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「バットモービル」の圧倒的存在感 BMW 3.0 CSL/ポルシェ911 カレラRS 2.7(2) 現れたモータースポーツへの野心

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「バットモービル」の圧倒的存在感 BMW 3.0 CSL/ポルシェ911 カレラRS 2.7(2) 現れたモータースポーツへの野心

カプリ RS3100へ刺激され誕生した3.0 CSL

BMW 3.0 CSLでは、まったく体験が異なる。一度モータースポーツから距離をおいていた同社が、欧州ツーリングカー選手権で暴れまわるフォード・カプリ RS3100へ刺激を受け、副社長へ就任したばかりのボブ・ラッツ氏の肝いりで開発は進められた。

【画像】ホモロゲ仕様なBMW 3.0 CSLとポルシェ911 カレラRS 2.7 現行M4 CSLと911 GT3 RSに 全125枚

ホモロゲーション取得に選ばれたのは、ヴィルヘルム・ホフマイスター氏がスタイリングを担当し、カルマン社が製造を担っていた、クーペの3.0 CS。ドアやボンネット、トランクリッドへアルミを採用し、軽量を意味するLが末尾に追加された。

サイドウインドウはガラスの厚みを落とし、リアウインドウはアクリル製。バンパーはポリエステル製で、ホイールアーチはクロームメッキ・トリムで飾られた。防音材が省かれたキャビンには、シェール社製バケットシートが組まれている。

ツインキャブレターの2985cc SOHC直列6気筒、M30型エンジンは3.0 CS譲り。1971年の初期型はすべて左ハンドルで、169台がラインオフしている。

モータースポーツへの野心が強く現れた第3世代

筆者が感銘を受けた雑誌にあったのは、1972年8月に登場した第2世代。エンジンは3003ccへ拡大し、欧州ツーリングカー選手権の3.0Lクラスへの参戦を叶え、カプリ RS3100と同じステージで競うことが可能になった。

燃料供給はインジェクション化され、202ps/5500rpmと27.6kg-m/4300rpmへ向上。英国では特に好評で、500台の3.0 CSLが導入されている。その殆どは、スチール製バンパーと豪華装備が与えられた、シティパッケージだった。

そして、モータースポーツへの野心が強く現れたのが、第3世代。通称バットモービルだ。M30型ユニットは3153ccへ拡張され、208psと29.6kg-mへ強化されている。

ボディはアグレッシブさを強め、トランクリッド上にはワイドなウイングが鎮座。ルーフ後端には、細いCピラーへ載ったスポイラーが突き出し、フロントにはロングスカートが与えられた。ボンネットの両脇には、気流を整えるラバー製フィンが備わる。

911 カレラRS 2.7を霞ませる存在感

これらの改良は、サーキットでの戦闘力を確実に高めた。1973年7月のニュルブルクリンク6時間レースでは、1周10秒もタイムを短縮し、1位から3位を奪い表彰台を独占。1975年から1979年の欧州ツーリングカー選手権などでも、好成績を残している。

今回の車両は、BMW UKのヘリテージ・コレクションが所蔵する1台。CSLは1265台がラインオフしているが、167台しか作られなかった公道仕様のバットモービルにある。実は、ボディキットは型式認証を受けず、ディーラーオプションとして提供された。

エレガントな3.0 CSの容姿を、ボディキットが濁すように受け止める人もいるだろう。だが、ボディサイドを飾るトリコロールのストライプと、14インチのアルピナ・ホイールが相乗し、存在感は圧倒的。ポルシェ911 カレラRS 2.7を、霞ませるほど。

トルクフルでリニアに回るM30型ユニット

キャビンは、往年の理想的なグランドツアラーを体現したもの。バケットシートはシェール社製で、ウッドパネルが飾るダッシュボードには、VDO社製メーターが4枚。3スポークのステアリングホイールは扱いやすく、広いガラスエリアが開放感を生む。

ストロークの長いレバーで1速を選び発進させると、クラス上の高級クーペだと実感する。タイトな身のこなしでドライバーを刺激するポルシェに対し、一段穏やか。それでもハイチューンのM30型ユニットは、トルクフルでリニアに回る。

アクセルペダルを深く傾ければ、颯爽と5000rpmを超える。ドライな、喉を鳴らすような特有の排気音を奏でながら。サーキット由来のホモロゲ仕様でありつつ、長距離ツーリングも充分に楽しめる洗練性も併せ持つ。

切り始めが重いステアリングホイールは、速度が乗れば軽く転じる。路面状況を手のひらへ伝え、連続するコーナーをヒラヒラと舞えるほど、反応は程良くクイックだ。

911 カレラRS 2.7の9割程度のペースで飛ばせる

ワインディングへ飛び込めば、911 カレラRS 2.7の方が速いことは間違いない。アスファルトの凹凸を巧みに均す、上質な乗り心地を提供してくれるかわりに、カーブでのボディロールは小さくない。加減速時は、ノーズの上下動も驚くほど大きい。

ピレリ・タイヤは頼もしくグリップし、キッカケを与えればテールは漸進的に外へ流れ出す。リカバリーしやすく、穏やかにラインへ戻せる。1970年代のBMWらしい。

「日曜日にレースで勝てば、月曜日のショールームが賑わう」時代を象徴する、2台のホモロゲ仕様。ポルシェの方が、よりサーキットへ近い内容にあったことは明らかだ。

とはいえ、能力の幅で筆者を惹きつけるのは、やはり3.0 CSL。キャビンは設えが良く、直6エンジンは官能的に回る。その気になれば、911 カレラRS 2.7の9割程度のペースで飛ばせる。欧州の首都を巡るグランドツアラーへ、旅立ちたくなる。

協力:カーズ・インターナショナル・ヘリテージ社、BMW UK社、ポルシェ・クラブ・グレート・ブリテン

BMWとポルシェ ホモロゲ仕様な2台のスペック

BMW 3.0 CSL(1971~1975年/欧州仕様)

英国価格:9000ポンド(1973年時)/30万ポンド(約6300万円)以下(現在)
生産数:1265台(CSL合計)
全長:4630mm
全幅:1739mm
全高:1372mm
最高速度:220km/h
0-97km/h加速:7.5秒
燃費:5.7km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1270kg
パワートレイン:直列6気筒3153cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:208ps/5600rpm
最大トルク:29.6kg-m/4200rpm
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

ポルシェ911 カレラRS 2.7(1972~1973年/欧州仕様)

英国価格:7232ポンド(新車時)/110万ポンド(約2億3100万円)以下(現在)
生産数:1580台
全長:4165mm
全幅:1613mm
全高:1320mm
最高速度:239km/h
0-97km/h加速:5.5秒
燃費:5.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1088kg
パワートレイン:水平対向6気筒2687cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:213ps/6300rpm
最大トルク:25.9kg-m/5100rpm
ギアボックス:5速マニュアル/後輪駆動

文:AUTOCAR JAPAN AUTOCAR JAPAN
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