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【比較試乗】BMW X3とフォルクスワーゲン ティグアンに求めるドイツSUVらしさを、エンジン搭載車から探る

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【比較試乗】BMW X3とフォルクスワーゲン ティグアンに求めるドイツSUVらしさを、エンジン搭載車から探る

BMW X3とフォルクスワーゲン ティグアンはともに大きな販売台数を稼ぎ、両ブランドにとってドル箱とも言えるほどにまで成長。いまや失敗が許されてない存在だ。そんなモデルだからこそ、困難な状況に置かれているドイツブランドの覚悟がこの2台からは滲み出ているのではないか。今回はBMW X3の20d xドライブ MスポーツとM50 xドライブ、そしてフォルクスワーゲン ティグアン eTSI Rラインの3台から読み解く。(以下、Motor Magazine 2025年3月号より。文:大谷達也/写真:平野 陽、佐藤正巳、井上雅行)

ドイツブランドの答えが見える
相次いでフルモデルチェンジを受けたX3とティグアン。この2車種が、BMWとフォルクスワーゲンにとって極めて重要なモデルであることを、ご存知だろうか?

●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか

2023年の実績を見ると、X3とそのクーペモデルであるX4は合計で40万5562台を生産。これは3シリーズと4シリーズの合計である55万8462台に続く台数で、BMWブランドとして第2位にあたる。

対するティグアンは同年に63万3147台を生産。台数の点でポロ、パサート、ゴルフなどを引き離して単独首位に立っており、全モデルに対する比率でも13.0%と高い数値を誇る。

したがって、どちらもブランドの屋台骨を支える重要車種で、そのフルモデルチェンジが「絶対に失敗は許されない」ものであることは間違いないだろう。

では、両モデルが投入される市場の環境はどのようなものなのだろうか。

まずは環境意識が高まり、自動車のCO2排出量低減を求める声が世界的に強まっているのは間違いない。そして、この電動化の動きに伴って台頭しているのが中国の自動車メーカーだ。彼らは低廉なコストと斬新なアイデアのBEVを海外に輸出。すでに、中国はアメリカを抜いて「世界最大の自動車輸出国」となっている。つまり、BMWやフォルクスワーゲンに代表される既存の欧州メーカーは、そうした新興勢力とも戦わなければならないのだ。

しかも、製品の電動化は自動車メーカーに大きなコスト負担を強いる。だからといって製品のクオリティを落とせば市場から厳しい判断を下される。既存の自動車メーカーは、この厳しいジレンマと対峙しながら、独創的で価値ある製品を世に送り出さなければ生き残れない状況にあるのだ。

こうした前提を踏まえて、BMWとフォルクスワーゲンは人気車種をどのようにモデルチェンジしたのか、順に見ていこう。

大きな変化を求めたBMW。守り磨いたフォルクスワーゲン
デザインに関していえば、BMWとフォルクスワーゲンのアプローチは好対照を成している。

X3のスタイリングは前衛的でアグレッシブ。率直にいって、フロントマスクの造形は、伝統的な自動車デザインの価値観から外れているようにさえ思える。それでもあえて、キドニーグリルをアンバランスなほど大きくしたり、ヘッドライトのエッジを極端なまでにシャープにしたのは、見る者に「新しさ」を伝えたかったからだろう。

これに比べればインテリアデザインはすっきりとしていてシンプル。全体的なまとまりもいいが、ここでも巨大なカーブドディスプレイを配したり、アンビエントライトを派手に使って目新しさを演出している。したがって、「これまでにない新しさ」の演出が新型X3のテーマになっているといって間違いなさそうだ。

一方のティグアンからも先進性は感じ取れるけれど、その価値観はあくまでも既存の感性の範囲に留まっているように見える。つまり、伝統的なクルマの美しさを基本としたうえで、それを徹底的に磨き上げ、洗練させることで、これまでとは異なる新しいティグアンのスタイリングを作り上げたのである。それゆえに、こちらのほうが多くの自動車ファンから賛同が得られるのではないだろうか。

それにしてもティグアンの質感向上は目覚ましい。ボディパネル全般の面仕上げ精度が格段に向上したこともそうだが、まるでプレミアムカー並みの深い抑揚を与えることで、筋肉質な力強さと彫刻的な美しさの両方を手に入れている。

既存の価値観に留まりつつも、上質さと優れたデザイン性を実現しているのはインテリアも同様。とりわけ機能性の向上という面で指摘しておきたいのが、ダッシュボード上に設けられた最大15インチの大型ディスプレイ。しかも、インフォテイメント系が新世代のMIB4に進化したことで操作系が一新された点も見逃せない。

走りの質感は各車ともに非の打ち所がない完成度
デザイン面では好対照を成すX3とティグアンだが、試乗した印象は驚くほどよく似ている。それをひとことで表現すれば、スポーティなハンドリングやドライバビリティと快適性を極めて高い次元で両立させたとなるだろう。

今回試乗したのは、X3が2L直4ディーゼルターボエンジンを積む20d xDrive Mスポーツと2L直6ガソリンターボエンジンを積むM50 xDriveの2台。そしてティグアンは1.5L直4ガソリンターボエンジン搭載のeTSI Rラインである。いずれも48Vマイルドハイブリッドを組み合わせて環境対応する点も興味深い。

