うどんやパン、お好み焼きといった粉モノ料理に欠かせない食材が小麦粉だ。
小麦粉といえば、家庭で使うパック入りのものを想像するかもしれないが、その用途は家庭用から業務用までさまざま。製粉会社から食品加工メーカーなどへ大量の小麦粉を運ぶ場合には、専用のタンクボディを架装した小麦粉バルク車を用いるのが一般的だ。
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小麦粉バルク車は、小麦粉など微粉体の輸送を得意とするダンプ併用式バルク車の仲間。ユニークな形状のタンクボディには、小麦粉を安全かつスピーディに運ぶためのノウハウが満載だ!
*2018年6月発売トラックマガジン「フルロード」第29号より
*文・写真/フルロード編集部
【画像ギャラリー】高くダンプアップするタンクは迫力満点!! 我々の食生活を支える小麦粉を運ぶ小麦粉バルク車を見る!!
■タンクにくっつきやすい小麦粉をスムーズに排出! ダンプ併用式バルク車の代表格・小麦粉バルク車の持ち味
空気とダンプ機構を併用して荷降ろしを行なうダンプ併用式バルク車の代表格というべき小麦粉バルク車。ボリューム感のあるタンクを大きくダンプアップする荷降ろしは迫力満点だ!
小麦粉バルク車は、粉や粒を運ぶバルク車(粉粒体運搬車)の仲間。
バルク車にはさまざまなバリエーションがあるが、小麦粉バルク車は空気とダンプ機構を使って荷降ろしを行なうダンプ併用式バルク車に分類。キャブバックには、ダンプ併用式バルク車の象徴というべき油圧式のテレスコピックシリンダーを搭載する。
小麦粉バルク車が荷降ろし時にダンプ機構を併用するのは、積み荷の小麦粉をスムーズに降ろすため。小麦粉は粒子が小さい微粉体で、かつ微量の水分を含むため、空気のみを使う通常のバルク車だと荷降ろし時にタンクの内側にくっついてしまい、スムーズに降ろせない。
キャブバックに搭載されたテレスコピックシリンダーはダンプ併用式バルク車の象徴。フル積載のタンクを持ち上げる力はなく、タンクのボリューム感に比べてもやや小さい印象だ
そこで小麦粉バルク車は、通常のバルク車と同様の圧縮空気に加えて、ダンプ機構を併用。圧縮空気による圧送と、ダンプアップによる重力を同時に使うことで、小麦粉をスムーズに降ろすことを可能としているのが特徴だ。
ちなみに同様の機構を備えるダンプ併用式バルク車の仲間には、グラニュー糖バルク車が存在。こちらはタンク内のグラニュー糖が熱で溶けないよう、断熱材をサンドした二重構造のタンクを備えている。また、粉粒体のケミカル製品を運ぶバルクトレーラにもダンプ併用式が存在し、バリエーションは意外と豊富。
タンク後端下部の排出口は、タンクを上限の45度まで傾けた時にちょうど真下を向く設計。内側には小麦粉を流動化させる圧縮空気が吹き出すエアコーンが備わる
なお、小麦粉バルク車のダンプ角度は最大で45度。ダンプアップは、小麦粉の排出に合わせてゆっくり行なうのが特徴で、最大まで持ち上げたところで排出口が真下を向くようになっている。テレスコピックシリンダーにはフル積載時のタンクを持ち上げる力はないそうだ。
■食べ物である小麦粉の安全&スピーディな輸送をサポート! 作業性と衛生面を考慮したタンクボディの秘密とは?
タンク天井部中央の積込口は3~4箇所が基本。清掃時の出入り口にもなるためマンホールとも呼ばれる。タンク天井部にはドライバーが歩くための足場も備わる
真ん丸な断面形状が特徴的なタンクボディは、上部に積込口、後端下部に排出口を搭載。小麦粉バルク車は圧縮空気とダンプ機構を併用して荷降ろしを行なうが、荷降ろし時に用いる圧縮空気は、車両に搭載、もしくは出荷先の工場に設置されているコンプレッサーから取り出す。
出荷元での積み込みは、工場のサイロと積込口を直接ドッキングしてドサッと降ろす方式。工場にコンプレッサーなどの設備がある場合は、タンク後端上部の圧送積込口にホースをつないで圧送することも可能だ。
出荷元での積み込みは、サイロからタンクにドサッと降ろすのが基本。ただし、工場に圧送用の設備があれば、タンク後方上部の圧送積込口から圧送も可能だ
いっぽう、出荷先での荷降ろしは、工場のサイロと排出口をホースでつないで行なう。排出口付近のエアコーン(多孔板)から吹き出した圧縮空気と小麦粉を流動化(圧送しやすいよう空気と小麦粉を混ぜた状態)させ、ゆっくりダンプアップさせながら行なう。ホースはボディ側面のケースに常備されている。
真ん丸のタンクは高い密閉性を誇り、積み荷の飛散や異物混入の防止に寄与。各部のパッキンやシーリングにも異物混入に強い特殊な素材が用いられているという
ちなみに、小麦粉バルク車のタンクは高い密閉性を誇り、各部のパッキンやシーリングには、食品衛生面に配慮した特殊な素材を採用。シャシー搭載のコンプレッサーにも異物混入を防止するためのフィルターを採用するなど、衛生管理には抜かりがない。
■台数は少ないがコンスタントな生産を維持! 長い歴史を誇る小麦粉バルク車のシャシーとは?
小麦粉バルク車の王道はGVW22t級シャシーをベースとするタンク容量21立方メートルタイプ(写真)。このほかGVW25t級シャシー、中型シャシーがベースものもあるが、トレーラは需要がない
小麦粉バルクは、GVW(車両総重量)22t級の大型シャシーをベースとするタンク容量21立方メートルタイプが主流。このほかにも、GVW25t級シャシーがベースのタンク容量29.7立方メートルタイプや、中型シャシーをベースとするものも少数が存在する。
ただし、工場に入っていけないなどの理由からトレーラタイプの需要はないという。なお上述のグラニュー糖バルク車やケミカルバルクトレーラなど、小麦粉バルク車以外のダンプ併用式バルク車にはトレーラタイプも存在する。
小麦粉バルク車の製造を行なう架装メーカーは少なく、現在はタンクローリで有名な昭和飛行機工業が需要の大半を担っている。生産台数は年間40~50台と、同社の主力製品であるタンクローリに比べればそう多くはないが、コンスタントに需要があるという。
昭和飛行機工業が1978年に開発した同社初の小麦粉バルク車。それまで小麦粉は通常のバルク車で運ばれていたという(写真提供 昭和飛行機工業)
余談だが、同社が西ドイツのスピッツァ社と技術提携してバルク車(粉セメント運搬用)を開発したのは1968年のこと。小麦粉輸送も当初は通常のバルク車で行なわれていたが、同社が国内初のダンプ型小麦粉バルク車を開発した1978年以降は小麦粉バルク車が主流となったという。
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