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フェルナンド・アロンソ最後のグランプリ優勝から12年……その間にF1はどれだけ変わった?

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フェルナンド・アロンソ最後のグランプリ優勝から12年……その間にF1はどれだけ変わった?

 これまでの24年にわたるF1キャリアの中で、フェルナンド・アロンソは32勝を挙げ、106回の表彰台に立ち、F1世界チャンピオンに2度輝いた。2023年からアストンマーティンに移籍したことで、シーズン序盤は表彰台獲得が続いたが、久しぶりの勝利には手が届いていない。

 実際、アロンソが最後にF1で勝利を挙げてからちょうど12年の月日が経過した。それ以来、F1では多くのことが変化した。

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 アロンソが最後にグランプリ勝利を果たしたのは2013年5月12日のスペインGP決勝。当時フェラーリのドライバーだったアロンソは5番手から首位に躍り出ると、32回目の勝利の美酒に酔いしれた。

 それから2025年に至るまでに、アロンソはチームを移籍して一度はF1引退。そして復帰を果たしてはまたチームを移籍し、現在はアストンマーティンに所属している。

 アロンソの勝利や成功への野心は変わらない。その一方で、彼を取り巻くF1は別世界となった。

F1は変わった……

■新たな世界チャンピオン

 この12年間にアロンソがグランプリで優勝していなかったのだとしたら、誰が勝利を収めてきたのだろうか? アロンソが最後にグランプリを制して以来、4名が勝利を重ねて世界タイトルを手にしてきた。

 レッドブルのセバスチャン・ベッテルは2013年に4度目にして自身最後のチャンピオンに輝いた。2014年と2015年にはルイス・ハミルトンが、2016年にはニコ・ロズベルグがメルセデスでタイトルを獲得した。

 以降はハミルトンの独壇場となり4年連続で王座を獲得したが、2021年にはレッドブルのニュースター、マックス・フェルスタッペンがハミルトンとの激闘を制して初めてのチャンピオンに輝くと、2024年までに4連覇を達成した。

■F1ハイブリッドの進化

 F1では2009年から運動エネルギー回生システムのマシン搭載が可能だったが、2014年からは熱エネルギー回生システムも加わり、超高効率のハイブリッドエンジンへと切り替わった。

 V6エンジンと2種類のモータージェネレーターユニット(MGU)を組み合わせた現在のパワーユニット(PU)は世界最高の熱交換率を誇る一方、高額かつ複雑。アロンソもPU時代初期には苦しめられた。

 マクラーレンは2015年からF1復帰を果たしたホンダのPUを搭載したが、ライベルメーカーに比べてパワーや信頼性が不足。日本GPでのアロンソの『GP2(現在のFIA F2)エンジン』というPUを酷評する悪名高い無線を覚えている人も多いだろう。

 ただホンダの苦しい日々は長くは続かず、2017年限りでマクラーレンと袂を分かち、レッドブル陣営とのパートナーシップを開始すると、2019年に復帰後初優勝をマーク。2022年と2023年にはチームと共にコンストラクターズタイトルを連覇した。

■安全性の向上

 現行PU導入が行なわれてから4年後、F1の次なる大きな改革が2018年に登場。2014年の日本GPでのクラッシュによって翌年7月にジュール・ビアンキがこの世を去ったことが大きなキッカケとなり、ドライバーの頭部を保護するヘイロー(HALO)の搭載が義務付けられた。

 ヘイローは、“天使の輪”のようにコックピット上部に装着されるチタン製のヘッドプロテクターで、脱落した空力パーツやタイヤなどのデブリやマシンからドライバーを守ってくれる(ロンドンバスが乗っても大丈夫!)。

 従来のフォーミュラマシンらしくない見た目から当時は物議を醸したヘイローだが、2020年バーレーンGPでガードレールを突き破る大クラッシュを喫したロマン・グロージャン(当時ハース)や、2022年イギリスGPで横転クラッシュに見舞われた周冠宇(当時ザウバー)の命を守り、その価値が証明され、現在では数多くのフォーミュラシリーズでヘイローが採用されている。

