■鉄チンホイールだけどエアコン完備!
今や数少ないスポーツカーとなったトヨタ「GR86」。現行モデルは2021年にデビューした2代目モデルです。
初代に当たる「86」には2012年のデビュー当時に200万円を切る最廉価グレード「RC」がラインナップされていたのですが、現行モデルでも同グレードが存在します。
ただし、価格は293万6000円(消費税込)と初代より大幅にアップしたものの、実際は普段使いできるような装備が標準化され、かなり満足できる仕上がりとなっていると一部のクルマ好きから評判となっています。
GR86のRCグレードはどのようなモデルなのでしょうか。
まずは、初代86のRCグレードを振り返ってみます。
初代86は、「4シータークーペ」として2012年にデビューしました。
コンセプトは「公道でも扱いやすいFR(後輪駆動)スポーツ」とし、安全装備や快適装備も充実。メイングレードの車両価格は300万円前後で販売されましたが、199万円というお値打ちプライスで用意されたのがRCです。
このRCは、徹底的なコストダウンが図られた超スパルタン仕様。フロントバンパーやドアミラーは無塗装の黒、足元はスチールホイールを採用し、安さを追求しています。
内装の簡素化はさらに徹底されており、オーディオレスなのは当然のこと、オプションでもエアコンの装着ができません。
さらに、ステアリングやシフトノブはウレタン素材で、車内の遮音材もなく、エンジンカバーさえ省かれるという、まさにレースむけのベース車両以外での用途がないかもと思わせるほど、何も装備されていない“素のモデル”でした。
では、約100万円近く価格アップした現行GR86のRCはどうなのでしょうか。
一番の違いはバンパーがボディ同色になり、エアコンは標準装備化(しかも左右独立調整可能)。一見、通常グレードと見分けがつかないのですが、足元は黒く輝く16インチのスチールホイール(いわゆる鉄チンホイール)を装備するのがRCらしいところです。
内装は、初代とわらずステアリングやシフトノブはウレタン素材で、防音・防振のための遮音材(フロアサイレンサー)も省かれており、かなりダイレクトにエンジン音と振動が伝わってくるという現代版スパルタン仕様のハチロクとなっています。
しかし、最低限の快適性(エアコン装備)が確保されたことで、むしろ無駄を極限まで省いたRCは、サーキット走行向け、またはカスタムベース車として魅力的に感じる人が増えているようです。
その理由を都内の自動車販売店スタッフS氏が教えてくれました。
「このRCはMTのみの設定ですが、もともとGR86オーナーはMTを選ぶ人が多いことも加え、装備が充実した上級グレードでは満足できず、自分なりのカスタムをしたい人にも何もついていないことが逆に好都合のようで、ご興味を持たれるお客様は多いですね」
ネット上でも意外にRCグレードに対する評価は高く、「これで十分」や「むしろダイレクト感がありそうで欲しい」という声も見受けられます。
では、どのような人にRCは最適なのでしょうか。S氏はカスタム前提としてのベース車としてお勧めできるそうです。
「標準が16インチのスチールホイールですが、トルセンLSDも標準装備なので、走りの性能アップを考えるとアルミホイール&タイヤの換装を考える必要があります。
また走りを極めるようなカスタム(ロールバー装着など)を考えている方なら、RCは内装を剥がす手間が省けるでしょう。
走りを追求するカスタムのベース車として、RCは最適なグレードかもしれません」
※ ※ ※
GR86で、唯一300万円を切る価格設定のRC。ひとつ上の「SZ・MT」は319万5000円と、約26万円の差があります。
購入時に浮いたこの金額を、自分好みにカスタムするための資金に充てるのも良いのではないでしょうか。(くるまのニュースライター 金田ケイスケ)
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みんなのコメント
シートもレカロやブリッドに変えるだろーし、RCで充分。