この記事をまとめると
■ホンダは2015年に軽ミッドシップスポーツカーとしてS660を販売した
「このNSX……なんか小さくね?」の感覚合ってます! S660をNSXに変身させた「miNi SX660」はなんとキット化して販売予定!!
■メーカー純正のボディキットとしてホンダアクセスが「S660ネオクラシック」を販売した
■限られた店舗のみで販売されており高額だったことからいまでは激レアモデルとなっている
見つけたら即買い!? 唯一無二のボディキット
2015年4月、軽自動車界……いや、自動車業界に衝撃が走った。なんと2シーターのミッドシップスポーツが軽規格で登場したのだ。そう、S660である。このクルマは、2011年の東京モーターショーのホンダブースで展示された、次世代電動スモールスポーツコンセプトカー「EV-STER」をルーツにもちつつ、20代の若手開発主査をトップに据えて作られた、ホンダらしさ全開の1台であった。
また、本田技術研究所の創立50周年記念の「新商品提案企画」というのも誕生の背後にあり、約800件の応募のなかにあった「ゆるいスポーツカー(誰でも気軽に楽しめるスポーツカー)」という企画が、社内コンペで選ばれ、S660として産声を上げた。巷からは、「ビートの再来だ!」ともいわれ盛り上がっていたという。
しかし、2022年3月に法規制などの影響もあって生産を終了。駆け込み需要もあり、急遽増産される珍事もあったが、惜しまれつつも軽ミッドシップスポーツの灯火は、また消えてしまった。
S660は、そのキャラクターとデザインから、アフターパーツブランドからも数多くのドレスアップ・チューニングパーツが登場し、カスタムマーケットも大いに盛り上げたクルマであった。いまでも根強いファンが数多くいるほか、SUPER GTで活躍するドライバーのなかにも、趣味のクルマとして愛車に選んでいる人がいるほど、唯一無二の存在だ。
そんなS660であるが、じつはホンダの純正アクセサリーを手がけるホンダアクセスから、かつてかなり異質なアイテムが展開されていたのを覚えているだろうか。それが、今回紹介する「S660 ネオクラシック」である。
「S660 ネオクラシック」とは、見てのとおり、ベースのクルマがなんだかわからなくなるほど、S660の外観をガラリと変えてしまうアイテムで、面白いことに、まだ残っているWEBサイトにはデカデカと、”Honda 純正アクセサリー”と書かれている。
「S」シリーズの祖であるS500やS600、S800の雰囲気をまとうこのキットは、2016年の東京オートサロンに参考出品されたコンセプトモデル「S660 ネオクラシックコンセプト」が元になっており、当時「東京国際カスタムカーコンテスト2016」でグランプリを受賞するほどの反響を得ていた。
なお、出したきっかけは「社内からアイディアを募って、東京オートサロンにコンセプトカーを出そう」というかけ声だったとか。アイディアは100以上集まったそうだ。しかし一方で、社内啓発活動という事情もあって、出展時はあえて社名は出さず、「N lab.(エヌラボ)」と表記していたという。
そこまでの反響を得たこともあり、隠していた「ホンダアクセス」の名がメディアなどで出るようになったという。すると「メーカーなら作ってくれよ!」という声もかなり集まった。そうなってしまったらもう、ホンダアクセス側も動かないわけにはいかない。「S660 ネオクラシックコンセプト」お披露目の翌2017年の東京オートサロンにはプロトタイプを展示。コンセプト発表から約2年半後の2018年9月、「S660 ネオクラシック」として世に解き放たれたのであった。
「風景にも仲よく馴染む、最近流行りのレトロフューチャーな要素を入れたスポーツカーにしたい」という想いが形になったと、担当デザイナーは語っており、これはS660誕生時のコンセプトである「ゆるいスポーツカー」そのものを体現したような1台でもあったのだ。
ちなみに、このS600やS800がもつ優しい顔に馴染むよう、最新のクルマでありながらあえてLEDではなくハロゲンのヘッドライトを採用している点がまたユニークだ(スペースが狭いのでかなり大変だったとか)。
メーカー品質を維持したスペシャルなキット
なお、このキットはかなり複雑で、素人が気軽に取り付けられるような簡易的なモノではなかったことから、販売方法はかなり特殊であった。
まず、購入できる店舗は「オートテラス城北」「オートテラス鈴鹿東」「オートテラス筑紫野」の3店舗のみとなっていて、架装はホンダの中古車を手がけるホンダユーテックが担当。社内基準に適合した良質な中古車をベースとしたコンプリートカー、もしくはいま所有しているS660を商談後にホンダユーテックに預け、架装してもらうかの2択であった。最初の100台分までのオーダーに限り、シリアルプレートもついていた。
また、最初の「S660ネオクラシックコンセプト」のときは軽自動車の枠から飛び出ていたそうだが、製品版では軽の寸法にキッチリ収まっているところはメーカーのプライドか。ボディの加工も不要でボルトオンで装着でき、車検証の記載変更も必要なかった。素材もFRPを主としつつもチリがピッタリ合うように「L-RTM」という手法を用いて作られた高精度な樹脂製バンパーを備える。保証も3年間6万kmと品質もお墨付き。
さて、そんなメーカーのプライドと自信が詰まった「S660 ネオクラシック」であるが、当時キットの販売価格は132万円であった。これには取り付け費や塗装費は含まれていなかったので、さらに工賃がおおよそ80万円ないし90万円ほど追加でかかったといわれている。
新車で組み付けると400万円かそれ以上になる、超プレミアムな軽自動車であった。なお、エンジンなどの走りに関するカ所はノータッチであったほか、モデューロXは非対応だった。
現在この「S660ネオクラシック」は、中古車市場で同程度のS660と比較して2倍ほどのプライスを掲げていることも珍しくない。販売は2021年5月に終了しているので、何台世に出たか不明だが、激レアなのは間違いないだろう(記事執筆時点では520万円の個体が販売されている)。
最後に余談だが、この「S660 ネオクラシック」をベースにした「S660 ネオクラシックレーサー」というモデルも2019年の東京オートサロンで展示された。こちらは「S660 ネオクラシック」をベースにボディなどを拡大し、サーキット専用車を想定して作られたモデル(もちろん軽自動車の枠ではない)。実車は市販されなかったが、ミニカーやラジオコントロールカーを扱う京商より、ミニッツというR/Cカーでモデル化されていた。
かなり値は張るかもしれないが、「クラシックカーに乗りたいけど故障が心配」という人にとって、うってつけの1台ではないだろうか。
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みんなのコメント
このモデルの所有者
このモデルを知っている人
このモデルをたまたま街中で見かけた人
誰一人としてこれをクラシックカーとは認識しないと思われる
ノーマルでいいですよ。