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砂塵舞うジャカルタで元王者同士が衝突。急展開を攻略のティクトゥムがフォーミュラE初優勝/第12戦

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砂塵舞うジャカルタで元王者同士が衝突。急展開を攻略のティクトゥムがフォーミュラE初優勝/第12戦

 6月21日(土)、インドネシアのジャカルタでABB FIAフォーミュラE世界選手権の2024/2025年シーズン11第12戦ジャカルタE-Prixが行われ、クプラ・キロのダニエル・ティクトゥムが優勝を飾った。

 チャンピオン争いが佳境に入りつつあるシーズン11。第12戦の舞台は、観光スポットでもある『アンチョール・ビーチ』沿いに特設された市街地コース(全長2.37km)で、直線区間をヘアピンコーナーや高速コーナーで繋いだストリートらしいレイアウトだ。レコードライン外の路面が汚れていて抜きにくいことで知られ、アタックモードの使い方などのスパートをかけるタイミングが勝敗を分けやすいことが特徴に挙げられる。

東京E-Prixは7月開催の後半戦に。フォーミュラEの2026年暫定スケジュールが発表

 午前中に行われた予選では、ウエットパッチの残るコースでシーズン9王者のジェイク・デニス(アンドレッティ・フォーミュラE)が、テイラー・バーナード(ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム)とのデュエルを制してポールポジションを獲得。一方、選手権リーダーのオリバー・ローランド(ニッサン・フォーミュラEチーム)は、まさかの16番手に沈んだ。

 午後の決勝は、ドライコンディションのなかスタート。デニスがホールショットを奪い、2番手にはシーズン7王者のニック・デ・フリース(マヒンドラ・レーシング)が、バーナードをパスして上がってきた。以下3番手バーナード、4番手ダニエル・ティクトゥム(クプラ・キロ)、5番手ニック・キャシディ(ジャガーTCSレーシング)と続く。

 クリーンなスタートが切られると、序盤はバトルの少ない展開となり、まずはペースやアタックモード使用タイミングの探り合いに。しかし、そのままエネルギーマネジメントを意識したペースのまま膠着状態となる。レースは中盤に入ると、中団以降がアタックモードで順位を入れ替えている一方、トップ5はほぼ動かず。

 先にティクタムが動いてアタックモードに飛び込むと、続いてバーナードやデ・フリース、首位デニスもアタックモードを使った。さらに、上位4台よりも先に使っていたエドアルド・モルタラ(マヒンドラ・レーシング)も中団から上位争いへと加わってくる。

 そして、1度目のアタックモードが切れ始めたタイミングにデニス、デ・フリース、モルタラのトップ3が形成され、トップ争いがヒートアップ。唯一アタックモードの起動時間が残っていた2番手デ・フリースは、首位デニスを激しく攻め立て、デニスはハードなブロックで応酬する。

 この時、一度はデ・フリースも攻めの手を緩めたが、態勢を整えて再度仕掛けることに。デ・フリースは直線区間でアウトからデニスを抜き、ブレーキング勝負に持ち込んだものの、デニス車のフロントウイングと激しく接触。デニス車のフロントウイングは中破してしまった。

 この接触で発生したデブリ処理のために、セーフティカー(SC)が導入。コース清掃を経た数周後、首位デ・フリースの先導でレースは再開されたが、デ・フリースにはデニスとの接触を理由に10秒のタイムペナルティが課されることとなった。

 以降、レースは2度目のアタックモードの使用タイミングの探り合いとなり、先に動いたのは首位デ・フリースと、トップ3の背後につけていたティクトゥム。その後デニスやモルタラも続いてアタックモードを使用したが、このタイミングで後方のジェイク・ヒューズ(マセラティMSGレーシング)がコース上に停止してしまい、フルコースイエロー(FCY)が導入となった。

 マシン回収後にレースはすぐ再開されたが、このタイミングで、デニスにまさかの加速不良トラブルが発生。これでデ・フリース、ティクタム、モルタラのトップ3となり、さらにはタイムペナルティ分の逃げを謀るデ・フリースも、突如マシントラブルからかコースを外れてストップしてしまうことに。同時にアタックモードの起動エリアではストフェル・バンドーン(マセラティMSGレーシング)もマシンを停めており、これで2度目のFCY導入となった。

 突如、優勝を争う2台が戦列を去る荒れた展開となったなか、首位に浮上したのは、一貫してアタックモードを早めに使用していたティクタム。その真後ろには、ティクタムに続いてアタックモードを使っていたモルタラがつける。レースは残り5周のタイミングで再開され、ティクタムとモルタラはガチンコのトップ争いを開始した。

 2台は3番手以下を突き放すペースで走行し、ラストスパートをテール・トウ・ノーズで駆け抜けていく。FCYが重なったことでエネルギーマネジメントには余裕ができたティクタムは、5周に渡ってモルタラの猛攻をミスなく守り、フォーミュラE初優勝を飾った。

 さらにチームにとっても、昨季には中国国籍のNIOからERTへと体制を変更し、さらに今年にはアメリカ合衆国国籍のクプラ・キロへと変更するなど、変動の大きかったなか、新体制での初勝利となった。なお2位にはモルタラ、3位にはニコ・ミューラー(アンドレッティ・フォーミュラE)が入る表彰台となった。

 また、16番手スタートとなったニッサンのローランドは、序盤に12番手まで上がったものの、マキシミリアン・ギュンター(DSペンスキー)と接触を起こしたことを理由に5秒のタイムペナルティに。最後には7位でチェッカーを受けたものの、タイムペナルティにより最終的には10位となった。

 ABB FIAフォーミュラE世界選手権シーズン11の次戦は、第13&14戦ベルリン。7月12日(土)~13日(日)にかけてダブルヘッダーで行われる予定だ。


■2024/25年フォーミュラE第12戦ジャカルタE-Prix 順位結果



Pos./No./Driver/Team/Time / Gap
1/33/D.ティクトゥム/クプラ・キロ/48’33.418
2/48/E.モルタラ/マヒンドラ・レーシング/+0.371
3/51/N.ミューラー/アンドレッティ・フォーミュラE/+2.936
4/13/A.F.ダ・コスタ/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/+4.316
5/37/N.キャシディ/ジャガーTCSレーシング/+4.833
6/5/T.バーナード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+5.741
7/8/S.バード/ネオム・マクラーレン・フォーミュラEチーム/+6.060
8/16/S.ブエミ/エンビジョン・レーシング/+7.513
9/4/R.フラインス/エンビジョン・レーシング/+7.745
10/23/O.ローランド/ニッサン・フォーミュラEチーム/+10.142
11/1/P.ヴェアライン/タグ・ホイヤー・ポルシェ・フォーミュラEチーム/+13.128
12/9/M.エバンス/ジャガーTCSレーシング/+14.387
13/11/L.ディ・グラッシ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/+14.965
14/17/N.ナト/ニッサン・フォーミュラEチーム/+15.241
15/3/D.ベックマン/クプラ・キロ/+16.011
16/25/J-E.ベルニュ/DSペンスキー/+20.541
17/27/J.デニス/アンドレッティ・フォーミュラE/+33.034
18/22/Z.マローニ/ローラ・ヤマハABTフォーミュラEチーム/+34.737
/21/N.デ・フリース/マヒンドラ・レーシング/DNF
/2/S.バンドーン/マセラティMSGレーシング/DNF
/55/J.ヒューズ/マセラティMSGレーシング/DNF
/7/M.ギュンター/DSペンスキー/DNF

[オートスポーツweb 2025年06月21日]

文:AUTOSPORT web
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