やはり、というべきなのか今年も10cmの降雪があっただけで、首都圏の道路交通はパニックになってしまった。カー用品店やタイヤ専門店、整備工場にはスタッドレスタイヤを求めるドライバーが殺到し、翌日は夏タイヤのまま凍った路面で滑って衝突事故や立ち往生するトラブルが続出した。
しかし「喉元過ぎれば熱さ忘れる」。2、3日もすればほとんど雪は溶けて、普段の舗装路となって夏タイヤで何の支障もなく走れてしまう。首都圏でも冬タイヤなどの滑り止めが必要な日は数えるほどなので、ついつい後回しにして気が付けば春を迎えてしまう、そんなドライバーも多いハズだ。
だが万全を期すのであれば、やはり冬季はスタッドレスタイヤに履き替えるべきだろう。雪が降ったら数日間はクルマを使わなくても何とかなるならともかく、雪が降った時ほどクルマの有り難みを感じるものだ。
首都圏以西の地域で雪など滅多に降らないし、年間の走行距離も4000~5000km程度であればオールシーズンタイヤを利用するのも賢い方法だ。
スノーフレークマーク入りのオールシーズンタイヤなら、冬タイヤ規制でも通行することができる。それでも慎重な運転や高架や坂道はなるべく避けるなどのルート選びをするといった工夫すれば、立ち往生するようなことはほとんどない。それでも氷雪路での走破性は、やはりスタッドレスタイヤには敵わない。
スタッドレスタイヤを装着しようと決めた場合、やはり一番気になるのは価格。タイヤメーカーと銘柄で価格も変わってくるし、どんな性能を求めるかでもチョイスが変わってくる。あとは長持ちするのかもポイントだ。
安いスタッドレスタイヤを何回も履き替えるか、それとも高いタイヤを長持ちさせるかなど、賢いスタッドレスタイヤの選び方を紹介していきたい。
文/高根英幸
写真/ベストカーweb編集部、Adobe Stock(トップ写真=amosfal@Adobe Stock)
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■賢いスタッドレスタイヤの選び方その1/インチダウンでお得に
ブリヂストンの最新スタッドレスタイヤ、ブリザックVRX3
ホイール径によりタイヤサイズも変わってくるが、スタッドレスタイヤ用にホイールを用意するのであれば、純正ホイールよりインチダウンすることをお勧めする。ホイールをインチダウンすることでタイヤのハイトが高くなり、トラクション性能が向上してよりグリップ性能も高まる傾向になる。
またタイヤの幅を抑えることにもつながるので、接地面積が縦方向に伸びた形となるため、加減速時のグリップ性能も高まる。タイヤ幅が細くなることで轍にも影響を受けにくくなる。それになんといっても同じ銘柄でもタイヤの価格が安くなるのは大きなポイントだ。
スタッドレスタイヤを履いていても、大径ホイールでスタイリッシュにカスタムを楽しみたいなら、そのぶん費用を捻出すればいいが、高性能なスタッドレスタイヤをなるべく低い予算で履かせたいのであれば、ホイールをインチダウンするのは有効な手段なのだ。
例えばトヨタアルファードの現行モデルの場合、純正サイズでも16インチから18インチまで3種類のホイールサイズがあり、ディーラーオプションのモデリスタでは19インチや20インチもラインナップされている。Amazonで価格を調べてみた。
■BSのブリザックVRX3の16インチ、215/65R16の1本の価格/2万9966円
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■BSのブリザックVRX3の18インチの235/50R18の1本の価格/3万9500円
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このように16インチと18インチの価格差はおよそ1.4倍になる。Amazonではなく価格比較サイトなどで、最安値で比べるとさらに価格差は広がる傾向にある。低扁平なスタッドレスは需要が少ないぶん、割高なのだ。
また同じメーカー、同じサイズでもスタッドレスの場合、従来製品も併売されているケースは多い。前述のブリザックVRX3の場合、先代モデルとなるVRX2やさらにその先代のVRXもサイズにより併売されている。
■VRX2では16インチで2万1089円と最新モデルの3分2という安さ
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■またVRXであれば1万4500円と半値以下
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■賢いスタッドレスタイヤの選び方その2/単体価格だけでなくライフも考慮する
値段と耐用時間の関係も重要。1シーズン使える2万円のタイヤと2シーズン使える4万円のタイヤならコストは同じだ(kelly marken@AdobeStock)
スタッドレスタイヤは様々なタイヤメーカーが開発、生産しており、販売競争を繰り広げている。
日本のタイヤ市場にはダンロップやトーヨー、横浜ゴムといった日本のタイヤメーカーのほか、ミシュランやコンチネンタル、ピレリといった欧州タイヤメーカー、米国のグッドイヤー、さらにはアジアンタイヤメーカーも参入している。
それらも価格や性能面で差別化を図り、ユーザーの獲得合戦を展開しているのだ。
■例えばトヨタカローラの場合、195/65R15サイズのBSブリザックVRX3は1万9300円
