シトロエンの守るフィロソフィー、アドバンストコンフォート
かつて文化や言語が違う国々によって作られるモノは、それぞれの国や地域、独自の特色を持ち合わせていた。
特に、工業製品はそうであろう。
しかしながら、 こと自動車業界においては、グローバリゼーションにより、そうした独自の特異な文化というものが失われ、ドイツ車のテイストが浸透していってしまった。
シトロエンという、たひとつの自動車ブランドを除いては。
簡素化した大衆向けの小型車であっても、守り抜くエンジニアリングがシトロエンブランドにはある。
「アドバンストコンフォート」というキーワードのもとに、コンフォート性、すなわち乗り心地を追求してきたことだ。
そして、そのブランド特有の考え方を実際に乗ることでしか体感できないことを、シトロエン社は十分に理解している。
だからこそ、エクステリアやインテリアのデザインで人々を別世界に誘い、ありきたりの車とは一線を画すことをアピールしているのだ。
前置きは長くなったが、今回はその考え方を後押しするようなシトロエン C3エアクロスSUVと、C5エアクロスSUVの試乗である。
試乗場所は富士山麓近くのコテージが立ち並ぶ、緑生い茂る林道だ。この辺りはアスファルトでも荒れた道が多く、ロードノイズと上下の細かな動きをどのように鎮めるのかが、コンフォートのカギとなる。
見た目だけではなく走りも個性的C3エアクロスSUV
初めに乗るモデルはシトロエン C3エアクロスSUVの最上位グレードの、シャイン パッケージだ。白と朱に近いカラーリングは、タンチョウヅルのようで日本人には親しみやすく感じる。
グレードはフィール、シャイン、シャイン パッケージの3種類あり、カラーバリエーションも豊富で、一目見て個性を放つ大衆的なエッセンスは健在だ。
さっそく乗り込むと、こじんまりとしたキャビンはシンプルであるが色使いを工夫している。
ところどころにテキスタイル(布地)をはめ込むことことによって温かみを感じ、フェザータッチも柔らかい。
これはドイツ車にはないエッセンスで、シートもソフトで親しみやすい。ホールド性というよりも、居心地の良さを提供するシートと言えよう。
▲ドライビングポジション、スイッチの操作感、タッチパネルの視認性など細部を磨き込んだコックピットデザイン1.2リッター3気筒ターボを始動すると、思ったよりも振動は少ない。Dレンジに入れてゆっくりと走り出すと、アイシンAW製のATがトルクの変動を大らかに受け止め、ストレスを感じさせないソフトな発進を可能にする。
そこから強めにアクセルを踏んで加速させると、3気筒特有のエンジン音が聞こえる。剛性感も強く頼れる3気筒ユニットはATとの統合制御も細かく行い、スムーズなドライビングを提供してくれる。
シトロエンの哲学的なコンフォートな乗り心地で、柔らかく適度に安定性をもたらすこのセッティングは、ロードノイズが大きくなる荒れた路面でもいなしてくれる。
カーブも怖さはなく、あえてロールを作り出して路面とタイヤのコンタクトを大切にしている印象だ。軽く節度が少ない独特なステアリングフィールは、一体感というよりも車が最も良い状態で曲がるように調整されている。
雨や雪の日などのコンタクトがとりずらい状況下でも、優しいハンドリングだ。
ダイレクトに走りを感じるというより、ゆったりとドライブするフィールで、シトロエンの個性は決して外観だけではないことをあらためて実感した。
遠出をしたいと欲求を駆り立てる走りC5エアクロスSUV
続いてシトロエン C3エアクロスSUVの兄貴分ともいえる、C5エアクロスSUVの試乗だ。
こちらは上位モデルということもあって、エンジンは180馬力に迫ろうかという出力のディーゼルエンジンが搭載されている。
トルクも40kg・mは越えているので、高級車のトルクも持ち合わせ十分な加速が得られるはずだ。
エクステリアデザインはシトロエンらしい、唯一無二なファミリー的な存在感があり、インテリアもラグジュアリイな雰囲気かつ、快適性も非常に高い。
シートデザインはかつてのシトロエン CXやSMのような名車をほうふつさせるデザインで、ノスタルジックな雰囲気も感じる。レザーシートでありながら、バリッとした張り切った雰囲気をもたせることなく、ゆったりと余裕のある、ちょうどよい心地よさを実現している。
エンジンを始動すると、やはりディーゼル特有の雰囲気はあるものの不愉快さはない。ビジーなアクセルワークになると気になる人もいるだろうが、トルクを利用してアクセルペダルを大らかに動かせば、より静粛性は向上する。
操作性は先ほどのC3エアクロスSUVに比べると、大型のクルーザーに乗っているような感覚である。いっそう深い領域でのサスペンションセッティングはしっとりとして、このクラスのSUVにはないソフトでゆったり感満載の居心地だ。
ステアリングフィールも、スタビリティの高さを非常に感じる。
これは間違いなく遠出に行きたくなる車だ。
アイシンAW製の8速ATは国産車にはないきめ細やかさで、時にはスポーティで多段的なシフトによる加速がドライビングを楽しませる。それでいて、ゆっくりと走らせると連続的なシフトスケジュールで不愉快なボディの動きはない。
どんなときでもしゃきっとハンドリングマシーンになるSUVと比べると対極にある車で、疲れなくゆったりと乗れるSUVだ。
だが、それでいてこそシトロエンらしく、「魔法の絨毯のよう」と形容される「アドバンストコンフォート」の哲学を追求しているブランドの自負を感じる。
C5エアクロスSUVは、そのオンリーワンの世界を体験するのに、最適な車だと言えよう。
フランスで生まれシトロエンが育てた、これまで体感したことのない乗り心地の文化を実感することができる車だ。
