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EV界にはホンダN-ONE e:とスーパーワンが必要だ #JMS2025【日本版編集長コラム#55】

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EV界にはホンダN-ONE e:とスーパーワンが必要だ #JMS2025【日本版編集長コラム#55】

シティ・ターボIIの再来

ジャパンモビリティショー(JMS)2025のホンダ・ブースは話題豊富だった。新たなEVシリーズ『0(ゼロ)』の3台はもちろん、ホンダ・ジェットの実物大モックアップにサステナブルロケットなど、陸、海、空、宇宙という、様々なモビリティを展示した。

【画像】懐かしのホンダ・シティ!取材車のN-ONE e:とスーパーワン・プロトタイプと合わせてチェック 全70枚

しかし1973年生まれとなる筆者の世代的には何といっても、『シティ・ターボIIの再来』と評判となった『スーパーワン・プロトタイプ』だ。先日デビューした軽自動車EV『ホンダN-ONE e:』をベースにしたハイパフォーマンスモデルで、2026年から発売予定となっている。

『ホンダ・シティ』は1981年11月に初代が発売され、1982年9月に『ターボ』、1983年11月に『ターボII』、1984年8月に『カブリオレ』が登場している。2代目は1986年10月から1993年まで販売された。今回、JMSのタイムスリップガレージにも初代シティのラゲッジスペースに積載可能な『モトコンポ』と共に飾られ、しばし見入ってしまった。

ちなみに気になって、初代シティとN-ONE e:のサイズを比較してみた。まず、シティ(Rグレード)が全長3380mm、全幅1570mm、全高1470mm、ホイールベース2520mmで、N-ONE e:が全長3395mm、全幅1475mm、全高1545mm、ホイールベース2220mmと、全長はあまり変わらず、全幅は乗用車であるシティが広め。全高はトールボーイと言われたシティよりも、N-ONE e:のほうが意外にも高かった。

ちなみにシティ・ターボIIは全幅が1625mmとベースから55mm広がっているので、N-ONE e:からスーパーワン・プロトタイプの市販版がどれくらいのサイズで出てくるか注目だ。そして毎度お馴染み前置きが長くなったが、両車の話をし始めたのは、最近N-ONE e:に乗ってみてとてもよかった……からである。

潔い選択に拍手を送りたい

N-ONE e:を簡単におさらいすると、『N-VAN e:』に続くホンダの軽自動車BEV第2弾モデルで、航続距離はWLTCモードで295kmとなる。充電時間は6kWで4時間半、50kWまで対応する急速充電でも約30分と、生活EVとしてはかなり現実的な長さだ。バッテリー加温により、充電時間と航続距離の落ち込みを抑える機能も備える。

ガソリン車のN-ONE ベースではあるが、シンプルになったフロントマスクやインパネ、ラウンドしたテールなどデザインは異なっている。全体的に落ち着いてクリーンな印象で、特にナビゲーションを備えない『G』グレードのインパネは水平基調のシンプルさが際立って、潔い選択に拍手を送りたくなった。

他にもオプションのAC外部給電器を使用することにより1500Wまで電気が使用できるので、災害時や非常時の電源として期待できたり、公共充電サービス『ホンダ・チャージ』の展開、日本初となる繋ぐだけで充電が始まるプラグアンドチャージなど、同時にインフラ環境を整えているのも注目だ。

このあたりまでは事前取材で得ていた『好印象』で、実は乗るのを楽しみにしていた。

参加した試乗会のプレゼンでは、インバーター、モーター、ギアボックスが一体となるeアクスルについての説明があった。モータートルク自体は162Nmと競合する日産サクラ(プレゼンでは他社EVと記述)の195Nmよりも低いが、最終減速比を掛け合わせた駆動トルクは、サクラの1534Nm(最終減速比8.153)に対しN-ONE e:は1720Nm(同11.0001)となり、『身軽な走り』を実現したという。

走行特性としては、発進時はトルクを抑えてその先で伸びる、リニアで安心感のある減速、ホンダ初採用となるシングルペダルなどをポイントとして挙げている。

街中の下り坂で効き方が絶妙

今回試乗したのは、ベーシックグレードの『G』。そう、インパネがシンプルな個体だ。撮影車にはオプションの小型ディスプレイが装着されていた。

動かし始めた第一印象は、乗り心地がよく、EVらしくすーっと走るというもの。車両重量は1030kgあるが、足まわりの硬さはそれほどでもなく、重いEVにありがちなドタバタ感はない。

