純粋なモーターサイクルのEV(電動車)のみ・・・ではなく、ハイブリッド車そのほか様々な古今東西の「ローエミッション」な2輪車を紹介する連載企画。今回はホンダが1994年に200台限定でリース販売した電動スクーター、CUV ES(シーユーヴィ イーエス)をご紹介します。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年5月14日に公開されたものを転載しています。
四半世紀以上前に登場した、ホンダ製電動スクーター!
電動スクーターは21世紀になってから普及した乗り物ではありますが、その開発は20世紀の時代からスタートしてはいました。ただ、ICE(内燃機関)という経済性・利便性に優れた動力に対し、EVに必要な電池の当時の性能の問題や社会インフラの問題などにより、20世紀には電動の乗り物が普及する環境が整ってはいませんでした(もっとも、今でも不十分といえますけど)。
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1994年、ホンダは「環境負荷の少ない2輪車の研究開発」の一環として取り組んでいた電動スクーターを、200台限定のリース販売という特殊な形態ではありますが市販化することに成功しています。それがCUV ES(シーユーヴィ イーエス)です! CUV・・・ついついCUB・・・ホンダ2輪を代表する大ヒットシリーズである「スーパーカブ」の名を連想してしまうのは、私だけでしょうか?
オネダンは・・・85万円!!!! でした
その車体は同時代のスクーターのヒット作、ホンダDioシリーズのものをベースとしており、DC(直流)ブラシレスモーターとVベルトの駆動系をユニットスイング方式で搭載。ニッケル・カドミウムタイプのバッテリーは足を置くフロア下に納めることで低重心化しつつ、ホンダご自慢のメットイン(シート下収納スペース)を採用することを可能としていました。
充電は家庭用100V電源からすることができ、1回につき最大8時間の充電で61km(30km/h定地走行)という航続距離でした。60km超というのはこの手の電動スクーターとしては優秀と言えますが、充電8時間(冷却時間最長2時間を含む)というのはちょっと使い勝手的には・・・ですね。
気になるオネダンは85万円をベースに3年間のリース販売方式・・・というもの。同時代のホンダDioが14万4,000円だったことはさておき、原付枠のスクーターとしてはかなり高価な製品でした。そのため販売先は、官公庁向けとなっていました。
CUV ESの次にホンダから販売された電動スクーターのは「EV-neo」ですが、その発売は2010年ですから20世紀に限ってはCUV ESが唯一無二の存在でした。将来、環境対策の観点から電動スクーターは都市コミューターの主流になっていくことが予想されます。そしてその将来が「現実」となったとき、CUV ESはその先駆けとして振り返られることになるのでしょう・・・。
ホンダ CUV ES 主要諸元
通称名 CUV ES 車名・型式 ホンダ A-AF 36 全長×全幅×全高 1.785×0.615×1.035m 軸距 1.265m 最低地上高 0.100m 車両重量 130kg 乗車定員 1名 最小回転半径 1.9m
原動機の種類 直流ブラシレスモーター 原動機の型式 AF 36M 定格出力 0.58kw 最高出力 3.3/3,600kw/rpm 最大トルク 0.9/3,200kgm/rpm 変速機形式 無段変速式(Vベルトコンバータ)
タイヤ〔前輪〕80/100-10 46J〔後輪〕90/90-10 50J 制動装置形式 機械式リーディング・トレーリング(前後とも) 懸架方式 〔前輪〕テレスコピック式 〔後輪〕ユニット・スイング式 フレーム形式 アンダボーン バッテリー種類/型式 ニッケル・カドミウム/12KR-20000M バッテリー容量 86.4V-20Ah バッテリー充電電源 AC100V(単相) 充電時間 最長8時間(冷却時間最長2時間を含む) 1充電走行距離 61km(30km/h定地走行テスト値)
メーカー希望小売価格 850000円をベースに3年間のリース販売方式とする(地域希望小売価格の一例:北海道は8,000円高、その他一部地域を除く。参考価格。消費税を含まず)
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
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みんなのコメント
カワサキなら大型バイクベースで電動マシンを作るのだろうな。
ホンダは歩行ロボットやカーナビやら、燃料電池やらいろいろ時期尚早にやって、美味しいところは他社に持っていかれるパターン多すぎ。