文/松本英雄、写真/尾形和美【試乗車 諸元・スペック表】●"シトロエン C3エアクロスSUV シャイン パッケージ 型式3BA-A8HN05最小回転半径5.5m駆動方式FF全長×全幅×全高4.16m×1.77m×1.63mドア数5ホイールベース2.61mミッション6AT前トレッド/後トレッド1.52m/1.49mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1310kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置フロア最低地上高0.16mマニュアルモード◯ 標準色ナチュラルホワイトオプション色インクブラック、グリ プラチナム、サーブル、ブリージングブルー、スパイシーオレンジ掲載コメント-エンジン型式-環境対策エンジン-種類直列3気筒DOHC使用燃料ハイオク過給器ターボ燃料タンク容量45リットル可変気筒装置-燃費(JC08モード)16.4km/L総排気量1199cc燃費(WLTCモード)14.7km/L└市街地:11.6km/L└郊外:15km/L└高速:16.4km/L燃費基準達成-最高出力110ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm205(20.9)/1750型式3BA-A8HN05駆動方式FFドア数5ミッション6ATAI-SHIFT-4WS-標準色ナチュラルホワイトオプション色インクブラック、グリ プラチナム、サーブル、ブリージングブルー、スパイシーオレンジシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.5m全長×全幅×全高4.16m×1.77m×1.63mホイールベース2.61m前トレッド/後トレッド1.52m/1.49m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1310kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高0.16m掲載用コメント-エンジン型式-種類直列3気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1199cc最高出力110ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm205(20.9)/1750環境対策エンジン-使用燃料ハイオク燃料タンク容量45リットル燃費(JC08モード)16.4km/L燃費(WLTCモード)14.7km/L└市街地:11.6km/L└郊外: 15km/L└高速: 16.4km/L燃費基準達成-●シトロエン C5エアクロスSUV シャイン ナッパレザーパッケージ ディーゼルターボ 型式3DA-C84AH01最小回転半径5.6m駆動方式FF全長×全幅×全高4.5m×1.85m×1.71mドア数5ホイールベース2.73mミッション8AT前トレッド/後トレッド1.58m/1.61mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m4WS-車両重量1670kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量-kgミッション位置フロア最低地上高0.19mマニュアルモード◯ 標準色ブランバンキーズオプション色ブランナクレ、ノアールペルラネラ、グリ プラチナム、ブルーチジェカ、ルージュボルカーノ掲載コメント-エンジン型式-環境対策エンジン-種類直列4気筒DOHC使用燃料軽油過給器ターボ燃料タンク容量52リットル可変気筒装置-燃費(10.15モード)-km/L総排気量1997cc燃費(WLTCモード)16.3km/L└市街地:13.8km/L└郊外:15.9km/L└高速:18.1km/L燃費基準達成-最高出力177ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm400(40.8)/2000 型式3DA-C84AH01駆動方式FFドア数5ミッション8ATAI-SHIFT-4WS-標準色ブランバンキーズオプション色ブランナクレ、ノアールペルラネラ、グリ プラチナム、ブルーチジェカ、ルージュボルカーノシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.6m全長×全幅×全高4.5m×1.85m×1.71mホイールベース2.73m前トレッド/後トレッド1.58m/1.61m室内(全長×全幅×全高)-m×-m×-m車両重量1670kg最大積載量-kg車両総重量-kg最低地上高0.19m掲載用コメント-エンジン型式-種類直列4気筒DOHC過給器ターボ可変気筒装置-総排気量1997cc最高出力177ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm400(40.8)/2000環境対策エンジン-使用燃料軽油燃料タンク容量52リットル燃費(10.15モード)-km/L燃費(WLTCモード)16.3km/L└市街地:13.8km/L└郊外: 15.9km/L└高速: 18.1km/L燃費基準達成-
C3エアクロスSUV (現行型)のカタログはこちらC5エアクロスSUV (現行型)のカタログはこちら
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