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25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 後編

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25年の進化を辿る ランドローバー・フリーランダー x ディスカバリー・スポーツ 後編

新しいライフスタイルへ見事に合致

初代ランドローバー・フリーランダーはコンパクトでありながら空間効率に優れ、初代レンジローバーと同等の広さを実現していた。インテリアデザインは現代的で実用的。四輪駆動の機能性を損なうことなく、新しいライフスタイルへ見事に合致できていた。

【画像】フリーランダーとディスカバリー・スポーツ 最新のディフェンダーとレンジローバーも 全105枚

発表時点でのボディスタイルは、3ドアと5ドアという2種類。長いストロークを持つコイルスプリングと、マクファーソン・ストラット式のサスペンションが、前後に採用されていた。

エントリーモデルとなったのが、3ドア。ボディ後半はキャンバス生地のソフトバックと、一般的なハッチバック風のハードバックから選択可能で、大きく傾斜したBピラーが特徴だった。その上に属したのが、ステーションワゴン風の5ドアだ。

エンジンは120psを発揮した1.8L 4気筒ガソリンのローバーKシリーズと、97psの2.0L直噴ディーゼルという2種類。トランスミッションは、英国では5速マニュアルか5速オートマティックが選べた。

筆者は初代のフリーランダーのほかに、2代目でも、かなりの距離を運転したことがある。それでも、今回の試乗は7年ぶり。

ダークブルーのフリーランダーは、量産が本格化する前に作られたプリ・プロダクションと呼ばれる43番目。当時のAUTOCARが初試乗した車両そのものだというから、特別な1台だ。

現在は、ランドローバーの従業員だったロン・ブラウン氏がオーナー。2016年に購入し、普段使いしている。タイヤが16インチの235/70へ若干大きくなっている以外、ほぼオリジナル状態だという。

ルーフやボンネットの形状で見える繋がり

最新のディスカバリー・スポーツと並ぶと、フリーランダーは何もかもが小さい。どこか子供の玩具っぽい雰囲気もあるが、それが愛おしくも感じられる。

ドアを開き運転席に座ると、ドライビングポジションは乗用車ライク。ダッシュボードの取り付け位置が低く、前方視界は良好。四角いメータークラスターが、フラットな面の上に載っている。

視点が高く、見晴らしは良い。郊外の傷んだ一般道へ足を進めると、100馬力ちょっとの4気筒ガソリンエンジンでも、1401kgと軽いボディを元気に走らせてくれる。

カーブへ侵入すると、現代的なモデルよりわずかにボディロールが大きい。シフトレバーの感触は、少しゴムっぽい。それでも25歳という車齢を強く感じさせることなく、個性の1つとして運転できる。

フリーランダーの初代と2代目、現行のディスカバリー・スポーツは、それぞれ異なる親会社のもとで開発された。BMWからフォード、タタへと、ランドローバーは転々としてきた。

開発に対するアプローチも異なったはずだが、リアが1段高くなったステップドルーフや、クラムシェル・ボンネットなど、3台の見た目には共通点がある。製造品質は、驚くほど向上してもいる。

オレンジ色のディスカバリー・スポーツは、フリーランダーより全高が若干低い。反面、全幅は間違いなく広く、全長も長い。とはいえ、2台を並べると血縁関係をしっかり見て取れる。モデルとしての繋がりがある。

大きく変化したパワートレイン

ここ25年で大きく変わったのが、パワートレイン。欧州市場では、2代目フリーランダーの頃はディーゼルエンジンが主力だった。現行のディスカバリー・スポーツの場合は、ガソリンターボがその半数を占めるという。

2022年らしく、プラグイン・ハイブリッド(PHEV)も選択できる。P300eの場合、システム総合での最高出力は309psもあり、初代フリーランダーの3倍近い。

最高速度は209km/hに対して173km/h。0-97km/h加速は6.2秒に10.5秒と、明確な違いがある。だが実用的なボディサイズと、利便性に長けたパッケージング、不満のないオフロード性能を備える、セミ・プレミアムSUVという特徴は共有する。

フリーランダーと比べて、もう1つ変化したのが価格だろう。ディスカバリー・スポーツはレンジローバー・イヴォークと並んで、われわれに最も身近なランドローバーであることに変わりはないけれど。

1997年の発売と同時に、1万5000ポンドから2万ポンドの英国価格だったフリーランダーは、ランドローバーの売り上げを40%も増加。それまでの年間13万台に、6万台が上乗せされた。

モデル開発を率いたディック・エルシー氏が、25年前をまとめる。「それは、単なる製品ではありませんでした。フリーランダーはビジネスを変えたといえます。若いチームが開発を率いて、社会全体の変化をクルマへ反映させたんです。会社の革新のためにね」

番外編:25年前のプレス向けイベント

当時のローバー・グループで広報を担当していたデニス・チック氏は、1997年のプレス向け発表会で試みた方法を教えてくれた。「わたしが技術者へ、事前に開発時の役割を確認した時です。若く情熱的なチームだと実感しました」

「そこで試乗会前に自動車メディアをゲイドンへ招いて、エンジニアたちと会ってもらいました。合コン・イベントのようにね。開発ストーリーや技術を多角的に伝える、プレゼンテーションの場としたんです」

「その2か月後、スペイン南部のマルベーリャ近郊にあるホテルで、大規模なグローバルメディア試乗会を開きました。5週間の期間でジャーナリストの各グループを招待し、ビーチや干上がった川底をフリーランダーで走ってもらいました」

「初代ランドローバーの開発にも関わった、ロジャー・クラソーンさんにも来てもらい、オフロードコースも用意しました。ヒルディセント・コントロールや新しい四輪駆動システムを、実際に試してもらうために。見た目以上にトリッキーなコースでした」

「スペインの素晴らしい一般道を、200km運転する機会も設けました。クルマへの評価は、とても素晴らしいものでしたよ」

フリーランダーとディスカバリー・スポーツ 2台のスペック

ランドローバー・フリーランダー 1.8i(1997~2006年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万7995ポンド(1997年時)
全長:4445mm
全幅:1806mm
全高:1750mm
最高速度:173km/h
0-100km/h加速:10.5秒
燃費:9.8km/L
CO2排出量:−
車両重量:1401kg
パワートレイン:直列4気筒1796cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:120ps/5550rpm
最大トルク:16.8kg-m/2750rpm
ギアボックス:5速マニュアル

ランドローバー・ディスカバリー・スポーツ P300e Rダイナミック SE(英国仕様)のスペック

英国価格:4万9210ポンド(約802万円)
全長:4597mm
全幅:1920mm
全高:1727mm
最高速度:209km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:62.1km/L
CO2排出量:32g/km
車両重量:2168kg
パワートレイン:直列3気筒1498ccターボチャージャー+電気モーター+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:309ps(システム総合)
最大トルク:54.9kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック

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