■Netflix効果

 2018年にF1はパドックやシリーズの裏側を映すという新しい試みに出た。最初のシーズンではフェラーリとメルセデスを除くほぼ全てのチームにアクセスできたことで、Netflixのドキュメンタリー番組『Drive to Survive(邦題:栄光のグランプリ)』は注目を集めた。

 シリーズではドライバーやチーム代表など、個人にスポットライトが当たり、F1不毛の地と呼ばれたアメリカから新しいファンを呼び寄せた。

■チームの変化

 2013年のスペインGPでは、11つのチームがF1グリッドに並び、レースをスタートした。現在、そのうちの2チームは姿を消し、新たなチームがひとつ加わり、3チームは12年前とは全く違う名称となった。

 まずケータハムとマルシャは2013年シーズンを通して下位を争い、翌年にケータハムは経営破綻を受けて撤退。マルシャは2015年まで存続し、2016年にはマノー・レーシングと名称を変えたものの、2017年開幕を前にF1から撤退した。

 また、チーム名称も変更された。ロータスは2016年にルノー、そして2021年にはアルピーヌにリブランドされた。フォースインディアは2018年に経営破綻に陥ると、カナダの億万長者であるローレンス・ストロールが買収し、レーシングポイントとして生まれ変わると、2021年にはアストンマーティンへと生まれ変わった。

 トロロッソは2020年にレッドブルのアパレルブランドであるアルファタウリとなり、2024年にはRBに。今年はレーシングブルズとしてグリッドに並んでいる。そしてザウバーは2019年から2023年は一時的にアルファロメオブランドとなるが、2026年からはアウディF1の母体となる。

 なお、ハースは2016年からF1への新規参戦を開始。以降、中団グループの常連となっている。

■新グラウンドエフェクト時代

 F1は2022年から新しいテクニカルレギュレーションを導入し、マシン下面のヴェンチュリトンネルから多くのダウンフォースを引き出すグラウンドエフェクトカーとなった。

 これはウイング類などへの依存度を低くすることで、コース上での接近戦を増やすことが目的だった。ただ、新レギュレーションでの1年目には弊害として、空力的な原因でマシンが上下に高速振動するポーパシングに悩まされるチームやドライバーが現れた。

 しかし、こうした問題は1年のシーズン終了ごろにはほぼ解消された上、レギュレーション変更の目的も達成された。しかしレッドブルが2022年、2023年と圧倒的な強さを見せたことで、勢力図が拮抗することはなかった。他チームがレギュレーションの理解を深め、レッドブルに追いつくのは数シーズン後のことだった。

■サーキットの変化

 モンツァ、シルバーストン、スパといった歴史的なサーキットは2013年から変わらず今年のカレンダーにも組み込まれている。しかしこの12年の間に、新しいサーキットが加わり、いくつかのサーキットでのF1が復活した。

 2013年当時は、マレーシア、ドイツ、韓国、インドを含む19戦が開催されていたが、今挙げた4ヵ国は現在カレンダーから外れている。その代わりにF1はアメリカでのグランプリを追加し、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)だけでなく、マイアミやラスベガスでもレースが開催されるようになった。また、サウジアラビアやカタールでのグランプリも加わり、中東ラウンドも充実した。

 また、35年の時を経て2021年にオランダGPがカレンダーに復活し、2020年からはイモラでもグランプリが行なわれるようになった。ただ、オランダGPは2026年限りでカレンダーから姿を消すことが決まっており、イモラでのF1開催に関する未来も不鮮明だ。

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みんなのコメント

2件
  • ar**y****
    アロンソがずっと勝てていないのはここ12年間のレギュレーションやテクノロジーの変遷よりも単にチーム選びを間違えてばかりだからじゃないの?
  • sus********
    視聴者からすると最大の変化は無料のテレビ放送がなくなった事に他ならない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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