シングルペダルの回生ブレーキは強すぎずちょうどよく、街中の下り坂では効き方が絶妙。これはオンオフがボタンひとつでできて、それ以外で回生ブレーキがないのは個人的に好みの組み合わせだ。オートホールドの操作もわかりやすい。

ボディの見切りはよく、細くて少し径が大きめのステアリングも操作しやすい。上級Lグレードでは革巻きになるが、Gグレードの感触は特に気にならなかった。ヘッドスペースはハイトワゴンほどではないものの広めで、狭すぎず広すぎない室内スペースもちょうどよく感じた。

気になったのは、ダッシュボードのゴールドっぽい加飾と茶色のシートベルト。両グレード共通とのことだが、男性目線の好みには合わなかもしれない。また、シートは長距離ではどうか? という座り心地ではあった。

しかしながら、街中での加速も十分なもので、全般的に自然なフィーリング。欲を言えば上りでもう少しパワーがあるといいが、そこを求めるなら他の選択肢を考えたほうがいいかもしれない。N-ONE e:のターゲットは40~50歳台の女性で、街中での乗りやすさを中心に考えているからだ。

親しみが持てるN-ONEらしさを追求

試乗後、インテリアのCMFを担当したデザイナーと車体制御関係のエンジニア(2名)に話を聞くことができた。

まずデザイナーに茶色いシートベルトの件を聞いたところ、モノトーンだとすっきりしてクールに感じられるからだという。それよりは親しみが持てるN-ONEらしさを追求。メインターゲットである女性に向けて、可愛らしすぎるよりもニュートラルさを意識したそう。

また、ターゲット層は働いている人も多いということで、どんなファッションにも似あうようにし、その幅広さで男性でも似合うことを目指した。

メインカラーのチアフルグリーンは、爽やかさや元気さをイメージし、EVのクリーンな走りが色でも伝わるように、という思いがあるという。ラインナップは青系を中心にし、取材車のシーベットブルーはN-ONEのガソリン車にはないものだ。

提供したい価値は『素のうどん』

一方のエンジニアは提供したい価値を『素のうどん』と例えている。

Gグレードのディスプレイなしはやはり挑戦的と考えているが、ナビゲーションをそれほど使わない潜在層もあると分析。そのためデザイン的にもすっきりし、価格も抑えられるため設定に到ったそう。

水平基調のインパネはシンプルさがコンセプトで、ボタンの数を少なめにした。また、視界がよく、クルマの感覚や幅が掴みやすいことも意識した。

シングルペダルに関しては、社内の女性にも乗ってもらい研究したという。そこで得た結論は、『一度でも難しさや違和感を感じさせると一生使ってもらえない』ということだ。今回は『eデイリーパートナー』というコンセプトがあり、マニアックさよりは、自然さが重要となった。

そこで女性があまり使わないパドルシフトは付けず、アクセルに対する挙動の出し方や止まり方は、商店街なども走って研究したという。例えるなら、家からスーパーまでブレーキを使わずに往復できる、街中でのちょうどよさを追求した。

また、長崎のような坂が多い地域で4人乗ってもすいすい走れるとし、これは前述の駆動トルクが関係している。床下に収めたバッテリーの恩恵もあり重心は低く安定感があり、軽自動車のEVとして静かでよく走るものができたという自信を、言葉の端々から感じることができた。

軽自動車EV市場が一気に活性化

軽自動車EVは、『日産サクラ/三菱eKクロスEV』のきょうだい車が先鞭をつけ、これにホンダが『N-VAN e:』と『N-ONE e:』で続き、恐らく来年にはスズキが今回JMSで出展した『ヴィジョンeスカイ』の市販版が登場。BYDも『ラッコ』で軽自動車EV市場参戦と、一気に活性化してきた。

筆者が住む静岡県東部では、特に道が狭くガソリンスタンドが遠い山間部になると、日産サクラを多く見かける印象だ。今後選択肢が増え、インフラ環境がもっと整えば、これらは地方の星になる可能性がある。少しサイズが大きくなれば、ヒョンデ・インスターという選択肢もでてきた。

そういった中でN-ONE e:のようなモデルが増えることは歓迎だし、それをベースとしたスーパーワンのような遊び心こそ、今、EV界に必要だと感じるのであった。

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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