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■横浜ゴムのアイスガードiG70でもほぼ同価格だが、1世代前のiG60なら1万2090円
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■トーヨーやグッドイヤーなら1万円程度にまで価格は下がり、ピレリのWINTER ICE ASIMMETRICO PLUSは6230円(4本セットで2万4917円)
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またアジアンタイヤのスタッドレスであれば1本5000~6000円という安さである。
これが軽自動車用となると、だいぶ状況は変わってくる。
■ブリザックVRX3でも155/65R14は1本8850円とお手頃
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■ダンロップのWINTER MAXX 03は1本8126円とその差はかなり少ない
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■ヨコハマタイヤのiG60の6120円が平均的な価格といったところで、欧州勢やアジアンタイヤも4000~6000円の間に収まる
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アジアンタイヤは輸送コストも占める割合が多く、タイヤサイズが変わっても一定以上の価格以下にはなりにくいのである。価格差は最大で2倍以上といっても、普通車のタイヤ1本分でしかないから、実質的な価格差は少ない。
軽自動車は維持費が安いので、2万円の費用差は大きいとも考えられるが、安心を買う費用と思えばどうだろう。それに耐久性を考えると、実際の費用負担は縮まる。
BSのブリザックVRXシリーズは、価格は高めだが、発泡ゴムを採用しているおかげで氷上性能が高く、ゴムが硬化しにくいという特性をもつ。しかもVRX3は氷上性能に磨きを掛けているだけでなく耐摩耗性も向上しているので、スタッドレスタイヤとして使える期間がさらに長くなっている。
従来製品のVRXやVRX2であれば価格は他の国産スタッドレスにグッと近付くことになるから、これはこれで魅力的な選択肢ともいえる。
■安いタイヤを選ぶか? 高いタイヤを長持ちさせるか?
コストパフォーマンスの高い1959年創業の台湾のタイヤメーカー、ナンカンのスタッドレスタイヤWS-1
■205/60R16の主なスタッドレスタイヤ1本の価格比較
※2021~2022冬季の平均価格(価格com)
●ブリヂストン BLIZZAK VRX3/2万3580円
●ブリヂストン BLIZZAK VRX2/1万9930円
●ヨコハマタイヤ iceGUARD 6 iG60/1万8200円
●ダンロップ WINTER MAXX 02/1万5700円
●TOYO GARIT G5/1万8200円
●ハンコック(韓国) Winter icept* iZ2 A W626/1万3700円
●ナンカン(台湾)WS-1/8200円
●ケンダ(台湾)ICETEC NEO KR36/7640円
●HIFLY(中国)WIN-TURI212/6690円
一方のアジアンタイヤもモデルチェンジを繰り返して改良されてきたことで、性能面でも国産スタッドレスに近付いてきた。信頼性や高速走行時の安定感、スタッドレスとしての耐久性などに不満がないのであれば、国産の半値というのは魅力的に映るハズだ。
しかし、たとえ価格が1/2でも、ゴムが硬化して氷雪路での性能が低下してしまうのが早いと、タイヤ交換の作業工賃も2回ぶん掛かるので割安感は薄れてしまう。さらにタイヤ交換するとなれば、予約して訪れる必要がある。その手間も考えて選択したいところだ。
それと結局安いスタッドレスを選んでしまうドライバーは、まだ使えると判断して劣化したスタッドレスタイヤを使ってしまう可能性が高い。グリップ力の低下によってスタックしたり、スピンしてクルマを傷付けてしまったら元も子もないことを覚えておくべきだろう。
タイヤの保管場所がなかったり、ホイールとセットで夏タイヤとの交換作業が自分ではできない、やりたくないというのであれば、タイヤ専門店の保管サービスを利用するのがお勧めだ。
通販よりもタイヤの価格はやや高めになるが、その分充実したサービスを受けられるのだから、快適さと安心を得ることにつながる。
結局のところ、冬道対策の費用は車格とクルマの使い方によって決まってくる。安く抑えようというのであれば、自分で工夫する努力(タイヤ価格や交換工賃の安い工場を探す、保管や運転に気を使う、降雪時はタイヤチェーンを自分で装着するなど)も重要だろう。
タイヤは路面と接している唯一の部品、それをあまりケチるとトラブルやハプニングが起きた時に後悔する可能性もある。これは夏タイヤでもいえることだ。
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みんなのコメント
まだ山が有ると思っていると事故る。
ほぼ同じ外径の75サイズで比べると、メーカー希望小売価格で
165/55R15→27940円 165/60R14→22000円 155/65R14→14740円 145/80R13→11275円
見た目を気にしなかれば、半額以下で手に入る