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高速道路で設置進む「ワイヤーロープ式防護柵」、その実力は? ガードレールも進化

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高速道路で設置進む「ワイヤーロープ式防護柵」、その実力は? ガードレールも進化

■支柱が折れてもロープでクルマを受け止められる

 車両の逸脱防止や歩行者の保護などを目的に、道路の路肩や歩道との境界、中央分離帯などに設置される防護柵。一般的に「ガードレール」と呼ばれているものは、支柱に固い波型の板が取り付けられた「ビーム型防護柵」ですが、板ではなくパイプを横に渡した「ガードパイプ」や、鋼製ロープを使用した「ガードケーブル」、より堅固なコンクリート製防護柵などもあります。

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 そして近年、「ワイヤーロープ式防護柵」というものが新たに開発されています。これは、近年増加している高速道路の暫定2車線区間における安全対策として、国土交通省でも設置を推進しているもの。このような区間では従来、対面通行の中央分離帯にラバーポールのみが設置されているケースが多く、対向車線への飛び出し事故が多発していました。

 既存の「ガードケーブル」とは異なる特徴があるという、この新開発のワイヤーロープ式防護柵。開発主体のひとつである寒地土木研究所(札幌市豊平区)に話を聞きました。

――ワイヤーロープ式はどのような点が優れているのでしょうか?

 ひとつは、車両衝突時の衝撃緩和性に優れる点です。主にワイヤロープの引っ張りで、反対車線へ逸脱しようとする車両に抵抗するのですが、ガードレールと比べて支柱が細く、ぶつかったときには折れるものの、残ったワイヤーでクルマを受け止めることができます。大型車まで対応できる性能を念頭に開発しました。

 また、狭い幅で設置できるのもメリットです。支柱の真ん中に5本のワイヤーロープを通しているので、ガードレールなどのように“表裏”もなく、支柱が立てられる幅さえあれば設置できます。

■まだあるぞ! 進化系ガードレール

――事故が起きた場合は再設置することになるのでしょうか?

 はい。しかし折れた支柱を新しいものに取り替えれば、既存のワイヤーを緊張し直すことで復旧できます。すべて人力で作業できますので、短時間での復旧が可能です。中央分離帯のガードレールなどは、いちど設置してしまうと上下線の行き来ができなくなりますが、このワイヤーロープ式ならば、ワイヤーロープを緩めて落とし、支柱を引き抜くことで行き来も可能になります。

――もともとなぜ開発したのでしょうか?

 北海道の郊外道路などの2車線区間で、正面衝突事故が多かったことから開発しました。それが、国土交通省主導の暫定2車線高速道路における安全対策として着目されたのです。もちろん寒冷地だけでなく全国で使えます。

※ ※ ※

 寒地土木研究所によると、ワイヤーロープ式はガードレールなどの既存防護柵よりも設置費用が少なく、設置に必要な幅はわずか9cm。道路を拡幅する必要もないといいます。2017年から国土交通省がNEXCO3社の高速道路12路線、約113kmの区間に試行設置した結果、設置前に45件あった対向車線への飛び出し事故は1件に減少し、死傷事故はゼロとなったそうです。

 試行設置を経て、国土交通省は2018年6月に暫定2車線高速道路へのワイヤーロープ式防護柵の本設置を決定しました。今後、暫定2車線で開通する土工区間には標準設置、開通済みの区間ではおおむね5年以内での設置を目指すとしています。

 もうひとつ、最近注目されたガードレールがあります。韓国の企業ETIが開発した「ローラー式」ガードレールです。

 これはかんたんにいうと、巨大なそろばんをガードレールにしたようなもの。樹脂製のローラーが、猛スピードでぶつかったクルマの衝撃を受け流します。同社が公開している実験映像では、クルマがガードレールにぶつかった際に細かな部品が飛び散ってはいたものの、ガードレールを突き破ることはなく、大型車でも道路側に跳ね返ってバランスを立て直していました。

 この商品は韓国を含む複数の国で特許を取得しているといいます。もしかしたら日本でも、いずれ普及するかもしれません。

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