まずはX3 20dに乗る。マイルドハイブリッドのおかげで始動時にエンジンが身震いしないだけでなく、ボトムエンドからの加速でもレスポンスが良好なうえにパワー感のリニアリティも高く、もはやディーゼルエンジンの痕跡はほとんど見当たらない。それはバイブレーションの点でもエンジン音の面でも同様。ディーゼルとマイルドハイブリッドの相性がいいことを、改めて思い知らされる。

乗り心地の質が高いことも特筆すべきだ。ハーシュネスが軽いのに、しっとりとボディをフラットに保つ点は秀逸。ドライバーに伝わるインフォメーションが豊富で、いつでも正確なハンドリングを示す操縦性にも文句の付けどころがない。

それが、どんな車速域でも、どんなタイプのコーナーでも、同じように反応して破綻をきたすことがない。世の中には、90%の状況で見事な乗り心地やハンドリングを示しても、残り10%のマナーが悪いためにガッカリとさせられる例が少なくないが、新型X3のように100%に限りなく近い状況で洗練された挙動を示すクルマは決して多くない。ここまでの完成度に仕上げるのにどれだけの労力が必要だったか、想像に余りある。

洗練されているという意味ではM50もまったく同じ。それどころか、3L直6ガソリンターボエンジンは381psの大出力を発生するが、それを余裕で受けとめながらこの快適性を実現したことには驚きを隠せない。しかも、最新のX3はストレート6の官能性を余すところなく表現。4000rpm付近からレッドゾーンの始まる6500rpmまで、緻密な鼓動と繊細なエンジンサウンドで乗る者を魅了することだろう。

ティグアンの進化ぶりにも目を見張らされた。もともと快適性では優れた水準にあったティグアンだが、新型はハンドリングのシャープさに磨きを掛けたほか、マイルドハイブリッドを得た1.5Lガソリンターボエンジンのレスポンスも良好で、軽快さがグッと増した。さまざまな条件で破綻をきたさない点もX3に準じる。この完成度の高いSUVが400万円台から手に入るのだから、プレミアムブランドも形無しだ。

3台のSUVから混迷の時代を乗り越える策が見えた
BMW X3とフォルクスワーゲン ティグアンの試乗を通じて、ドイツの伝統ある自動車メーカーが、この難局をどの乗り越えようとしているかが見えてきた。

デザインの方向性はブランドごとに異なるものの、新規性を盛り込みながらクオリティを一気に高める。無論、安全装備の強化やデジタル対応は抜かりなく行う。ただし、新興勢力に対する対抗軸は、あくまでも走りの実力だ。それもスポーティさだけでなく快適性の面でもさらなる高みを目指す。そして、ありとあらゆる状況に対処できるバツグンの完成度。これこそ、欧州の自動車メーカーが長年培ってきた伝統であり、最大の武器となりうるものである。

「私たちは今後もドライビングダイナミクスを磨き上げていきます。それこそがBMWであり、ライバルに打ち勝つ最大の要素なのです」

BMWで製品開発を担当するゼネラルマネージャーのニコライ・マーティン氏は、X3の国際試乗会でそう私に語ったが、同様のことはフォルクスワーゲンにもあてはまるはず。彼らの健闘を期待したい。

BMW X3 20d xドライブ Mスポーツ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1920×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:1930kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ+モーター
●総排気量:1995cc
●最高出力:145kW(197ps)/4000rpm
●最大トルク:400Nm/1500-2750rpm
●モーター最高出力:8kW(11ps)/3000rpm
●モーター最大トルク:25Nm/500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:軽油・60L
●WLTCモード燃費:16.3km/L
●タイヤサイズ:245/50R19
●車両価格(税込):858万円

BMW X3 M50 xドライブ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4755×1920×1660mm
●ホイールベース:2865mm
●車両重量:2000kg
●エンジン:直6DOHCターボ+モーター
●総排気量:2997cc
●最高出力:280kW(381ps)/5500rpm
●最大トルク:540Nm/1900-4800rpm
●モーター最高出力:13kW(18ps)/2000rpm
●モーター最大トルク:200Nm/0-500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・65L
●WLTCモード燃費:11.9km/L
●タイヤサイズ:前255/45R20・後285/40R20
●車両価格(税込):998万円

フォルクスワーゲン ティグアン eTSI Rライン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4540×1860×1655mm
●ホイールベース:2680mm
●車両重量:1610kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1497cc
●最高出力:110kW(150ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:250Nm/1500-3500rpm
●モーター最高出力:13.5kW(18ps)
●モーター最大トルク:56Nm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTCモード燃費:18.3km/L
●タイヤサイズ:255/40R20
●車両価格(税込):588万9000円

[ アルバム : BMW X3とフォルクスワーゲン ティグアン はオリジナルサイトでご覧ください ]

文:Webモーターマガジン Motor Magazine編集部

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みんなのコメント

1件
  • TOM
    150万の差ならガソリンi6だな。直4ディーゼルが高すぎる。50の価格は抑えて誘導したいだろうけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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