162万円/予想)
全長:4785mm(標準カマロ)
全幅:1900mm(標準カマロ)
全高:1345mm(標準カマロ)
最高速度:289km/h(予想)
0-97km/h加速:3.5秒(予想)
燃費:7.1km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:1760kg
パワートレイン:V型8気筒6162ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:781ps
最大トルク:101.7kg-m
ギアボックス:10速オートマティック

クライブ・サットンCS 850GT フォード・マスタング(英国仕様)のスペック

英国価格:11万5000ポンド(1782万円)
全長:4784mm(標準マスタング)
全幅:1916mm(標準マスタング)
全高:1381mm(標準マスタング)
最高速度:289km/h(予想)
0-97km/h加速:3.5秒(予想)
燃費:7.1km/L(予想)
CO2排出量:−
車両重量:1720kg
パワートレイン:V型8気筒4951ccスーパーチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:859ps
最大トルク:91.7kg-m
ギアボックス:6速マニュアル

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