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【販売増 2つの理由】マクラーレン日本支社 見えた課題・次の一手

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【販売増 2つの理由】マクラーレン日本支社 見えた課題・次の一手

マクラーレン日本支社代表に訊く

text:Kenji Momota(桃田健史)

【画像】マクラーレンGT 隅々まで撮影 オートサロン・ブースも【実車】 全55枚

photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

日本でのマクラーレンの業績が好調だ。

日本自動車輸入組合の調べでは、2019年は前年比159%となる年販353台を記録。アストン マーティン(314台)を抜き、スーパーカーのツートップ、フェラーリ(870台)とランボルギーニ(678台)を見据えた追撃体制に入ったように見える。

そうした中、マクラーレンとして初めて、東京オートサロン(2020年1月)に自社ブースを構え、昨年発表した「GT」などを出展した。メディア向けプレゼンテーションの後、マクラーレンの日本戦略について、マクラーレン・オートモーティブ・アジアのヘッド・オブ・ジャパンである正本嘉宏氏に話を聞いた。

ーー東京オートサロン出展の理由は?

「マクラーレンは、究極の走りの楽しさを提供するブランドだ。オートサロンはクルマ好きが集まる場であり、マクラーレンにとって新たな顧客と接する場にしたい。これまで、日本のクルマ好きの皆さんにマクラーレンの価値をはっきりと伝えられていなかったことを踏まえて、この場を選んだ」

ーースポーツシリーズ、スーパーシリーズ、アルティメットシリーズと、確実にプロダクト・ポートフォリオを形成してきたが、昨年の販売実績、年間353台は想定の範囲内だったか?

「我々の想像以上に販売が伸びた。理由は2つあり、まずLTシリーズが人気となったこと。2つめは国内5番目の拠点である東京のマクラーレン麻布がオープンしたことだ」

2018年夏に「600LT」についてお話を聞いた時点では、日本でより活発的な顧客対応プログラムを展開するとお話しされていた。

富士スピードウェイでのトラックデージャパン2019年は参加台数ではマクラーレン販売国として第1位となる規模まで拡大。カルチャー体験を含めた10日間プログラムも開催されるという2020年について伺ってみた。

富裕層が動いた

ーー今年は「GT」の販売が本格化することもあり、さらなる新規プログラムの計画はあるか?

「通常の広報活動以外に、より小回りが効く富裕層向けのイベントを行う。手始めに、2月には、社交ダンスの日本の第一人者の方とコラボして行う。そのほか、ボート、クルーズ、ゴルフなど、様々なライフスタイルを切り口としたコミュニティとのコネクションの構築を進める」

ーー富裕層は本物志向。そうした“本物を知る人”がキーパーソンとなって、マクラーレンの良さを広げていく、といったイメージか?

「富裕層は多趣味であり、本物を知っており、その中にクルマという軸でこだわりを持っている方がいる。そうした方にマクラーレンを心底好きになって頂き、そこからの口コミで、まるでオセロゲームのようにマクラーレン支持者が増えていく。こうした富裕層ビジネスを、我々として目の当たりにしている。一般的なブランディング活動以外に、このような富裕層向けのニッチマーケティングの必要性を強く感じる」

ーーフェラーリやランボルギーニではなく、マクラーレンを、と。

「イタリアン・スーパーカーに比べて、マクラーレンのブランドバリューはまだ低く、仮にマクラーレンに対して興味があっても、少し敷居が高いと感じている方もいる。かなりクルマに精通していないと、マクラーレンに対して一歩踏み込んで、実際に試乗してみようというステージにいかない。そこにマクラーレンをしっかりと理解し、豊富な情報量による説得力があるオピニオンリーダー、ないしはブランドアンバザダーのような方の存在が非常に大きい」

パーツ待ちを短縮化

ーーそうしたマクラーレンらしい訴求が進み、昨年は皆さんの想定以上の売り上げを記録。また、新車販売を後押しするために、リセールバリューをコントロールする上で重要な、認定中古車事業を始めるなど、事業は順調に推移しているように見えるが、課題はあるか?

「販売のスケールが一気にアップしたことで、東京と大阪ではサービス体制のキャパシティが追い付かず、お客様にご不便をおかけしてしまった。すでに改善を進めており、今後は商品クオリティとサービスクオリティをさらに充実させ、お客様の満足度を上げることに注力したい。パーツの供給についても、これまで週2回ペースだったが毎日対応できる体制に変えた」

「認定中古車については、確実なメインテナンスを維持するためにも必要だと考えている。マクラーレンでは実際にサーキット走行をするお客様が多く、弊社のオフィシャルメカニックによる正規の整備を推奨している」

楽しむコミュニティを

ーー今年は「GT」の本格市場導入となるが、どのような新規顧客層を想定しているか?

「GTは、サーキット走行を楽しむスーパーカーセグメントではなく、日常遣いを主体とするグランドツーリングとなる。ファッション感覚でお使い頂く方が多くなるだろう。競合としては、アストン マーティン、ベントレー、マセラティ、ジャガーなどが考えられる」

ーー中期経営計画トラック25が確実に実施されているマクラーレン。日本市場として今年、販売台数としての目標、または事業全体として目指す目標は何か?

「数字は結果的についてくると思う。マクラーレンのモットーである究極のドライビングエンゲージメントを、より多くの方に触れて頂きたい。エキサイティングな体験を楽しむコミュニティを作りたい。そうした中で、マクラーレンを選んで頂けるようにしていきたい」

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