燃費向上の裏側
環境意識の高まりとガソリン価格の高騰により、アイドリングストップは普及した。軽自動車ではおなじみの機能だ。
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名前のとおり自動車が停車したことを感知すると、自動的にエンジンが停止するシステムである。燃費の向上だけでなく、
・排ガスの削減
・エンジンによる騒音
を抑えることができるなどメリットも多い。
ダイハツのタントを例に見てみよう。タントL(2WD)のカタログによるとアイドリングストップ搭載車と非搭載車の燃費の違いは、WLTCモードで2.6km/L。アイドリングストップが最も威力を発揮する市街地モードでは4.3km/Lの差が生じる。たしかに燃費向上に効果がありそうだ。
環境にも優しいなら、とても人気のある機能のように思えるが、実際はそうでもない。この機能を煩わしく感じて、わざわざ社外品のアイドリングストップキャンセラーを取り付けるドライバーもいるのだ。
運転時の違和感
アイドリングストップはエコでお得なはず。あえてキャンセルしたくなる理由は、メリットよりもデメリットの方が大きいからだ。一番大きいのは、運転時の“違和感”だ。マツダの「i-stop」は、一般的なアイドリングストップの半分の約0.35秒でエンジンを再始動させる。しかし、アイドリングストップからエンジン再始動後の発進まではどうしても違和感がある。
実際、ストップ&ゴーを繰り返す渋滞時や右折待ちでタイミングよく発進したいときなど、わずかなタイムラグでもドライバーにとってはストレスになる。エンジン再始動時の騒音や振動も、頻繁に繰り返されると煩わしいものだ。
アイドリングストップ中はエアコンが使えないのもデメリットだ。真夏の信号待ちなどでアイドリングストップをすると、すぐにエアコンが送風を始め、車内の温度が上がってしまう。エンジンの再始動が繰り返されることによる、他の部分への負荷も見逃せない。セルモーターの使用頻度が上がり、部品の消耗が激しくなる。バッテリーもエンジンの再始動によって酷使され、バッテリーの寿命を縮めることになる。
バッテリーメーカーであるGSユアサバッテリー(東京都港区)のウェブサイトによると、上記のダイハツ・タントLに適合するバッテリーの製品保証は、標準車が36か月または10万km、アイドリングストップ搭載車が24か月または4万kmとなっている。アイドリングストップ搭載車の方が保証期間が短い。これは、アイドリングストップがバッテリーを過酷な使用条件下に置くことを示している。
実際、アイドリングストップ搭載車にはキャンセルボタンがある。これにより、アイドリングストップ機能をオフにできる。ただし、エンジンを切るたびにリセットされる。そのため、エンジンをかけるたびにオフにしなければならず、煩わしいと感じるユーザーもいる。そこで、社外品のアイドリングストップキャンセラーを搭載することで、アイドリングストップ機能を完全にオフにするのだ。
手軽なキャンセラー
アイドリングストップキャンセラーは、特に車検の規制対象ではない。価格も安いもので3000円程度とハードルは高くない。複雑な配線の抜き差しが不要なカプラーオンタイプもある。標準状態に戻したい場合は、キャンセラーを無効に設定できる機種もある。
興味深いのは、自動車メーカーも「アイドリングストップ非搭載グレード」を導入していることだ。ダイハツはタント、タフト、ムーヴキャンパスにアイドリングストップ非搭載グレードを設定している。トヨタもヤリスやカローラスポーツなど純ガソリン車にアイドリングストップ非搭載グレードを設定している。
ダイハツは、非搭載仕様の追加は「部品供給不足による生産遅れの解消のため」としている。アイドリングストップが不評だからというわけではないが、アイドリングストップはイマイチと感じるユーザーには、最初から非搭載車を購入するという選択肢ができた。
ドライバーの反応
嫌われつつあるアイドリングストップ。今後はどうなるのだろうか。燃費向上という最大の目的は、CVTなどトランスミッションの性能向上など、他の部分の技術開発によって大きく前進している。日産は燃費向上の取り組みとして
「車速に応じて最も運転効率の良いエンジン回転数となるよう変速比を選択できるCVTの適用」
の採用を推進している。
アイドリングストップは必ずしも燃費向上の切り札ではなくなってきている。このような状況から、今後は純ガソリン車のラインアップそのものにアイドリングストップが搭載されなくなる傾向が強くなるかもしれない。
燃費対策や環境意識の高まりとともに市場に普及したアイドリングストップだが、エコで便利な機能として絶賛されているかといえば、決してそうではない。運転感覚に違和感を覚えるドライバーも多く、むしろアイドリングストップを解除してもらいたいという欲求が芽生えているようだ。
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みんなのコメント
CO2削減とバッテリー廃棄とどちらがいいか考えてくれ。
小型車で、普通のバッテリーよりも2万円以上高い。
CO2抑制効果を無視して燃料代だけで考えると、むしろデメリットかもしれない。