「日野コンテッサ」を親子3代で60年間受け継ぐ「ワンファミリーカー」の物語
名古屋市で開催されたクラシックカーイベント「COPPA CENTRO GIAPPONE 2025」の会場で、ひときわ目を引いた1966年式の日野「コンテッサ 1300 デラックス」。オーナーの寺尾匠冬さんは、なんと弱冠21歳の大学生です。祖父が新車で購入し、父親を経て孫へと受け継がれたという奇跡の「ワンファミリーカー」。乗るだけでなく自身でメンテナンスやパーツ製作までこなす、頼もしい若きオーナーの旧車ライフを紹介します。
クラウンのV8をぶち込んだ魔改造「コンテッサ」! 今なお現存する幻の「デル・ダンディ・ツーリング」とは
トリノデザインの日本車が集結! 祖父から孫へ、21歳大学生が乗る「日野コンテッサ」は家族3代の絆!
愛知県最大の歓楽街である名古屋市栄。そのなかでも一番の賑わいを見せている久屋大通公園を中心に、2022年より始まったのが「COPPA CENTRO GIAPPONE(コッパ チェントロ ジャポーネ)」だ。
自動車産業の魅力の伝導、そしてモビリティの過去と未来をつなぐ祭典として、毎年さまざまなテーマを掲げるアジア地区最大級のクラシックカーイベントである。第4回を迎えた2025年は、名古屋市とイタリア・トリノ市の姉妹友好都市20周年ということもあり、「トリノ生まれの日本のクルマ」という展示コーナーが設置された。
中部電力 MIRAI TOWER(旧名古屋テレビ塔)の真下には、日野コンテッサクラブの面々とその愛車たちが並ぶ。イタリアの巨匠ジョバンニ・ミケロッティが手がけた流麗なデザインは、エンジンを車体後部に積むリアエンジン・リアドライブ(RR)レイアウトにより、フロントに冷却用のラジエーターグリルを持たない独特の美しいノーズを実現しているのが特徴だ。
コンテッサクラブの鈴木陽一郎会長に「どなたかオーナーのお話を伺いたい」と尋ねたところ、「オジサンよりも若者がいいよね!」と紹介してくれたのが、現在大学生で21歳の寺尾匠冬さんだった。
「今日乗ってきたコンテッサは祖父が新車で購入したもので、このクルマに乗るつもりで18歳の時に免許を取りました」
なんと親子3代でのオーナー。欧米風に言うと、由緒正しき「ワンファミリーカー」である。
「父が引き継いだときは、すでに乗られずに放っておかれていた状態だったそうで、祖父はそこまで思い入れがあったわけではないと思います。それを父親が、今の自分と同じ年齢くらいの時から趣味のクルマとして楽しんでいました」
幼い頃からでイベントを経験し、憧れを一番好きにした「コンテッサ」を駆る若きオーナーの情熱
両親と妹を含めた家族4人でのレジャーなどは、別に所有しているファミリーカーで出かけることが多かった。しかし、お父上が独身時代から参加していた北海道赤平でのクラシックカーラリーには1歳半の時に一緒に行った記憶があり、何度かのコンテッサでの家族旅行の思い出もあるという。
父親の趣味のクルマということで、週末のドライブやイベントへはコンテッサの出番となる。寺尾さんも小学生の頃からイベントについて行くようになったそうだ。
会場で目にしたマツダ コスモスポーツに憧れたこともあったというが、中学生になる頃には「やっぱりコンテッサが一番だな」と思うようになり、いつかはそのハンドルを握りたいと意識し始めた。
コンテッサに乗り始めて3年経った現在も、イベントに展示されている他車にとくに目移りすることなく、コンテッサに乗るたびに喜びを噛み締めているそうだ。現在の使い方はイベント参加や週末のドライブがメインで、出先では70歳代くらいの方からよく声をかけられると笑う。
自作マフラーにDIY整備もこなす若きオーナーが誓う、祖父から継いだ「コンテッサ」と歩む旧車ライフ
「乗り始めてからは何度か路上で止まったこともありますが、簡単な構造なのでその場で対処しました」と、寺尾さんはなかなか頼もしい若者である。
そして運転するだけでなく、自身の手でメンテナンスを行うこともコンテッサの楽しみ方としている。運良く見つけた新品のショックアブソーバーを手に入れた際も、「新品の乗り心地はどれほど良くなるのか?」という好奇心から、DIYで交換作業に挑んだ。
「父親は自分ではまったく触らない人だったので、逆に自分がそうしたメカニズムの部分に興味を持つようになったのかもしれません」
驚くべきことに、現在装着しているマフラーは純正品の形状に似せて自作したものだという。溶接の勉強を兼ねて製作したそうだが、あえてステンレスではなく当時と同じスチールを選ぶなど、素材に対しても強いこだわりを見せる。
「自分が死ぬまでは、このコンテッサを飾っておくだけでなく、クルマとして機能させつつ長く乗り続けたいと思っています」
ミケロッティが描いた流麗なデザインと、祖父から受け継いだ歴史。それらを深い愛情で守り続ける若いオーナーの心強い言葉に、旧車趣味の明るい未来を確信した。
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