2023 FIA 世界耐久選手権がFSWで開催!
2023年9月10日、富士スピードウェイでは、年に1度のビッグイベントであるFIA世界耐久選手権(WEC)第6戦 富士6時間レースが開催された。今シーズンから最上位クラスとなるハイパークラスではトヨタ、フェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラック、ヴァンウォール、グリッケンハウス(富士大会は欠場)と多くの自動車メーカーが参戦。6月に行われた伝統のル・マン24時間レースでは、開始早々から白熱するバトルが随所で行われていたのが記憶に新しい。なかでも参戦2年目となるプジョーは、レースを重ねるにつれて着実にポテンシャルを高めている。今回は、プジョーについて深掘りしていこう。
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最新のトレンドに迫ったレーシングカー
プジョーは2022年シーズンの途中から「9X8」と名付けられたマシンで、WECの最高峰カテゴリーであるハイパーカークラスに参戦。名前の「9」はかつてル・マン24時間レースで優勝経験のある905や908といったレースカーから。「8」は208や308、2008などのプジョーが展開する最新のラインナップに使用されている数字だ。パワートレインはフロントに200kWのモーターユニット、リアには500kWを発揮する2.6Lツインターボエンジンを搭載し、4輪駆動技術を採用。名称の「X」はこれらの組み合わせを意味している。
9X8のデザインはプジョーらしさそのもの。フロントとリアのライティングシグネチャーは、ブランドのシンボルである3本のかぎ爪になっている。i-Cockpitになっているインテリアもマシンの特徴のひとつだ。
さらに、同マシンで忘れてはいけないのが、リアウイングレスという斬新なコンセプトを採用している点だ。近年F1においても、リアウイングではなくリアディフューザーでダウンフォースを稼ぐ「グラウンドエフェクト」が採用されている。つまり9X8は、最新のトレンドに迫ったレーシングカーなのだ。
しかし参戦する多くのマシンとはコンセプトが大きく異なるため、参戦初年度は苦戦。2年目となる今年も開幕3戦はライバルに大きく遅れをとった。だが6月に開催されたル・マン24時間レースでは予選こそ下位に沈むも、決勝ではライバルがストレート上でスリップに入れないという強みも活かし、リードラップを奪うなど大健闘。残念ながらアクシデントの影響で結果を残すことはできなかったがこのレースが大きな転機となり、翌戦のイタリア・モンツァではチーム初となる3位表彰台を獲得。マシンはレースを戦うにつれて、着実にパフォーマンスがアップしているといえるわけだ。
日本への導入は?
WEC第6戦が行われた富士スピードウェイには、プジョーのブランドCEOを務めるリンダ・ジャクソン氏が来日。WECに参戦を続ける意義を語ってもらった。
「WEC世界耐久選手権に挑むのは、ブランドの将来を考えたうえで検討を重ねた結果です。さまざまなモータースポーツカテゴリーの選択肢があるなかで、なぜWECを選んだのか。それは耐久レースであるからです。F1を短距離走と例えるなら、WECはマラソン。長い時間レースで戦うのは、速いだけではダメですし、チームスポーツとして戦う必要が一層高まります。また、マシンはリアウイングレスというオリジナリティを追求しながらも、プジョーらしいデザインを随所に施すことで、技術を鍛えながらもブランドアピールを行うことできる絶好の場所です。だから私たちはWECに挑戦しているのです」
さて気になるのは、一層WECと直結する市販モデルとの関係だ。本国では「508 PSE(プジョー・スポーツ・エンジニアード)」という、よりスポーティなモデルが展開されている。ズバリ、日本への導入はあるのか聞いてみると、このような回答だった。
「現在PSEは508に限定していたブランドとしていて、WECに携わっているメンバーも開発に加わっています。今年の3月にはフロントフェイスを一新しました。日本への導入についてですが、今冬にあるかもしれません……」
富士ではタイヤの発熱に苦労し、クラス7位と8位に終わったプジョー。上位で戦うトヨタやフェラーリ、ポルシェとの差はまだあるが、9X8が潜在的なパフォーマンスを秘めているマシンであることも確かだ。今後化けることになれば、シリーズを面白くさせる立役者になってくれるのではないだろうか。合わせて508PSEの日本導入についても、正式なアナウンスを待ちたいところだ。
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