同じアライアンス グループに属する日産とルノーから、ユニークなハイブリッドSUVが登場した。エクストレイルとアルカナ。ここでは両車を比較するわけではないが、同時に試乗する機会を得たので、ハイブリッド システムの違いや乗り味をじっくり味わい尽くしてみたい。
エクストレイル:VCターボエンジン×モーターはとっても自然体
まずはエクストレイル。日産のミドルクラス SUVだが、2022年7月にフルモデルチェンジされた新型は4代目にあたる。顔つきこそ最近の日産車らしいVモーショングリルや独特のヘッドランプなどを採用しているが、スタイルはコンベンショナルなSUVらしいものだ。
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日本仕様のパワートレーンは、日産が得意とするe-POWER、つまりエンジンで発電してモーターで駆動するシリーズハイブリッド方式なのだが、エクストレイルはエンジンに可変圧縮比ターボを採用した。ストロークを変えることで圧縮比を可変し、高効率でエンジンに発電をさせるというものだ。しかも今回の試乗車は、トップグレードのG e-4ORCE。前後にモーターを搭載する4WDで、悪路のみならずオンロードでも走行安定性を高めている。
日産のe-POWER搭載車は、これまでに何台も試乗してきたが、乗るたびに進化が感じられる。それでもこれまでは、クルマの加速と発電用エンジンの動きがシンクロしていないこともあり、多少の違和感を感じることもあった。だが新型エクストレイルでは、加速時などに急にエンジン回転数が上がることもなく、きわめて自然なフィーリングだ。1.9トン近い車両重量だが、パワー不足はまったく感じさせない。
発電用エンジンは3気筒なのだが振動も少なく、しかも静かだ。いままでのe-POWER搭載車に比べて、明らかに電動車の色合いが強くなっているようだ。eペダルのスイッチを入れると、いわゆるワンペダル走行も可能になるが、以前のものほど過敏な減速をしなくなったのはいい。
今回は都市高速や市街地など、好天のオンロードのみの試乗だったのでe-4ORCEの恩恵はあまり感じられなかったが、減速時のノーズダイブなどはおさえられている。乗り心地は良く、先進運転支援システムも進化しており、快適なハイウエイドライブも楽しめる。
オプションだがタンカラーのレザーシートによる2トーンのインテリアは上質で、フルカラーのメーターディスプレイやセンターダッシュのワイドディスプレイは視認性が高く、最近のクルマとしてはスイッチ類は少なくないが操作性は悪くない。
個人的には、この可変圧縮比ターボエンジンをそのままパワーユニットとして採用したクルマにも乗ってみたくなった。効率よくパワーを発生する可変圧縮比ターボエンジンで駆動すると、どのような走りが楽しめるのだろうか。
アルカナ:FWDながら2モーターハイブリッドはレスポンス良好
続いて、アルカナ。エクストレイルよりはひとまわり小さい、ルノーのブランニュー クーペSUVだ。ボディスタイリングは5ドアクーペそのものといった感じで、車高(最低地上高)を下げてしまえば、普通の5ドアクーペにしか見えないほどスタイリッシュだ。
だが、パワートレーンは凝っている。2022年末現在では輸入車唯一のストロングハイブリッド「E-TECH(テック)」を採用しているが、駆動アシスト用と制御用の2モーターを組み合わせ、ドッグクラッチでエンジンとモーターを繋いでいる。エンジン側に4速、モーター側に2速のトランスミッションがあり、エンジンとモーターで動くと4×2で8速、合計14速だが3つは同じギア比になるので12速となる。
ルノーではディーゼルエンジンに代わるユニットとして、このE-TECHを開発した。同じアライアンス グループの日産e-POWERではダメなのか?と以前にルノー・ジャポンの担当者に聞いたところ、高速運転には不向きな(エンジンが回りっぱなしで燃費が悪くなる)e-POWERは、高速走行の多いヨーロッパでは適さないからということだった。
実際に試乗してインジケーターを見ていると、ストロングハイブリッドらしく頻繁にエンジンとモーターを使い分けているのだが、12段のシフトショックを感じることはなく、きわめてスムーズだ。エンジンのON/OFFも、ほとんど分からない。アクセルペダルの踏み加減に忠実に加速し、レスポンスも良い。
シフトにマニュアルモードはないが、この12速をヘタにマニュアル操作すると、むしろトラブルの素になるかもしれないと思えた。内外装にルノースポールのテイストが与えられているが、このクルマは肩ひじ張らずにフランス車らしく、オシャレに乗りこなすほうが似合っているだろう。
ブラック基調のインテリアは、赤いアクセントやカーボン調パネルも採用し、エクステリア同様に良いセンスでまとめられている。スタイルから想像されるよりリアシートは広いし、ラゲッジスペースもちょっとしたワゴン並みに使える。駆動方式はFFのみだが、最低地上高は200mmあるし、スタッドレスタイヤを履いていれば都会の積雪レベルなら問題ないだろう。とはいえ、過信は禁物だが。
SUV、ハイブリッド、同じような車両価格といった共通項があるとはいえ、この2台を比較して、どちらを買おうかと考えている人は、まずいないだろう。とはいえ、いまなお人気が持続中のSUV市場にはさまざまな選択肢が増えており、それはつまりハイブリッドやバッテリーEVなども含めたパワートレーンの選択肢も広がっているということ。これは、ユーザーにとってはうれしいものだ。
予算や使い方、そして何よりも気に入ったスタイルから、自分好みの1台を見つけ出す。クルマ選びの楽しみは、テクノロジーが進化しても変わっていくことはないのだから。(写真:井上雅行)
日産 エクストレイル/ルノー アルカナ 試乗車の主要スペック一覧
■日産 エクストレイル G e-4ORCE 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
●ホイールベース:2705mm
●車両重量:1880kg
●パワーユニット:直3 DOHC(VCターボ)+モーター×2
●総排気量:1497cc
●最高出力:106kW(144ps)/4400-5000rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/2400−4000rpm
●モーター最高出力<前+後>:150kW(204ps)/4501-7422rpm+100kW(136ps)/4897-9504rpm
●モーター最大トルク<前+後>:330Nm(33.7kgm)/0−3505rpm+195Nm(19.9kgm)/0-4897rpm
●トランスミッション:なし
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:レギュラー・55L
●WLTCモード燃費:18.4km/L
●タイヤサイズ:235/55R19
●車両価格(税込):449万9000円
■ルノー アルカナ R.S.ライン E-TECH フルハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4570×1820×1580mm
●ホイールベース:2720mm
●車両重量:1470kg
●パワーユニット:直4 DOHC+モーター×2
●総排気量:1597cc
●最高出力:69kW(94ps)/5600rpm
●最大トルク:250Nm(25.5kgm)/2400−4000rpm
●モーター最高出力<メイン+サブ>:36kW(49ps)/1677-6000rpm+15kW(20ps)/2865-1000rpm
●モーター最大トルク<メイン+サブ>:205Nm(20.9kgm)/200−1677rpm+50Nm(5.1kgm)/200-2865rpm
●トランスミッション:4速AT<エンジン>+2速AT<モーター>
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:プレミアム・50L
●WLTCモード燃費:22.8km/L
●タイヤサイズ:215/55R18
●車両価格(税込):429万円
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